第38回『TBJ10周年記念対談(3)変わること、変わらないこと』
2016年09月08日
※今回の『TBJ10周年記念対談(3)変わること、変わらないこと』は、
第36回『TBJ10周年記念対談(1)チームビルディングを実践する』
第37回『TBJ10周年記念対談(2)10年間を振り返って』
の続きとなります。
瀬田すみ恵(以下すみえ)
チームビルディングジャパンは今、第2創業期にきている感じがしない?
新たな成長S字カーブを描く時期にある気がする。
河村 甚(以下じん)
事業そのものをもっとちゃんと進化させていかなきゃいけないと思っていて、チームビルディングをただ商売として食っていければいい、ということではダメだと思っているんだ。
とても社会的意義のある仕事をさせてもらっていて、とてもありがたいと思っているだけど、それを一部のマニアのものにしてしまってはダメだと思う。
チームビルディングを社会に広く伝えていく。それはとても意味のあることだし、それをやっていくことにワクワクする。いま現状、社会のなかにチームビルディングというものが広がってきたからこそのブレがあるような気がしていて、その軸を整えたい。
統合していくっていうのとは、ちょっと違うのかもしれないけど、「チームビルディングってこういうものだよね」というのを確立していきたいというか。あと、それをちゃんと軸としてもっと広めていきたいなと思って。
すみえ
「チームビルディング」という言葉が認知されるになってきたからこその危機感ですね。
私たちチームビルディングジャパンの考える「チームビルディング」を確立して、それを軸にもっと広めていきたい、という思い。じんさんはずっと持ち続けてるよね。
「チームビルディング」という言葉が世に広まってきたとはいえ、地域の仕事をしてると、まだまだ普及したとは言い難いなぁ、とは感じることもしばしばあります。でも、組織のリーダーの方や、企業にチームビルディング研修を導入する立場にあるような方は、すでにご存じの方が多いね。チームビルディング関連の書籍も随分出版されたしね。
だけど、いくら普及したとしても、「チームビルディング」は一過性のブームで終わる類のものではないと思う。組織が生き物である以上、社会のニーズが無くなることは決してない。
じん
我われは最初からチームビルディングを実践するということを大事にしてきたと思うんだけど、さっき話したように我われが定食屋のサンプルみたいにショーケースの中で、自分たちがまず見せることが大事。見せるっていうこと、発信するっていうことってもっともっとできるなと思って。そこが多分まだまだ弱い。これからもっと広めていくということをやりたいなと思うんだ。
すみえ
私たち自身が、理想とするチームビルディングを実践する。そしてそれを知ってもらう機会が必要だということだよね。うちのチームに触れてもらった人に、「チームビルディングジャパンのこのチーム感、いいね!」って思ってもらえたらいいね。
社外の人も集まってくるオフィスのイメージは、この10年間ずっと持ち続けてるじゃない?
チームビルディングジャパンを知ってもらう方法として、たくさんの人にうちのオフィスに訪れてもらうのは、とても有効だと思う。言葉に表せないような雰囲気も、感じ取ってもらえるもん。
自分の組織でチームビルディングを頑張っている人や、チームビルディングに興味のある人が
チームビルディングジャパンのオフィスに集まってきて、
リラックスして、かつ真剣に、対話したり、相談したりしながら、
その中でチームビルディングに関するヒントを得たり、思いを育んだりする。
チームビルディングジャパンで充電して、そして自分の組織に戻っていく。
現在も続くチームビルディング・カフェは、そんな思いのもと立ち上げたんだったよね。
※編集部注
チームビルディング・カフェについては、こちらをご覧ください(^^♪
http://teambuilding.cafe/
チームビルディングに関わる人の、家庭でも職場でもない、第3の居場所。
チームビルディングに真剣に取り組む人にとっての、「心の安全基地」でありたいと思う。
じんさんも、「教会のような居場所」ってずーっと言ってるよね。
自組織でチームビルディングをしていく過程では、困難に直面することもあるでしょ。
そのとき、チームビルディングジャパンという拠り所があるからこそ、チャレンジできたり、情熱を持ってあきらめずに頑張り続けることができる……そんな居場所。
チームビルディングに取り組む人の拠り所があることは、社会的な存在意義があるんじゃないかな。
チームビルディングって、とてもやりがいのあることだけど、やはり大変なことだと思うの。
「こうやれば上手くいく」なんて正解は、無い。計画通りにもいかない。
だから、あきらめずに取り組み続けることのエネルギーをいかに持ち続けることができるかが肝になる。その応援ができたらなぁって思う。
じん
いま「計画通りいかない」周辺で思ったのはさ、計画通りにいかなくても、瞬間瞬間に正しい選択ができる状態にあるということが大事であって、計画から外れちゃったときに選択できなくなる状態を避けなきゃいけないと思うんだよね。
それで、計画に無理に戻す必要もないだろうし、その計画に引きずられてしまって自分が「らしく」いられないだとか、その組織がその組織「らしく」あることができないことのほうが間違っていて。いま間違った状態にあるということを受けいれて、受けとめて、その瞬間に一番正しい選択をするということができる。
その軸をもつということが大事だと思う。そこが「らしさ」とか、だと思うんだよね。その組織としての「らしさ」。
すみえ
「チームビルディングジャパンらしさとは何か」ということも、じんさんが変わらずに説き続けていることの一つ。
10周年を機に、チームビルディングジャパンのミッション・ビジョン・バリューが、ついに小冊子”Orange Culture Book”にまとまったしね!
チームビルディングジャパンの「らしさ」をより広く知ってもらって、チームビルディングジャパンに魅力を感じてくれる人と一緒に仕事をしていけたらいいね。
※編集部注
”Orange Culture Book”の内容は、TBJのウェブサイトでも公開中です。是非ご覧ください(^^♪
http://www.teambuildingjapan.com/company/
この10年、さまざまな葛藤も抱えつつ、チームビルディングに真剣に向き合ってきたでしょ。
その中で私たちの「らしさ」が生まれ、土台ができた。
いいところもそうでないところも、すべて認めた上で、もっといいチームを目指す。そんな成長過程も含めて、「やっぱいいよね、チームビルディングジャパン!」って私たち自身が思える感じが周りにも伝わっていくといいね。
じん
「いいなー」と思ってるのは大事だよね。
すみえ
うん! 「私たちっていいね」とチームメンバーが感じていることは、すごく重要だと私は思ってる。
相乗効果が生まれる、強くしなやかな組織であるためには、メンバー間の関係の質がいいことが大きく影響する。
私ね、「相思相愛」の力って大きいなーって感じてるんだ。
相思相愛……お互いに相手に対して好意的で、「私たちいいね!」って思っている状態、ね。
相手のことを大切に思える。違いも含めて、相手を尊重できる。敬愛の念がある。
「相手を尊重する」っていうと、相手の考えや行動を何でも受け入れて、自分は受け身になる、というイメージを持つ人もいるかもしれない。でも、私たちのいう「尊重する」って、もっと双方向的なもの。
自分が相手のことを尊重するのと同じように、相手からも自分が尊重されている。あなたも大切だし、わたしも大切。あなたもOK、わたしもOKの状態。
ただ、お互いを尊重するだけではチームが動かない、とも考えられる。
互いを尊重し合いながら、チームを動かし、どんな困難な局面でも共に乗り越えていくためには、目指す方向性を示す「ビジョン」が重要。
私のいう「ビジョン」は、達成できたかどうかを測ることができるゴールというより、
常に方向性を示してくれる、北極星のようなイメージかな。
目指す方向性が共有されているからこそ、「あれ? これはちょっと違うんじゃないかな?」っていうことが起こった時に違和感レベルで気づけるし、それを相手に伝えることもできる。
方向性が同じであるという前提がなかったら、自分たちにとって何が「違う」ことなのかわからないでしょ? だって、進む道に唯一の正解なんてないんだもの。
北極星があるからこそ、自分たちが進むべき方向性をつねに確認できるし、方向を誤ったときは軌道修正も可能になる。
私は基本的に人と何かをやることが好きなタイプだから、チームで取り組むことは多いけど、
自分が心底実現したいと思っているビジョンを共有できるメンバーに出会えるのは、稀有なこと。
たくさんの星がある中で、同じ星を目指すことができる人は、本当にかけがえのない存在。心から大切にしたい。
組織って、良いときばかりじゃない。迷うこともあるし、歩みを止めたくなることもある。
でも、自分たちの北極星を見失わずにいれば、「今、ちょっとおかしくないかな」とか「じゃあどうしてったらいいのかな」とか試行錯誤しながら、一緒に歩んでいくこと自体を楽しんでいける。私は、いい時もそうでない時も、共に歩める仲間がいることを幸せだなあって感じるんだ。
ビジョンに向かって自らが体現し続けていく中で、そのあり方、言動が周りにも伝わって、響いて、対流が起こって渦になり、次第に「そのビジョン、いいね!」と共感して、渦に巻き込まれてきてくれる人がいる。それがムーブメントとなり、いつか社会を形成していくんだと思う。
チームビルディングジャパンも、「チームビルディングの渦」を中心で巻き起こす存在でありたいね。