第39回『MICE業界を変える地域発チームビルディング』

2024年09月05日

インバウンド増加の今、注目されるMICE向けのチームビルディング

最近、街中や観光地で訪日外国人観光客の姿をよく見かけるようになりましたね。コロナ禍でストップしていたインバウンドも、円安の影響などもあり、再び大きな盛り上がりを見せています。この流れに伴い、観光業界だけでなく、MICE（ミーティング、インセンティブ、コンベンション、エキシビション／イベント）業界も新たなチャンスを迎えています。そして、その中で今特に注目されているのが「チームビルディング」です。

チームビルディングの多様化とMICE業界における役割

チームビルディングは、組織内の結束を強める活動として広く知られていますが、その目的や手法は多様化しています。組織開発の一環として行われるチームビルディングと、MICE（主にMI）の中で実施されるチームビルディングは、似ているようで異なるものです。

組織開発におけるチームビルディングは、長期的な視点で組織全体のパフォーマンス向上を目指します。チームメンバー間のコミュニケーションを深め、信頼関係を築くことで、組織全体の協力体制を強化し、共通の目標に向かって効率的に働けるようになることを目指しています。

一方、MICEで行われるチームビルディングは、イベントの一部として参加者同士のコミュニケーションを活性化させ、関係性を強め、ポジティブな感情を共有することに重点が置かれます。インセンティブ旅行などの中で、短期間に知り合い、共通の体験を通じて連帯感を高めることができます。これは、長期的な組織開発やチームビルディング研修などとは異なり、参加者がその瞬間に楽しく、充実感を感じることをより重視しています。

地域特性を活かしたチームビルディングの可能性

MICE業界において、日本国内で提供されるチームビルディングのプログラムは、まだまだ選択肢が限られていますが、今後は各地域の特性を活かしたユニークなコンテンツの開発が鍵となります。地域ごとの「らしさ」を活かしたチームビルディングプログラムを提供することで、主催者にアピールできる可能性が広がります。

例えば、地方の自然環境や文化的特徴を取り入れたプログラムは、その地域ならではの体験を提供し、参加者にとっても特別な思い出を作ることができます。これには、外部の視点を取り入れることも重要です。外から見た自分たちの「らしさ」を反映させることで、他にはない独自のチームビルディング体験を生み出すことが可能です。

組織開発とMICEにおけるチームビルディングの融合

今後、日本各地で地域特性を活かしたチームビルディングコンテンツが増えていくことが期待されます。これにより、MICE顧客に訴求できる新たな価値を提供すると同時に、日本のMICE業界全体の活性化にもつながるでしょう。また、企業がこのようなプログラムを積極的に導入することで、従業員のエンゲージメントを高め、働きがいや離職率の改善にもつながります。

組織開発の視点から見ると、MICE業界のチームビルディングをさらに発展させ、長期的な組織の成長にも繋げることが可能です。短期間のイベントで築かれた信頼関係やポジティブな感情を、日常の業務や組織全体の戦略に活かすことで、より強固な組織づくりが実現します。

インバウンド増加の流れを追い風に、日本各地で「ここでしかできない」チームビルディングプログラムが生まれることが、日本の観光業界や企業文化に与える影響は計り知れません。地域の魅力を最大限に引き出し、新たな可能性を切り開くチームビルディングの進化に、これからも注目していきましょう。