第37回『チームビルディングがもたらした奇跡の救出劇』
2024年08月07日
前回のコラムでは、心理的安全性が低く、ピラミッド型組織の悪例についてお話ししました。今回は、その対極にある、チームビルディングがもたらした奇跡的な救出劇についてご紹介します。
事例紹介: チリ サンホセでの鉱山落盤事故
2010年8月5日、チリのサンホセ鉱山で落盤事故が発生し、33人の鉱山労働者が地下600~700メートルの深さに閉じ込められました。この事故は、誰もが彼らの生存を絶望視するような状況でしたが、奇跡的な展開が待ち受けていました。鉱山労働者たちは非常に限られた食料と水の中で、必死に生き延びる方法を模索しました。
最初の17日間は、外部との連絡が一切取れず、彼らは絶望の淵に立たされました。しかし、8月22日、救助隊がドリルで掘削を進めた結果、ついに彼らのいる場所に到達し、「私たちは全員無事です」というメッセージを受け取りました。この瞬間、世界中が歓喜に沸きました。
チームビルディングの力
この救出劇には、世界中から集まった多様な専門家たちが大きな役割を果たしました。鉱山技師、災害ボランティア、NASA、医師、心理科学者など、誰もが未知の課題に対して協力し、救出という共通の目的のために努力しました。NASAのエンジニアたちは、特殊な救出カプセル「フェニックス」の設計に貢献し、そのカプセルが実際に鉱山労働者を安全に地上に運びました。
ここで重要なのは、リーダーが謙虚な姿勢を持ち、自分が正解を知っていると振る舞わなかったことです。全員が意見を述べることができ、発言機会が平等であることが確保されました。これにより、多様な意見が集まり、最適な解決策が見つかりました。救出作戦は、各専門家が互いに補完し合うことで成功しました。リーダーは、各メンバーの専門知識を尊重し、協力し合うことで、最善の結果を導き出しました 。
奇跡の救出
このケースでは、心理的安全性の高い環境が築かれていました。全員が意見を述べることができることで、最善の判断、決断、行動がなされました。その結果、地下600メートル以上の深さから全員が無事に救出されるという奇跡が実現したのです。
チームビルディングの重要性
チームビルディングが不確実性の高い環境の未知の課題の解決にいかに重要か、そして誰もどうしていいか正解を持っていないときにいかに有効かを伝えてきた。この救出劇は、まさにリアルな奇跡のような出来事であり、不可能を可能にした例です。チームビルディング関連で言われている要素が実現されており、それが救出という結果につながっています。
チームの力が奇跡につながるというこのケースは、私たちに大きな教訓を与えてくれます。ぜひ、皆さんもチームを育てていってください。チームビルディングは、日常業務だけでなく、いざというときに大きな影響を及ぼすのです。