第30回『無駄な集合研修はもう終わり -効果を最大化する方法とは -』
2024年05月02日
昨今の社会の流れに対応し、対面型の研修だけでなくオフライン研修が積極的に導入されるようになったことにより、受講者は自分のスタイルに合わせて学び、同時に集団としての一体感も保ちながら、柔軟に対応できるようになってきていることを、前回のコラムではお伝えしました。
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以前は人と人が対面し、集まって活動することが当たり前でしたが、その常識は大きく変わりました。働き方の多様化が進み、一堂に会して対面で集合研修を実施することは以前に比べて容易ではなくなりつつあります。だからこそ貴重な集合研修の場を設ける際には、より効果的に、付加価値の高いものにすることが求められています。
今回のコラムでは、体験型だからこそ可能な研修効果についてご説明しましょう。
対面型集合研修が開始される際、参加者は期待と興奮を抱えて集まっています。この時点で、研修が参加者の関心を引き、彼らの学びや成長を促進する必要があります。これを実現するのが「体験型」の研修です。
体験型の研修は、単なる知識の伝達や座学だけではなく、参加者が実際に体験し、感じることで学びを深めるアプローチです。対面集合型の研修では、参加者同士が顔を合わせ、リアルな体験を共有することができます。このような状況下で体験型のアクティビティを実施することで、参加者はより深い学びを得ることができます。
体験型の研修では、参加者が自ら行動し実践することで新たな気付きが生まれます。例えば、チームビルディングの場面では、参加者がチームワークやコミュニケーションの重要性を実際に体験することで、理論的な知識以上の学びを得ることができます。
また、体験型のアクティビティは参加者の興味を引きつけ、参加者同士の関係を深める効果があります。集合型の研修では、参加者がお互いに学びを共有し、協力して課題に取り組むことで、チーム全体の連帯感が高まります。
さらに、体験型の研修は参加者の記憶に残りやすいという利点もあります。実際に体験したことは、参加者の心に深く刻まれ、長期間にわたって彼らの行動や考え方に影響を与えます。
以上、対面集合型研修を実施する際に体験型のアプローチが効果的である理由を解説してきました。
体験型研修は参加者の活発な参加を促し、より深い学びと成長をもたらします。体験型の研修を通じて、参加者は理論だけでは得られない実践的なスキルや知識を習得し、より充実した研修体験を享受することができるのです。
対面集合型で行う体験型の研修がいかに効果的であるかを理解したところで、研修実施時にファシリテーターが行っている3つの重要なポイントを整理してみましょう。
ステップ1)観察
まず、参加者の様子や反応をしっかりと観察します。
誰がどのように反応しているのか、表情、動き、姿勢、声の大きさやトーン、メンバー同士の位置関係などを主に目と耳で観察します。
ステップ2)意味づけ
次に、観察した内容をとらえ、その背後にある要因を理解します。
参加者が感じたことや反応したことに対して、良いことなのか悪いことなのかを判断したり、その意味を読み解いた上で、適切な関わりかけを考えることが重要です。
もちろん全ての場合にその意味づけが正しいわけではありませんが、違ったらまた修正します。
ステップ3)関わりかけ
参加者のコミュニケーションの流れを促進し、学びを深めるための手段として関わりかけを行います。
アクティビティの中で起こっていることへの関わりかけにより、参加者同士のコミュニケーションの流れを変えることで、学びの効果を高めます。
参加者との対話を通じて学びの共有を図り、彼らが自ら考え、気付き、行動するきっかけを提供します。
これらのステップを通じて、ファシリテーターは参加者の学びを引き出し、研修の効果を最大化します。水の流れのように自然な関わりかけが、参加者に安心感を与え、自然な学びを促します。参加者は、単なる知識やスキルだけでなく、自己成長やチームワークの重要性を体験し、持続可能な学びを実現することができます。
集まることの価値を最大化することが求められるようになった現在の環境では、体験型のチームビルディング研修や多くの人がかかわりあうコミュニケーションを重視したプログラムなどがより必要とされるようになりました。その意義を理解し、効果的に取り入れていきましょう。