第27回『リーダーの孤独: 伝えきれない危機感の中でリーダーが取るべき行動』
2024年03月21日
私たちは、かつてない速さで変化する世界の中にいます。テクノロジーの進歩、社会の変革、働き方の多様化。これらすべてが私たちの周りで絶え間なく起こっており、変化に適応することが私たちにとっての新たな常識となっています。このような時代において、会社としても個人としても、革新を追求し続けることが求められています。
多くの企業が直面しているのが、コミュニケーションの希薄化です。テレワークが普及し、物理的な距離が広がる中で、世代間や部門間、さらには上司と部下間のコミュニケーションが希薄になっています。この状況は、チームのアウトプットの質の低下やエンゲージメントの低下につながり、組織の存続にも影響を及ぼす可能性があります。
同時に、変化への適応も大きな課題です。QRコード決済や電子マネーのように、新しい技術が急速に普及し、私たちの生活や働き方を変えています。これに伴い、仕事のスピードも格段に速くなりました。たとえば、かつては資料作成に3日かかった作業が、今では生成AIによって3秒で完了する時代です。
変化のスピードについていくことの難しさや、変革に向けた焦りは、多くの経営者やチームリーダーが共有する感情です。しかし、この焦りが集団思考や偏った発信につながることもあります。特に、多様性の欠如が、チーム全体としてのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。
解決の鍵は、スピード感を保ちつつも、多様性を重視し、コミュニケーションの量を増やすことにあります。異なる専門性を持つ人々の意見を聞き、小さい声にも耳を傾けることで、より幅広い視野を持った決定を下すことができます。
また、このすべての中で最も大切なのは、「心の平安」を保つことです。心の平安があるとき、私たちは恐れや怒りではなく、信頼と理解から行動を起こすことができます。お互いが思ったことを恐れずに言い合える関係性を築くことが、チームのエンゲージメントを高め、イノベーションを生み出すための土壌となります。
危機感を共有したいリーダーのアクションリスト
●多様性を受け入れる
- チーム内で異なる背景や専門知識を持つメンバーの意見を積極的に求める。
- 新しいアイデアや提案に対してオープンな姿勢を保つ。
●コミュニケーションの質と量を向上させる
- 定期的なチームミーティングだけでなく、非公式な対話の場も設ける。
- チームメンバー一人ひとりとの1on1の会話を増やし、個々の声に耳を傾ける。
●心の平安を優先する
- 緊急性に追われる中でも、決断する前に冷静さを保ち、心の平安を大切にする。
- ストレスが高まっている時は、チーム全体で一息つく時間を設ける。
●焦りを避け、慎重に決定を下す
- 焦りによる早急な決定を避け、複数の選択肢を検討する。
- チーム全体の意見を集約し、多様な視点から最適な解決策を導き出す。
●フィードバック文化を促進する
- 正直で建設的なフィードバックを奨励し、チームメンバーが自由に意見を交換できる環境を作る。
- 自らもフィードバックを受け入れ、改善につなげる姿勢を示す。
●変化に対する柔軟性を保つ
- 新しい技術や手法に対して学習意欲を持ち、チームにもそれを奨励する。
- 市場や業界の変化に敏感であり、必要に応じて戦略の調整を行う。
●自律性を促す
- チームメンバーに対し、自ら考えて行動する機会を与える。
- ゴールは明確に設定するが、その達成方法についてはメンバーに裁量を与える。
変化の時代を生きる私たちには、変革への積極的な姿勢とともに、心の平安を大切にする柔軟性も必要です。多様性を受け入れ、コミュニケーションを活性化させることで、私たちはこれからの未知の挑戦にも対応できる力を内に秘めることができます。焦りを感じることはあっても、それを乗り越える力は、私たちの中にあります。それこそが、この変化の時代を生き抜くための、最も大切な力なのです。