第6回『あなたは知ってますか?海外ではすでに必須「ESG」経営とは』
2023年05月11日
2021年、ナスダックの上場基準が改正され、「2名以上のダイバーシティ役員を必須とする」という条項が追加されました。この改正によって女性役員やLGBTQ+、マイノリティ人種の方たちが役員に入っていることが必須となり、しかも毎年役員構成のレポートを出すことが義務付けられました。企業の義務としてダイバーシティについて毎年開示しなければならなくなったのです。
つまり、役員の多様性が推進されていない企業は上場すら難しいということです。(厳密には余地はのこされている)
これはものすごく大きな変化です。ダイバーシティはもはや企業が無視できないものとなっています。ここ10年、企業は「ESG」を大事にしなくてはならないと言われてきました。前述のナスダック上場基準の改正もその流れの一つです。
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字です。2006年には国連により責任投資原則が提唱され、財務情報だけでなく、環境や社会、ガバナンスに関する視点も投資の際の意思決定プロセスに取り入れることなどが投資する際の行動原則として示されました。
投資家が企業に提案していったり追及をしていったりするなどし、積極的にかかわっていくことによって、環境や社会、ガバナンスを考えている企業を大切にしていきましょう、ということです。ESGはもはや日本も含め世界中で当たり前に取り入れられ、ESGがきちんとできていない企業はマーケットから評価されず、投資家は株を買ってくれなくなっています。
かつて、企業経営では短期的利益追求が求められていた時代がありました。スーパースターCEOがその在任期間中にどれだけ成果を上げられたかが、その人の勲章になっていました。今でもスーパースターCEOに憧れる人はいると思いますが、短期的利益追求は今の時代ではNG。それよりも長期的に持続できる企業が求められています。短期的な利益よりも大事にされるのは長期的なサステナビリティです。
成果、数字よりも環境問題、人権問題に真剣に向き合い取り組む企業が評価されるようになっています。
環境のことや社会のこと、ガバナンスのことができている企業って素敵だな、イメージがいいな、というレベルではなく、 経営層はすでに必須課題として捉えています。
企業の中で働くすべての人が、短期的成果よりも環境や社会、ガバナンスを考慮した長期的成果が大事なのだという意識に変えていかないと、ESGを大切にした組織文化にはなりません。それでは上場基準を満たせない会社になってしまいます。
社員の中には、ESGは企業イメージアップのためのきれいごとだと思っている人もいるかもしれません。しかし、最初は形から整え始めたとしても、それが血肉となり、自分たちの組織、会社、企業の価値観、文化として根付いていきます。逆にそうでなければ本物のESGを大切にしている企業にはなり得ず、結局市場からは評価されない仕組みになっています。
ESGはもはやきれいごとではありません。 チームづくりの方向性を考えるうえでも無視できないものです。利益を上げれば何をしてもいい・・・ではなく、ESGの視点を持った社員を大切にする会社であることが求められています。そして、経営層のみならず、全てのメンバー一人ひとりが本当にESGを大切にして組織文化として醸成していくことによって、結果的には市場にも評価される組織になるのです。
<今日のポイント>
- ESGはきれいごとではありません。
- 企業のイメージづくりではなく、ビジネス上で必須のものになっています。
- とりあえずレポートで出せる形だけにしておくだけ、というのは通用しません。
- 今、世界中の国々、世界中の企業が本気で取り組んでいます。
- ESGはビジネスとは切り離せないものになっていることをみなさん気づいていますか?