第5回『チームビルディング専門家が「公約は守らない方がいい」という理由』
2023年04月27日
4月は統一地方選挙があり、
自分の住んでいる地域でも先日選挙がありました。
投票するたびに思うことがあります。
立候補者が発信している方針や公約を見て投票するわけですが、
「推進します」「廃止する」など分かりやすくシンプルなメッセージで発信されており、
自分自身も○○賛成派なのか、○○反対派なのかという点で比較して選んでいるわけですが、
これについて常々違和感を感じるのです。
チームビルディングの視点で見ると、選挙制度は組織づくりに失敗する可能性が高い手法です。
少なくとも、我々が関わっている企業には、このようなやり方は絶対おススメしていません。
選挙では多様な視点の人たちが、議員として選ばれます。
せっかく多様な議員が選ばれても、決め方は結局多数決。
○○賛成派の人が多ければ賛成案で、○○反対派の人が多ければ反対案に決まってしまいます。
これでは話し合いが起こらなくなってしまうというのが一番の問題点です。
選挙で有権者が選んだのだから、多数決の結果が正しいと解釈してはダメです。
多様な視点を交ぜ合わせて新たな第3案を生み出さなければ、この先の未来を切り開いていくことはできません。
ここで必要なのが「対話」です。
ここでいう対話とは、単なる意見交換ではなく、
自分とは逆の視点をもった人がいるときに、
相手はどのような観点で賛成しているのかな、反対しているのかな・・・
その問題点を解決していくにはどうしたらいいのだろう・・・
と考えて話し合っていくことです。
対立したA案かB案かのどちらを選ぶのかを議論するのではなく、
推進派として選ばれたAさんと反対派として選ばれたBさんが対話をすることによって、
C案が生まれてくる可能性があるというのが、
チームビルディングに必要な対話の力です。
対話が無ければ、より良い未来を切り開いていくことはできません。組織づくりに欠かせないものです。
AorBで選ぶのではなく、対話でAとBを交ぜ合わせていくことが、
この変化のスピードの速い環境において未来をつくり出すには必要不可欠なのです。
「対話を大切にします」というメッセージは多いですが、
「集会の場を持ちます」「意見を聞きます」というだけでは十分ではありません。
異なる意見を交ぜ合わせることが重要です。
本当の意味で対話を大切にしてほしいと思います。
そのためには我々投票するすべての人の意識も進化してゆく必要があります。
「Aさんは推進するって言ったじゃないか」「Bさんは廃止するって言ったじゃないか」などと選挙時の公約にこだわるよりも、その場、その状況において最適な判断ができているかが大切。
今は社会の変化スピードが大変速く、1年経てば大きく状況が変化します。
むしろ1年経っても進化しない意見でいいのでしょうか。
現在のように変化の激しい環境においては、任期中でも環境に合わせて柔軟に変化する必要があります。
むしろ人の話に耳を傾け、環境の変化をキャッチして柔軟に変化し、進化し続けられる人を私たちは選ぶ必要があります。
我々は「多数決」の結果を正しいものとして無条件に受け入れがちですが、
多数決はむしろ民主的ではないやり方です。
なぜなら、多数決とは少数派を切り捨てる手法だからです。
多数決は物事を決定する手法の一つではありますが、
「多数決が必ずしも正しい選択の結果を導くわけではない」という点は、
重要で、かつ見落としがちなポイントです。
多様性を尊重する現在の世の中のなかにおいて、
少数派を切り捨て、多数派や声の大きい人だけ優先する多数決の手法では、
未来を切り開いていくことはできません。
より民主的に小さい声も含めた多様な声を聴く必要があります。
多数決で決まったことだから仕方ない、安易に受け入れるのではなく、
多数決は決して民主的ではないことを私たち一人ひとりが意識する必要があります。
ではどうしたらいいのか・・・というともちろん簡単ではありませんが、
例えばこんなアイデアはどうでしょう
多数決で決める「選挙」の代わりに、例えば、投票所にテーブルと模造時を用意して、意見をみんなが話し合う対話の場を設置する。
そこへ集まった地域の人たちとみんなが直接話し合えばいい。いろんな人たちが話すことによって、政策について何も考えていなかった人も知ることができますし、何も知らない人が発するこういう方がいいんじゃないの、という意見から発見があるかもしれません。
さらに、今はオンラインで気軽につながれるようになりました。
チャットで様々な声を集め、抽出することもできます。 データから得られたものをマーケティングだけでなくより良い選択のために活かすことが出来るかもしれません。
30年~40年前ならこのような方法は無理でしたが、 今は瞬時にみなの声を集め分析することができます。
このような声を交ぜ合わせたものを、進化させていくこともできるでしょう。
また「投票」よりも「じゃんけん」の方が優れているかもしれません。
じゃんけんで政治家は選べないだろう、というかも知れませんが、ランダム性という点では多数決よりじゃんけんの方が優れているといえますし、
短いタイムスパンで任期を区切り、世代交代を繰り返す仕組みができれば、じゃんけんで議員を選んだ方が未知の課題に対する最適解を導いていくでしょう。
現在の選挙や投票の仕組みは、チームビルディングの視点では現在の環境には合っていないといえます。多数決よりももっと今の時代に合ったやり方があります。
私たち一人ひとりの意識が向上し、安易に「多数決」に頼るのではなく、
一人ひとりが考え、話し合う社会ができることを願っています。