第98回『チームの目標と個人の目標』
2011年04月28日
チームには目標や目的が必要です。一緒に取り組む目標や目的が無ければチームにはなり得ません。そしてチームの目標について考える時に必ずあがるのが「チームの目標と個人の目標」の捉え方についてです。「個人を犠牲にしてチームの目標を目指すべきか?」ということは良く話題に上ります。
チームマネジメントにおいては、チームの目標は欠かせませんが、同じ様に個人の目標や目的意識も欠くことが出来ないものなのです。これらの扱い方を理解することで、個人の目標とチームの目標を天秤にかけずに済む様になります。
チームとは、「仲間が思いを一つにして、一つのゴールへ向かって進んでいける組織」のこと。ゴールとしての目標(又は目的)は欠かすことが出来ません。しかし、この目標は「他人事」では上手く行かないのです。ここにかける一人一人のの思いがなければチームのゴールとしては機能しません。
多くの会社が「お客様のため」を大事にしていますが、お客様のために自分を犠牲にするのは間違っています。自分を犠牲にして、つらい思いで嫌々相手に接しているようでは結局相手も不快になり、お客様のためにもならなくなってしまいます。「お客様のため」を本気で考えれば、例えばお客様と一緒にいることで自分が元気になり、その元気をお客様に返せるような良い循環が起こるような関係が必要です。どこかで誰かが苦しんで自分を犠牲にしていると、それがネガティブな循環を起こすきっかけとなってしまうのです。お客様のためが自分のためになり、自分の目標や喜びに繋がっている状態を作ることがより望ましい状態なのです。
チームが素晴らしい成果を上げるためには、無理矢理やらされている状態や、お金のために仕方なくやっている状態ではダメです。そこに集まるメンバー全員の主体的な動機が必要不可欠です。そのためにはチームの全体目標をブレイクダウンして個人の目標に落として行くというアプローチでは上手く行きません。次のようなステップで、個人の思いをチームの目標に関連づけていくという方法が有効です。
- まずチームにとって大事なこと、その目的や目標をメンバー全員で共有する。
チームの存在理由や目標は全員が理解を共有しておく必要があります。ここにブレや迷いがあると次のステップへ進めません。しかし、つねに完璧なものを用意しようと思わない事も重要です。確固たるものが見えていないチームでも、それがまだぼんやりとしか見えていないという認識を共有して、前へ進んでいくことで少しずつ見えてきます。
つねに完璧を目指しながらも、完璧には永遠にたどり着けないことを知って掘り下げていくべきです。どこかで割り切って決める必要があります。
- チームの中での個人の思いや目標をあげる。
その個人がなぜチームに参加しているのか?というところから探っていきます。この主体的動機がチームを動かす原動力となります。この思いが無いメンバーはそのチームに良い影響を与えません。しかし、多くの場合、きちんと掘り下げて理解することで本人の主体的動機が見つかります。
- 個人の目標がどのようにチームの目的や目標にかなっているのか?を関連づけて説明する。
これはその目標を掲げた個人が一人でする必要はなく、複数メンバーでその関連性を話し合うことも効果があります。ただし、個人の考えを他のメンバーが決めつけてしまわないようにしましょう。
個人の主体的動機がチームの目標に関連づいて初めてチームが動き始めます。個人の主体的動機を原動力に、チームで掲げた目的地へ全員で向かっていけます。そしてそれがメンバー一人ひとりにとって「自分のため」にも素晴らしい成果を生み出し、ゴールへたどり着いた後に「またこのチームでやろう!」と思えるような結束も副産物として生まれて来るでしょう。