第94回『「やらなきゃならない事」のために自由を失っていませんか? 』
2011年03月03日
組織で仕事をするからには当然の様に「やらなければいけない事」がたくさん出て来ます。そんな中で自分を犠牲にして苦しんでいるという話もよく耳にします。当然の事ながら、やらなければいけない事を放っておいて良いわけではないですし、上司の言う事に逆らってばかりでは組織として機能しなくなってしまう事でしょう。誰もが自分の好き勝手にやっていては世の中うまく回りません。
しかし、自分の力ではどうしようもない不自由さの中で自由を手に入れるための方法があります。それは全ての責任を投げ出してしまう事とは正反対の事です。つまり、全ての選択を自らの責任と捉えることで自由を手に入れる事が出来るのです。
外部の力、不可抗力で自分は何のコントロールもできる立場に無く、何の選択の権利も無い様に見える時でも、自分の捉え方次第で全て主体的な選択に変えて行く事が出来ます。この自分の選択は他の誰も邪魔することは出来ない、完全な自分のコントロール下にあるものです。
例えば、「上司に無理な仕事を押し付けられて断る事は出来ないので嫌々やる」という様な時にもこれを主体的に捉え直し、上司の選択で自分には力がないという状況から自分の選択として捉え直し、コントロールする事が出来る様になります。
このためには、次のようなステップで捉え直す事が出来ます。
1) まず、その嫌々やらされていることが嫌だとしたら、必ず何かと比べてこちらの方が嫌だと言う事が出来ます。それが何なのかを確認します。
「勝手にこっちの都合も考えず仕事を無茶振りされる」より、「自分で仕事のペースをコントロールしたい」などという選択肢が考えられるかもしれません。
2) この時点で嫌々と思っていたものも実は複数の選択肢から自分で選択していた事を確認します。
3) そこでなぜ自分がその選択肢を選んでいるのかを考えます。不可抗力ではなく、必ず何か自分のためになる理由でその選択肢を選んでいるはずです。「自分は〜」「自分が〜」など、自分が主語になる理由を考えます。
「自分が上司から良く思われたい」「自分がこの組織にいる価値を示したい」
4)さらに自分のためになる理由を上乗せします。
「この無茶振りを嫌な顔一つせずやり遂げたら、この会社の中での自分の価値が上がる」「これは自分にとって始めての挑戦だから自分の成長に繋がる」などといった自分のためにその選択肢を選ぶ理由を考えます。
これはあくまで一例ですが、他にも人の責任にしていた事を自分の責任として取り返す方法はあります。
このようにして全ての選択の責任を自分の手に取り戻すことの何が良いのかと言えば、その反対では全て人のせいにして、自分の自由を放棄してしまう事になるからです。責任を放棄する癖がついていると、常に人や環境のせいにして言い訳をしたり、自分で責任を負わないまま権利だけ主張するようになってしまいます。そんな状態では組織の中で求められる存在にはなれず、社会の中で淘汰されていってしまいます。
つまり、物事を主体的に捉え、責任を負って行動することを選択しない限り、生き延びて行くことが出来ないのです。
もちろん、そのような選択をし続ける事がつらいとき、大変な時もあると思います。誰しも自分のキャパシティ以上の選択はできません。そんな時は無理せず弱音を吐いたり、誰かに頼ったりしても良いと思います。それでも長い目で見て、主体性を持った選択をして行けば良いのです。一時的には「今は自分のキャパシティを超えているから弱音を吐くぞ」という事を自分で選択してもかまわないと思います。
そのようにしてコントロールしながら、主体的な選択を続けていると少しずつ自分のキャパシティも広がって行きます。
そして「やらなきゃならない事」も自分の捉え方次第で自分の自由を広げるために活かせる様になって行くはずです。