第85回『チームを構成するメンバーに必要なたったひとつの事』
2010年10月28日
チームメンバーに求められるものは様々です。特別な能力であったり、又は心構えであったり。求められるものはチームによっても様々ですが、それがどんなチームであろうとも共通して求められるたったひとつの事があります。それはメンバーの主体性です。ここで言う主体性とは、自ら率先して考え、行動すること。他者やチームに依存するのではなく、自ら責任を奪い取って行くような主体性です。
チームで仕事をして行く上で、「自分を犠牲にしてでもチームのために」という考え方ではうまく行きません。どこかで行き詰まります。チームのために自分を犠牲にしていると、主体は自分ではなく、チームになってしまいます。そして主体であるチームや組織からの見返りが無いと「自分はこんなに自分を犠牲にしてまで尽くしているのに、チーム/組織は自分のために何もしてくれない」という発想にも繋がります。
主体性をもって物事を捉える人は「チームのために」と考えてもそれが自らの犠牲と引き換えであるとは考えません。つまり、チームのためがそのまま自分のためであると理解しています。そのため、自分を犠牲にせずにチームのためを考える事ができます。
主体性を持った人は、物事を人や環境のせいにする事をいやがります。「会社が○○してくれないから・・・」「市場環境の悪化のせいで・・・」といった考え方をしないのです。「会社のせい」や「環境のせい」はつまり主体は自分ではなく「会社」や「環境」にあり、自分には一切コントロールの権限が無いという事です。これとは反対に、自分のキャパシティの範囲でできる限りの責任を自分に集めようとします。主体的でない人たちが会社のせいや環境のせいにしてしまうことを自分でコントロールできるものに置き換えて考えます。たとえば、「市場環境が悪化しているから手の打ちようが無い」という考えではなく、「市場環境が悪い中で成長しているビジネスのモデルを自分達の会社にも当てはめられないか?」と考えたり「市場環境が悪い今こそ、小さく小回りの効く会社が飛躍できるチャンスだ」と考えたりします。他責でなく、自責で考えるのが主体的な人たちです。
このような主体性を持った人たちが集まると、自然に組織の最適化が起こります。それぞれがチームの中で必要とされる役割を取り、全体として機能するようになります。主体的でないとどうなるかと言えば「事前に指示してくれないと分かるわけが無い」といった受け身の姿勢になってしまいます。
本当の “All for one, one for all”は主体的な人の集まりの中でしか起こりえません。
自分のチームをより良くするためにできる事は、まず自らの主体性を磨く事です。