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第81回『チームの指標の使い方』

2010年09月02日

チームづくりレシピ

チームにとって、「いま、自分たちがどういう状態にあるのか?」を把握し、その理解を共有する事は重要な事です。しかし、多くの場合に現状認識の共有は難しく、共有していたとしても放っておくとすぐにぶれてしまうものです。そんな現状認識共有のために便利なツールが「指標」です。「この指標が重要である」という認識を共有し、継続的にその指標を全員が確認する仕組みによって、チームの認識共有をサポートできます。

指標は「今自分たちがうまくいっているのかどうか?」を測るツールです。チームの目指す状態があり、その状態へ近づいているのかどうか?またはその状態が維持されているのかどうかを数値で確認する事が出来るのです。こういった日々使う指標は「売上高」や「経常利益」といった大きな数字ではありません。もっと日々の行動に直結した数字になります。
それらは例えば「顧客との面談数」や「お問い合わせ件数」であったり、又は「事故件数」や「クレーム件数」、「顧客あたり購買額」や「リピート率」などもそうです。実際にはその業種によっても使える指標は変わってきますが、ポイントは日々の行動がその指標に影響を与えるかどうか?です。

各自の行動が結果に影響を与えない指標ではこのチームで日々使う指標としては効果的ではありません。この指標がある事によって各自が「今自分達はうまくいっているのかどうか」を把握できるからこそ、行動の改善につながり、また良い成果が出れば良い行動の継続につながります。たとえば、「リピート率」が指標となっていれば、日々の考え方として「こうしたらお客様がまた来たいと思ってくれはずだ」と考え、工夫して行動できます。こうして自ら考え、行動する事によって数字に影響を与える指標であれば、行動する側の貢献度合いも見えやすく、モチベーションも上がります。
また、指標を測る期間がたとえば一年間などの長期のものはチームで日々使う指標としてはやはり機能しません。「年間売上高」などではなく、1日、または1週間程度の期間で測る事ができないと日々の行動の改善につながりません。

また指標はチームの価値観を表すものとなります。「この価値観を大事にしろ!」といわれても分かりづらいものを数字で示す事で誰もが行動に反映できるものに変えます。たとえば、「安全第一」を掲げる工場では「無事故操業時間」を指標としたり「感謝」を大事にする会社では「感謝カード」を書いて渡した枚数を指標としたりできます。
さらに価値観から落とし込まれた戦略を指標で表します。「新規獲得」と「リピート率向上」ではどちらを優先するのか?「成約率アップ」と「問い合せ件数アップ」ではどちらを優先するのか?戦略に基づいて重要指標を決めます。

【チームで日常的に使う指標に必要な要素】
・ 各自の行動、貢献がその数字に影響を与えるもの。
・ 1日ごと、1週間ごとといった比較的短い期間で見る事が出来るもの。

【チームで日常的に使う指標の表すもの】
・ チームの価値観を表すもの。
・ チームの戦略をあらわすもの。

指標は使われていても形骸化してしまっていたり、行動に直結しづらいものが使われていたりしがちです。「チームを前進させるために指標をどう活かせるのか?」という原点に立ち返って、指標を見直してみると、指標を再活用できるかもしれません。

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