第80回『チームビルディングに必要なたった一つのこと』
2010年08月19日
チームビルディングに必要なのはたった一つだけです。素晴らしいチームはどんなチームでも必ずこれが出来ています。逆にこれが出来ていないチームは成果を上げられるチームにはなれません。道のりは簡単ではありませんが、このたった一つのことにフォーカスする事がチームを変えてゆきます。
たった一つのこととは、「認識共有」です。この軸をぶらさずに持ってこだわり続けることです。皆さんがチームビルディングをしようと思う時にはどういった改善を試みるでしょうか?多くの場合に「メンバー間のコミュニケーション改善」「モチベーションアップ」「個別最適から全体最適」「上司と部下の壁をなくす」などといった改善が上がってきます。しかしこれらはより表層的な課題であって、これらのうちどれに集中的に取り組んでも表面的な課題解決にしかなりません。しかし、これらの表層的な課題も、「認識共有」という一つの軸にこだわることで解決されます。
では、認識共有とは何なのかというと、その内訳は以下の3つに分類されます。
1) 現状認識の共有
2) あるべき姿の共有
3) 現状からあるべき姿へ向かうベクトルの共有
【現状認識の共有】
いま自分たちがどういう状態であるのかを共有します。多くの組織で、あまり気にしないまま、この部分で大きなひずみが生じています。お互いの間のちょっとした誤解。納得のいかないまま黙っていることなどはもちろん、企業の理念の捉え方、会社の方針転換についての理解のギャップなど、多くが共有されないままに進んでゆかなければならない状態の組織が多々あります。ひとつの組織であるのに、ベクトルがバラバラな状態から、「今現状、自分たちはこうである」という認識が共有されることで、大きな力になります。
【あるべき姿の共有】
現状認識の次に必要なのがあるべき姿の共有です。今の現状から、どのような状態を目指すのかを全員が共有します。これは目標の共有やビジョンの共有、又はクレドや行動指針の共有も含まれます。現状認識の共有とは切り離せない密接な関係にあり、現状認識の共有が出来ることであるべき姿が見えてくるなどのつながりがあります。
【ベクトルの共有】
現状認識が共有でき、あるべき姿が共有できると、自然に生まれるのが現状からあるべき姿へ向かう思いのベクトルです。全員が同じ現状認識を持ち、同じあるべき姿を目指すのであれば当たり前に生まれてきます。しかしこのベクトルは思いの共有だけでは十分ではありません。現状からあるべき姿へ向かうために必要なアクションプランも共有する必要があります。
これら3つの認識共有によって、あるべき姿へ向かう強いチームが生まれます。
しかし、実はこれは「この3つが出来ました」というだけで終わる話ではないのです。これらは入れ子構造/フラクタル構造になっていて、大きな共有の中に小さな共有があり、それを常に意識し続けなければなりません。また、らせん構造の特徴も持っていて、今認識共有がうまくいっているからと言って、それが永続するわけではなく、当然環境の変化やチームの成長に合わせて変化し続けるものです。だからこそ重要なのは認識共有に軸を置き、常にチームの認識を共有させる方向へ舵を取り続ける事なのです。
認識共有のためには様々な手法がありますが、またの機会にご紹介できればと思います。