第79回『動物の群れのリーダーはどう動く?』
2010年08月04日
野生の馬は群れを作って生きています。その群れのリーダーは人間のように上司に選ばれてリーダーになるわけではありません。その行動によってリーダーと認められるのです。馬を調教する専門家は、野生の馬の群れの観察から学び、その群れのリーダーのマネをするところから馬を従える術を体系化して行ったそうです。馬のとのコミュニケーションについて専門家の話を聞くと、チームビルディング理論にも繋がる色々な事が馬との関係作りの中でも行われていました。
暴れ馬を話の通じる相手にしてしまうプロは馬に対してとても敬意をもって接しています。その手法の基本は野生の馬のリーダーが取る行動を人間がまねをして、リーダーとして認めてもらうというもの。そこでは馬を鞭で打ってしつけるというような事は行われていません。人間が馬に対して敬意を表し、馬も人間に対して敬意を持つという関係作りなのです。
たとえば、馬を後ろに下がらせるためには2種類の方法があります。1つは自分の気になる物を確認しようと考えて後ろへ下がらせる方法。もうひとつは怖がらせて後ろへ仰け反るように下がらせる方法。前者は馬の主体的な動機による行動です。後者はただの恐怖への反応です。
人間の場合でも例えばX理論Y理論(D. マクレガー)というものがあります。X理論では「人は本来仕事をしたがらないものなので、報酬と罰とで動かす」という考え方をします。Y理論では「人は自らの主体的動機(やりがい)のために仕事をする」と考えます。馬を怖がらせて後ろへ下げるのはX理論、馬の主体的動機で後ろへ下げるのはY理論の考え方に当てはまります。
馬は確かにY理論に則って動き、人間をリーダーと認めてくれると走って行って一緒に障害も飛び越えてくれました。敬意ある関係が作れないと、障害を恐れて障害を越えてくれないそうです。
あなたのチームメンバーは、あなたが障害へ向かう時に一緒に乗り越えてくれますか?