第70回『役割分担とチーム』
2010年04月01日
チームビルディングのプログラムの中ではよく役割分担の話が出てきます。役割分担を活かす事でチームの力を引き出す事ができます。
これはただ分業するだとか、適材適所だとかだけではなく、役割分担をもっとアグレッシブなフレームワークとして活用する事ができるのです。
チームの中の役割分担はスポーツのルールとその中の役割のようなもの。野球であれば打者の役割はボールを相手チームに捕られないように打って、できるだけ遠くの塁まで走ること。いくら遠くまで走っても、次の塁にたどり着けないとダメ。サッカーであれば、キーパーの役割はチームの中で唯一手でボールに触れてもいいが、それは指定されたエリア内に限られ、ボールを持って相手ゴールまで走り続ける事はできない。
こういった役割とその役割に期待される仕事とルールが明確であるから自分がどのように強みを活かし、チームに貢献すればいいのかがわかります。
役割には常に以下の二つのものがついていなければなりません。
1) その役割に期待される仕事、成果。
2) その役割に就くにあたって、守らなければならないルール。
これらがある事で、自分がどのように自分の力を発揮すればいいのかがわかります。逆に言えば、これらがないと自分がその役割を果たす時に能力が高いのか低いのかも判断できません。
野球の打者であれば、ただ力が強くて遠くに飛ばせれば能力が高いというわけではありません。ルールがあるからこそ相手の隙をついて盗塁することで能力を発揮する選手も居れば、どこに飛んできた球でもヒットにできることで能力を発揮する選手もいるわけです。ルールがないと、自分の持っているどんな能力を活かして、求められる成果をあげればいいのかがわからないのです。役割とルールが明確だと、自分が投手として能力を発揮すべきか、打者として能力を発揮すべきかもわかります。
これは会社の中でも同じです。期待される成果とルールが明示されていると、そのフレームの中で個々の才能の活かし方がわかります。制限のないことが自由なのではなく、制限の中で自由な選択が出来ることが自由なのです。
ルールというフレームがあるからこそ、発想が広がります。 人を役割というフレームにはめて抑制するのではなく、人が役割というフレームの中で自分の強みの活かし方を見つけ、そこで出す成果を自分の工夫や努力で生みだしてゆくのが面白いのです。
そして色々な役割の中から、自らの力を発揮できる場を見つけ、その中で主体的に力を発揮して行きます。