第68回『組織をオープンソース化する』
2010年03月04日
インターネットの発達によって、オープンソース型のコミュニティが色々な所で生まれ、活性化しています。例えばOKWaveのようなインターネット上のQ&Aサイト、クックパッドのようなレシピを投稿し合うレシピサイト、ウィキペディアのようなオンラインの百科事典もそうです。コミュニティのメンバーが自発的に自身の持てる能力を発揮し、その力(情報)を借りたい人は気兼ねなくしかも無償で借りることができます。
ところが、多くの組織、企業などは自発的に動けないことで悩んでいます。チームビルディングジャパンへの依頼でも「自発的に動ける組織にしたい」といった要望を多くいただいています。
自発的なオープンソース型コミュニティを観察すると、新しい方法でメンバーが主体的に活躍する組織の形が見えてきます。
たとえば、レシピの投稿サイトでは、多くの人が無償で自分の料理レシピを投稿しています。それに対して、実際にそのレシピを見て作ってみた人が作ってみてのコメントを残しています。そのコメントが励みになって、また次のレシピを投稿します。投稿する側は、自分のこだわりや得意なことを人に教えたり、伝えたりすることそのものに満足を得ます。レシピを見る人たちは無料でそのレシピを手に入れ、使ってみることができます。そこから改善していったりということも起こります。そんな好循環が起きるのがオープンソースのコミュニティです。
同じことがコンピューターのOSやソフトの開発、ネット上の百科事典などでも起こっています。
このようなコミュニティでは、チームが頭脳を一つにして成果を生み出す条件や、人が夢中になる条件に当てはまる状態が多く見られます。オープンソースのコミュニティは楽しく、夢中になりながら、かつ付加価値が生まれやすい環境にあります。
いくつかの特徴をあげると
・やりたい人がやる。
・やりたいことをやる。
・資格や許可なく、勝手に参加していい。
・二次的報酬よりも、その活動そのもののために活動する。
・気軽な思いつきで行ってもいい。
・質の高いものから低いものまで集まる玉石混交。
・良いものはコミュニティの中で更に磨かれ、良くないものは自然に淘汰される。(淘汰されても良い前提で動いている)
・他の人のアイデアや成果に便乗したり、発展させたりすることが推奨される。
・誰か個人や企業がそのコンテンツを所有していない。(所有していないからこそ、誰もが勝手に改善してゆく事ができる。)
一見すると、「そんなことは趣味の世界やボランティアの世界だからできるけれど、会社ではそんな事はできない」と思われるかもしれません。しかし、今、会社は安定した仕事を保障する場から自己実現の場へと変化してきています。
全員が自分の能力を生かし、やりたい事を会社を通じて実現させながら、世の中に価値を生み出し、生み出した価値の対価として報酬を受ける仕組みの会社がこれからさらに求められてくることでしょう。