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第65回『フォーカスの力』

2010年01月21日

チームづくりレシピ

組織には多様な人材が居ます。多様だからこそ、それぞれの異なる特性を活かしあいながら全体の総和以上の成果を上げることができるのです。どんなに画一的に見える組織でもそうです。一人一人が別の人格であり、異なる興味を持っていたり、特性を持っていたりします。
多様な人材が集まってもバラバラにならず、仲間が思いを一つにして、一つのゴールへ向かっていける力、それがフォーカスの力です。

虫眼鏡で太陽の光を集めて、紙に火をつける実験をしたことがあるでしょうか?フォーカスの力はこの虫眼鏡のレンズのような作用によって起こります。太陽の光はそのまま受けても紙に火が点いたりはしません。ただ暖かく感じるくらいです。ところが、その暖かい光をレンズで集め、一点にフォーカスすると激しく温度が上がり、紙から煙が出て紙も燃えます。
つまり、レンズ全体で受けた光を針の先のような小さな一点に収束することで大きなエネルギーとなるのです。

皆さん自身の所属する組織がフォーカスしている一点は何でしょうか?このフォーカスする一点がなくとも組織は存続できます。フォーカスが一点でなく、もうすこし大きな円になっても組織の存続自体には影響はないでしょう。しかし、光が集まって熱くなり、くすぶって燃え上がるためにはたった一つの焦点に全員が向かっていなくてはなりません。

自分たちはチームとして、どんな成果をあげることにフォーカスしているのか?未来にどのような状態を生み出すことにフォーカスしているのか?これがブレ無く一点に集中しているとやがてくすぶる煙が上がってくる事でしょう。それはもちろん一瞬で煙が上がるわけではありません。じっとその一点に集中し続ける時間も必要です。そしていくら時間をかけてもその焦点が右へ左へとブレてしまっては熱も上がりません。その一点に固定して、フォーカスし続けるのです。

しかし、多くの場合にこの一点が決められません。ブレてしまったり、ぼんやりぼけてしまったり。一点にフォーカスしたくとも、どこにフォーカスしていいのかが見えないのです。その場合はまずフォーカスすることで大きなエネルギーになる事を知ること。そしてその焦点を探り続けること。レンズを近づけたり遠ざけたり、右に動かしたり左に動かしたりしながらフォーカスすべき一点を探り続けます。

組織全体として目指す成果やゴールがこのフォーカスすべき一点となりますが、それ以外にも様々な所にフォーカスのブレが起こりえます。
「自分たちの会社は営業力が強みなのか?技術力が強みなのか?」
「社内の人材育成に力を入れるのか?アウトソースするのか?」
「Pull営業なのか?Push営業なのか?」
「日本一なのか?世界一なのか?」
「自分たちの会社は競合とくらべてどこが強みなのか?」
「自分たちの会社はどのように世の中で役に立っているのか?」

もちろんすべてが相反する事ではありません。しかし、社内で頻繁にブレが見られることは現場にいるメンバーはよく認識しています。ブレていたとしても自分たちがどちらにフォーカスすべきなのか、フォーカスすることによって現れるメリットとデメリットは何なのかなどについて、考え、話し合う事は価値のある事です。
また、こういったことを概念だけでなく、具体的な指標で示して行くことも必要です。
そしてその組織のリーダーは必要に応じてそのフォーカスすべき一点を選択し、決断する。これによって組織が熱を上げて、燃え上がる力を発揮してゆくのです。

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