第58回『「振り返り」だけで終わらない』
2009年10月15日
アクティビティを取り入れた研修、ワークショップなどの後には「振り返り」が行われますが、本当に言葉の通り振り返って終わるだけではあまりにもったいないことです。チームビルディングジャパンでは「振り返り」にあたるものを「リフレクション」と呼んでいます。リフレクションという言葉には「経験したことを振り返って、現実に反映させる」という意味が込められています。
リフレクションの手法もたくさんありますが、基本的には次の3つのステップが含まれています。
1)体験を振り返る
↓
2)その体験の意味を考える
↓
3)現実へ反映させる
1)体験を振り返る
ここが純粋な「振り返り」の部分です。
ファシリテーターは参加者がどんな体験をしたのか?何を感じたのかを問います。
「目標が達成できなくて悔しかった」「ついつい夢中になって時間を忘れて取り組んでいた」「○○さんの一言でチームにスイッチが入った」
といった感情や自分の状態、客観的事実などがここで出てきます。
また、それぞれのフィルターを通して体験を振り返ることにより、お互いがその体験をどう受け止めていたのかを確認しあうことができます。
「みんなで頑張ってとてもいい成果を出せた」という人と「成果に納得が行かない。まだまだ本気を出し切っていない」という人が全く同じ体験をした後に出てきます。同じ体験をしても誰もが同じようにそれを受け取るわけではありません。
2)その体験の意味を考える
その体験をしたこと、そう感じたことにどんな意味があったのかを考えます。
たとえば「目標を達成できなくて悔しかった」という事実から
「でも人によって悔しく感じなかった人も居たんじゃないか?」
「本気で取り組んで、夢中になっていれば全員が悔しがっていたはず」
「そもそもその目標設定が間違っていたんじゃないか?」
などと、様々な視点で体験の意味を考えて行きます。
「高すぎる目標設定ではそもそもやる気が出ない」
「低い目標だとチャレンジ意欲が湧かない」
といった、相反する意味づけが出てきた場合はとても良い対話のきっかけになります。
3)現実へ反映させる
ではこの体験を活かして次にどうするのか?また現実の場で似たような事はあるか?といった問いかけで疑似体験を現実へと関連付けて行きます。
「今、目標達成できなくて悔しかったけれど、会社の目標が達成できなくてもそんなに悔しくないのはなぜだろう?」
「仕事でも夢中になってやってると同じように時間を忘れて気づくと終電逃していたりする」
といった疑似体験の現実体験への関連付け。
「次挑戦するときは全員が納得できる目標を決めて進める」
「自分が分かっているからって相手も分かっているとは限らない。仕事の場でも、もっと伝える努力をしないとお互い思い違いをしたまま進んでしまう」
「全員が好き勝手にやりたい放題やっていたからチームがまとまらなかった。仕事でもそうだけど、リーダーを決めてまとめないと進まない」
といった次の行動への関連付けが行われます。
実際には十分に発散できる場を作ったり、グループサイズ、話し合いの時間などでコントロールしたり、あえて話を収束させなかったり、制限時間を設けて収束したり、途中でメンバーを入れ替えたり、目指す成果によって「話し合い方」の手法はたくさんあります。
しかしどんな方法をとっても「経験したことを振り返って、現実に反映させる」ということを目的として行います。一般的に使われる「振り返り」という言葉も、現実への反映まで含んで使われることが多いと思いますが、チームビルディングジャパンではただ振り返るだけではなく、現実へ反映させる事の重要性を忘れないために「リフレクション」という言葉を使っています。