第57回『企業が哲学に責任を持つ』
2009年10月01日
皆さんの会社は自分たちの哲学に責任を持っていますか? 哲学とは、本質を突き詰めて行く事。何が自分たちの事業の本質かを知り、それを常に突き詰めて行く事です。単に企業理念やバリューを掲げればいいというものではありません。これからの時代、ますます企業の哲学に対する重みは増してゆきます。少し前まで、率先して環境に対して責任を負う企業などありえませんでした。自らの利益最大化のためだけを考え、環境を汚染を避けることやましてや環境を改善してゆくことになど、企業が投資をすることはありえませんでした。環境に対して責任を負うことは哲学に責任を負うことのひとつの表れとも言えます。
本質を学ぶことと本質を突き詰めてゆくことは大きく異なります。たとえば、「経営の神様」のすばらしい経営哲学があって、それを全て学んだとしても、それは哲学たり得ません。誰かが教えてくれた「正しい答え」を「ああそうか」と丸呑みして受け入れてもそれでは哲学にはなりません。何かの本を読んで学んだらそれについて考えること、「なんでそうなんだろう?」また誰かと対話してみること。このように考えて本質を突き詰めてゆくことが哲学です。ですから、何かを学んでおしまいという事ではないのです。常に考え、深めてゆくものなのです。
自らの知恵をもって考えることをせずに、誰かが教えてくれる「正しい答え」を見つけることしか考えられないようではこれからの時代、役に立ちません。
企業であれば、まず「私たちの事業の本質は何か?」を学ぶ必要があります。自社の理念やバリュー、クレドなどをしっかりと学び、考えるところから始まります。たとえば、「お客様第一」を掲げているのに実際の行動は「自社の利益第一」になっていてお客様の利益と自社の利益が相反する場合に自社の利益を優先し、お客様に対して不誠実な仕事をするということはありませんか?そういうときに「お客様第一ではなくて自社の利益第一、お客様は第二に変えるべきじゃないか?」だとか、「なんとしてもお客様にとってよい結果になり、且つ自社の利益となるようにこの事態を変えていこう」と考えるといったこと、こういったことをしっかりと皆で考えてゆきます。
そういうところから「私たちはどんな価値をお客様に提供している会社なのか?」といった事業の本質が見えてきます。そしてこれは見つけておしまいというものではなく、常に突き詰めてゆくものなのです。
■ これからの時代、企業が責任を持つべきこと
『その組織の本質を突き詰め、高め続けてゆく哲学の場を持つ』