第54回『問題解決の前に忘れていること』
2009年08月20日
チームで問題解決にあたるときに、そのメンバーが活かしきれていないと表面的な問題処理にとらわれて、本当の意味での問題解決ができない場合があります。問題解決のスキルを身に付け、ロジカルに切り込んでゆけば解決できるというわけではありません。問題解決に入る前に忘れられがちな事は「何が問題なのか?」を全員が共有し、理解することです。
あなたのチームは「何が問題なのか?」を理解しているでしょうか?
たとえば、人材育成の担当者に社内のマネージャー層から「最近の新入社員は言われたことしか出来ない。新入社員研修で社会に出て働くということをしっかり叩き込んでほしい」という要望があったとします。これを受けて「はい、分かりました」といって素早いアクションで動いてもダメです。新人教育向けの色々な研修を調べて研修会社に相談してもなかなか成果は出にくいでしょう。これは表面的な対処でしかありません。このままでは相談した側もされる側も何が本当の問題か分からないままです。
『マネージャーが最近の新入社員は言われたことしか出来ないと言っている』という事実から問題の本質に迫って行く必要があります。そこで担当者とマネージャーは「なぜそうなっているのか?」を考えます。
そこから『もしかしたら新人を理解できないマネージャー層のコミュニケーション研修をやった方が効果が出るんじゃないか?』『言われたことしかできないんじゃなくて、言われた事がきちんとできるとは捉えられないか?』などと対話を重ねて何が本当の問題なのかを探ってゆきます。
それによって両者がきちんと問題の本質を理解し、どのような対策が考えられるのかがクリアになってきます。問題を理解していれば研修会社に相談すればぴったりのプログラムを提案してくれるでしょう。もしかすると研修が解決策ではなくて、部署全員でバーベキューに行こうという解決策か生まれてくるかもしれません。または役員層のビジョン共有がなされていないことが原因かもしれません。
ただAさんからBさんへ仕事をパスしてゆくだけではチームの力は発揮できません。お互いが相手が何を考えているのかを理解しようとし、組織として求める成果や解決すべき問題点を明確にしてゆくことでただの仕事の横流しではなくてチームとして力を発揮する仕事になるのです。
問題解決の前に立ち止まって考えるべきこと
● 「何のために今、この問題を解決しようとしているのか?」