第51回『チームで話し合う事の価値』
2009年07月09日
職場の会議など、チームが集まる色々な機会があると思いますが、皆さんの会議では「話し合い」をしていますか? 「いつも無駄な会議に時間をとられてやるべき仕事ができない!」という話をよく聞きます。会議がただの「報告会」や「説明会」のような場になっていませんか?メールで情報共有した方が早い話をわざわざ会議の場で報告して時間を取っているという事はありませんか?
人が集まったら誰かが一方的に伝えるだけではもったいありません。せっかく違う経験や知識、考え方を持ったメンバーがあつまったら「話し合い」を有効に行う事で新しい価値を生み出すことができます。
「話し合う」という事は一方通行の情報伝達ではなく、誰か一人の頭の中で考えていた事を全員の頭で考えるというようなプロセスです。自分の主張を通すために相手の考えを否定するというような無価値な自己主張は話し合いを妨げます。「それは私がさっき言った意見じゃないか。まるで自分が考えたように言わないでほしい!」という考えも同じです。自分が言おうが誰が言おうが、その話し合いの中で共有されたものは全員のものです。むしろお互いの考えを全員が自分の物として捉えられる事は良い話し合いを促進するものです。話し合う時には「相手の言っていることを理解しよう」という意識でいるために、お互いに質問を投げ合います。
話し合わない一方的な情報の伝達の場合は新しいものを生み出す事を目的としてはいません。誰かが持っている情報、知識を相手に伝える事を目的としています。「報告会」などは誰かの経験を他の人たちへ伝えるために行う事がほとんどで、そこから新しいものが生まれる事を期待していません。講義型の研修もそうです。講師が持っている知識を参加者に伝える事を目的としていて、参加者同士の間で何か新しい学びを生み出すことは目的としていません。
何か新しいもの、新しい成果を生み出すためには「話し合う」という事が必要です。たとえば、「報告会」で行われる事実の共有の先で行われる「話し合い」によって、報告をした人だけではなく、参加した全員の経験、知識、考え方をもって事実を捉え直したり、次の行動へつなげたりといった事ができます。
何の発展も生まれない話し合いの場では以下のような傾向があります。これを排除することだけでも話し合いを促進するきっかけとなります。
● 常に正しい事を言わなければならないと思っている。
● 否定されることを参加者が恐れている。
● 他者を否定している。
● 話し合いをするだけの前提知識がない。
● お互いに遠慮がある。又は特定の参加者が遠慮している。
● 話し合いの結果得られる「正解」を自分が知っていると思っている参加者がいる。
● 自分の正解を教えようとしている。
● 他の参加者が自分の知っている正解を見つけられるように導こうとしている。
● 賛成か反対かでしか考えられなくなっている。