第33回『若手を教えずに学ばせる方法』
2008年10月30日
「空気を読むのはやけに上手いんだけど、読みすぎて本音で話していないように感じる。」
「今年の新入社員はわからないことがあるとそれを教えてくれない上司のせいにするんだよ。」
「失敗しないことばかりを考えて、挑戦ができない。」
若手を指導する立場の方たちから色々な悩みを聞きます。もちろんすべてを「近頃の若手は・・・」というステレオタイプでひとくくりには出来ませんが、若手育成、特に新入社員育成でご苦労されている方はやはり多いようです。
今の新人/若手育成に必要な事は何なのでしょうか?
新人/若手研修のプログラムを通じて見られる傾向や人事担当者の皆様から聞く話として「失敗しないことばかり考える人が多い」という事があります。想像される原因としてはやはり学校教育で「正解」を教えられ、試験では教えられたとおりの「正解」を答えると良い成績となるという環境が考えられます。これによって物事には常に正解があり、間違いは悪いことだという習慣が身についてしまいます。しかし社会に出れば誰も正解を与えてはくれません。上司も顧客も正解を持っていないような問題に立ち向かわなくてはならない場面が多々あります。そんな時に「顧客が何が欲しいか明確に教えてくれないので正しい提案ができない」などと言っても始まりません。だれも正解を持っていないとしても、最適な答えを常に出してゆかなければならないのです。
正解はだれも教えてくれないし、教科書にも載っていない。そんな時に最適な答えを見つけ出す能力が仕事の現場では求められます。
私たちが行うプログラムは基本的には仕事の疑似体験を繰り返し行って行くので、「自分たちで考えて、自分たちの答えを見つける」ということの繰り返しです。その中でも上記のような傾向が現れ、いきなりはうまく行きません。これを改善して行くために行うのは「皆で話し合う」というとてもシンプルな事です。
「自分たちはなぜうまく行かなかったのか?」「うまく行ったところはどこだろうか?」「誰のどういった行動が成功のきっかけとなったか?」などを疑似体験の直後に話し合うのです。そしてそれを次にどう活かしてゆくのかを考え、プランを立てます。
こういった疑似体験の繰り返しをチームビルディング研修では行って行き、少しづつ変化を生みだして行くのですが、これと同じ事は実は日常業務のなかで行う事も出来るのです。これを行う事でお互いに学びあう環境が生まれます。
日常業務の中で教えなくとも学びあうチームを作る方法
1)何かの仕事に成功しても失敗しても、常にその原因や改善方法を仲間同士で話し合える場を持つ。
2)話し合った内容を元に自分たちの指針やルールを作る。
3)自分たちで決めた指針やルールを実践する機会を与える。
4)実践したらまたそれを元にチームでの話し合いを行う。
このサイクルを続けることで日常業務の中で教えなくとも学びあうチームを作ることができます。