第95回『組織の中で「やるべき事」が出来ない時に』
2015年01月15日
会社のルールや上司の指示など、誰しも仕事をしていれば色々なフレームを与えられ、その中で一定の成果を上げる事を求められます。しかし、そこでやるべきことを上手く出来る人と出来ない人が居ます。例えば「とにかく営業はたくさんアポを取ってたくさん人に会うことだ」と言われても人に会う量を増やすことが上手く出来ない人がいたり、「情報共有のために日報を毎日書け」と言われても書けない人がいたり。
特に経験が無いうちは言われた通りただガムシャラにやってみることは大事で、何かの成果は必ず得られるはずです。しかし、このような時に上手く出来ない事から陥ってしまいがちな二つのワナがあります。
今回はこのワナにかからない為の捉え方について考えてみましょう。
二つのワナとは
- 「上手くいかないのは自分が悪い」と考えてしまうこと。
- 「上手くいかないのはルールや上司などが悪い」と考えてしまうこと。
の二つです。
特に「上手くいかないのはルールや上司などが悪い」という捉え方では全て自分以外の環境の責任なので、自分の力で何か改善して行くことが全くできず、愚痴や不平不満を発散するだけで終わってしまいます。もちろん、心の許容範囲を超えるものについては受け入れることが出来ないので、環境のせいにして自分を安全な状態に置くということも危険回避の策としては有効と言えるので、それ自体が悪と思って自分自身を追い詰める必要はありません。
では「上手くいかないのは自分が悪い」という方は環境のせいにせず、自分で責任を負って行動できるので良いのではないか? と見えるかもしれませんが、こちらも必ずしも良い結果をもたらすばかりではないのです。自分で行動を変えて結果を変えて行くことができればそこから得るものがあるのですが、わかっていても行動が変えられない場合や、行動は変えてもずっとネガティブな気持ちを伴っている場合には悪影響が現れます。ずっと「自分はダメだ」という気持ちが続いたり、イヤイヤ仕事をするという状態が続いてしまったりということになってしまいます。
目の前に「やらなければならないこと」が突きつけられていると、この二つの選択肢しか見えなくなってしまいがちですが、そこには第三の選択肢もあるのです。
それは「上手くいかないのはルールや上司などが悪い」と決めつけるのではなく、「上手くいかないのは自分が悪い」と思い込むのでもなく、一歩引いて観察し、本質は何か?に目を向けるという選択です。A or Bの選択をしなければならないかのようなとらわれから脱して、本質に目を向けるためには例えば次のような問いかけが有効です。
- A or Bの選択肢にとらわれていないだろうか?まずA or Bの判断を保留してみよう
- 今自分は近視的なっていないだろうか? 俯瞰できているだろうか?
- 今自分はどんな感情を持っているだろう?
- この不快感はなぜ現れたのだろうか?
「やるべきこと」から逃げようとしたり、とらわれていたりするとネガティブな気持ちがずっと続きます。逃げるのでもなく、とらわれるのでもない選択をすることでそれは「やりたいこと」や「自然にやること」に変わってゆく可能性をもっているのです。