第93回『チームの力を活かすために自分一人の時間を持つ』
2014年12月18日
私にとって一人でこもって考えごとをする時間はとても大切です。日常的に自分一人の時間を取ることも大切ですが、節目ごとに数日間、一人で考えごとをする時間を取ることが理想だと考えます。 チームで仕事をする人、特にチームを導く立場の人にとって一人で考える時間は重要です。そこからチームの中で自分の活かし方が見つかったり、自分自身やチームの軸を見直すことができるからです。
大切なのに意を決してコミットしないとなかなかブロックすることも難しいのが一人時間です。人によってこもり方、その時間の使い方などは違うかもしれませんが、今回は私の好きなやり方を一つの事例としてご紹介したいと思います。
考えごとをする時にはまず「一人でこもって考えたいことリスト」を作ります。日頃からタスクリストに書いていることなどを参考にしながらこもることを決めたらまリストを作り始めます。 その内容は例えば…
- 個人や会社のミッション、ビジョン、バリューなどについて
- どんな仕事をしていきたいのか?
- どんな会社に育てていきたいのか?
- 自分はどんな人生を生きたいのか?
- 実現したいことを実現するためのプロセスについて
といった類のものです。完璧なリストである必要は無く、考えごとをしながら思考が広がり、新たな項目が見つかる場合もあります。
そしてこのリストはそれを作って全部消化すればいいというものではありません。考えごとを動かすためのはずみ車のような役割であり、ここにこだわり続けるのではなく、俯瞰して眺め、また閉じたりしながら思いついたところ、思考の広がったところを考えていきます。 何かのワークシートなどフレームに沿って思考するのも有意義です。フレームあることで思考は広がって行きます。またメモの取り方も様々ですが、自分の場合はA4の裏紙の束を持って行き、そこにグチャグチャとメモを取りながら考えて行きます。そして混沌とした思考の中から構造が見えて来ればそれは整理して書き留めます。
考えごとした内容はアウトプットにはこだわりません。アウトプットにこだわってしまうとその形式への帳尻合わせになってしまうからです。例えば新年度の方針を考えるというテーマで考えても、それをどうまとめて発表するかといったところは切り分けて考え、また別の時間枠で整理した方が思考は狭まらずに考えられます。 アウトプットとしては考えごとの内容がメモとして残っていればそれで十分です。
そして一人でこもるその場所も重要です。なるべく普段と違う、非日常感のある場所。かつ居心地の良い場所が理想です。私自身は開けた景色の見える場所、自然の中などを好みます。窓のない閉塞感のある場所は選びません。3日間くらい山の中にこもって、焚き火を見つめながら考えたり、散歩しながらというのが理想ですが、開放感のあるホテルのラウンジで数時間考えごとするだけでもとても有意義です。また「どんな場所が自分にとって居心地が良いかな?」「どんな場所で働きたいかな?」などと場所を決める際に考えることも自己理解につながります。
チームで仕事をする人、特にチームを導く立場の人にとって一人で考える時間は重要です。それでも意を決して時間をブロックしないと日常に飲み込まれてその時間は消えてしまいます。私自身もそうです。予定をブロックしたつもりが「こっちの方が優先順位が高い」などと理由を付けて先延ばしにしてしまいがちです。それでも意を決して時間を取ることで自分の考えていることの整理や理解などにつながる大変重要な時間となるのです。 少なくとも年に2回、各3日間ずつくらいの一人でこもる時間を持つことが自分自身にも、チームにとっても価値ある時間となるはずです。