第65回『プライドがぶつかり合う組織をどのようにチームビルディングしてゆくか?』
2013年11月21日
能力が高く、プライドも高い個人の集まりのチームビルディングが難しく、困っているという話を色々な組織で聞きます。一人一人が専門家であり、能力も高く、他の人よりも自分の方が出来るという自負もある。こういった組織では確かにチームビルディングは難しいかもしれませんが、それが機能した時のパフォーマンスもとても高くなるはずです。
今回はそんな組織のチームビルディングについて考えてみましょう。
例えば、スポーツチームを想像してみて下さい。全員が能力が高く、自分が一番うまいと思っている。これまでの経験に基づいた自負もあり、誰にも負けないという強いプライドもある。プライドが先にたってしまうので本来目指すべきチームの勝利よりも自分個人が得点することや個人のプレーを見せることばかり考えてしまう。
当然そんな選手ばかりのチームでは勝てるはずもありませんが、色々な組織で実際にそんなプライドのぶつかり合いが起きています。本来達成すべきゴールよりも自分の価値や存在意義を示すことの方が本人にとって重要になってしまっているのです。チームで、仲間で何かひとつの事を達成しようというよりも、その集団の中で自分の立場を作る事の方に意識が向いてしまっています。スポーツであれば、他の選手よりも自分の方が上手いことを見せつけることを重視しているような状態です。
こういったことは集団が形成されてお互いの関係性ができていない初期には特に起こりがちです。自分の立場を作るということでそれは自分の安全を確保するということでもあります。もちろん初期だけでなく、常に自分を主張しなければならないような環境であればいつでも起こります。
このような組織をチームビルディングして行くためにはまずは明確なゴールの共有が欠かせません。それからお互いに対するリスペクトが必要です。スポーツチームの場合には結果の勝敗が明確に出るため、比較的ゴールの共有はしやすいかもしれません。しかし、多くの組織ではゴールの明確化自体が非常に難しかったり、共有といってもお互いの思惑に阻まれて簡単にはいかないこともしばしばです。
上記のような組織のチームビルディングの時に自分が特に大切にしていることは「まず自分がメンバー全員に対してリスペクトを示すこと」です。もちろんどんなプログラムでもメンバーに対するリスペクトは必要ですが、こういったケースではそれが特に必要です。お互いが自分を主張し合い、下手をすると蹴落とし合うような集団では誰もが尊重され、大切に扱われることを求めています。それなのにお互いがお互いを大切に扱っていない事がほとんどなのです。
メンバー同士がリスペクトあるコミュニケーションをとる事が大切なのに、お互いの間ではリスペクトに欠ける言葉が投げ合われている様な時には、まずファシリテーターがリスペクトある在り方でいることがその場の環境に強く影響します。
相手に求める前にまずは自分から相手へのリスペクトを示す。それをまずはファシリテーターが実践してゆくことがチームのカルチャーにも影響を与えるのです。