第51回『チームヒルディングのファシリテーターは何を見ているのか?』
2013年05月09日
ファシリテーターのチームとの係わり方は随時変化しています。常にチームに何が起こっているのか、どういった状態かを見て判断し、係わり続けているからです。
ファシリテーターはまず起こっていることを見ます。そしてその意味を捉え、係わりかけ、変化が起こるというプロセスを繰り返しています。
今回はそのプロセスについて考えてみましょう。
このプロセスは4ステップに分けて捉える事が出来ます。
1) 起こっている事を見る
2) その意味を捉える
3) 係わりかける
4) 変化が起こる
プログラムを実施するにあたって、まず現状はどういう状態で目的は何か? たどり着きたいゴールはどこか? などを捉える所から始まります。安直に考えてしまうと、この4ステップのうちの3ステップ目と4ステップ目だけで完結させてしまいがちです。ゴールが分かればプロセスも決まってしまうかに思えますが、実際は目的、ゴールが決まっていれば全て画一的に同じプログラムを眈々と進めれば良い訳ではありません 。
そのゴールへ向かうのにどこから出発するのか?動き出して、今どこにいるのか?を常に把握し続ける事がとても大切なのです。
車を運転している時に雨がふったらワイパーを、トンネルに入ったらライトを、などその都度状況に適応して運転して行くのと一緒です。運転する時は常に目を開けている必要があります。
ファシリテーターもまず観察、そして判断です。そしてそれを殆どの場合、瞬時に行う必要があります。すべての場合に有効なマニュアルがあるわけではないので、まず現状どうなのかを把握すること、そのための観察がまず必要なのです。
プログラムの合間にファシリテーターが集まると「今の状況をどう見るか?」という話を常にしてます。また「次にこう係わって行こうと思う」という時にも必ず「こういう状況なので」という理由が必ずあります。
何を見ているのかというと、様々なポイントがありますが、その一番のポイントは主体性です。物事を他者依存でなく、自分自身を主体として捉えているかどうかです。周りの人がどうだとか、環境がどうだといった話ではなく、自分自身や自分たちがどうだという話をしているかでも見る事が出来ますし、行動では「誰かがやってくれる」「お前やれよ」といった姿勢でなく、自ら率先して行動しているかで見る事が出来ます。
また、本気度もよく見ています。何が何でも成し遂げようとしているのか、やらされるからやっているのかは行動や発言の随所に現れます。
この様に、4ステップの最初の2ステップは疎かにされがちですが、とても大切なものです。
この目的ならこうすれば良いと決まった型で動こうとするのではなく、常にチームを見続け、その場その場に適した係わりかけをする必要があります。