第29回『行動指針や企業文化を本当に根付かせる方法』
2012年07月05日
「行動指針が根付かない」「理念が形骸化されている」などの悩みは本当によく聞かれます。その背景にあるのは浸透施策の問題だと思われがちですが、それはごく一部に過ぎません。実際にはそもそもそれを作る理由、作り方、現実との整合性など、様々な要因があります。
私達の会社でも色々な試行錯誤を重ねてきました。今回は企業文化を活かす事について一緒に考えてみましょう。
例えば、行動指針などを作る理由で失敗しがちなのは「うちのダメ社員たち日々の行動はなっていないから、正しい行動を実践させるために行動指針が必要だ」という考え方です。そこまで極端で無いにせよ、社員に「正しい行動」を教えるために作って失敗している組織はたくさんあるでしょう。
行動指針はそんな説教じみた社員を萎縮させるものではなく、もっと社員に誇りを感じさせるようなものであるべきです。自分達は何者であるかを理解し、自分達らしい行動を明文化します。行動指針は自分達らしさを表すものであって、社員を強制させたり萎縮させたりするためのものではありません。
行動指針に限らず、理念でもビジョンでもクレドでも企業文化に関わるものは自分達らしさを表しているものです。対外的に格好をつけたり、社員を縛ったりするものでは無いのです。陥りがちな失敗の例として、対外的に見せるために理念などを作り、社内での唱和を強制して「実践しなさい」と説教だけしているようなケースがあります。当然ながら何か良いものが生まれるはずはありません。
たとえば私達の会社でも、企業文化浸透のために朝のミーティングでそれについて話をするといった取り組みを行って来ましたが、うまく行かずやめてしまいました。最初は思いを込めて行われていたものも止めてしまった時には形だけの取り組みになっていました。
手を替え品を替えの色々な取り組みよりも大切で効果を発揮するのは何よりも日々の実践です。自分達が日々行う事、考える事、判断の軸にする事、話し合う事が文化を作っています。色々な取り組みが効果を発揮しなくとも、額に入れて掲げられた言葉が通じなくとも、日々実践されていることは浸透して行きます。
企業文化を浸透させるのであれば一番大切なのはリーダーが実践してみせる事です。ですから、リーダーが本気でないこと、自分たちらしくないことをいくら掲げても何も生まれないのです。いくら見栄えのいい言葉を掲げても、日々実践している事がそれと正反対であればその実践されているものの方が文化として浸透して行きます。
企業文化を活かす為に必要なことは
・言葉を掲げるよりもまず実践すること。
・自分達らしさを言葉で表すこと。
私達も常に試行錯誤を重ねています。軸をぶらさずに、自分たちらしさを発揮して、更により多くの組織がそれぞれの「らしさ」を発揮して行ける様に実践を続けて行きます。