第24回『行き詰ったら動いてみる』
2012年04月26日
お互いの誤解や性格の違いなどがチームの円滑なコミュニケーションの障害となっているケースがあります。「違い」というのは上手く活かせばチームの強みになるものなので、多くの場合チームビルディングではこの誤解や違いをオープンに出し合って、下心も表に出す共有を行ってゆきます。
しかし、対話による共有に時間がかかりすぎたり、ヘタをするとさらに関係がこじれてしまうというような事も起こり得ます。ちょっと下心も表に出すようなアプローチはうまく行かなそうだという時に、ただ上辺の綺麗事だけで終わらせれば良いかといえばそうは行きません。
こんな時、どこからチームビルディングに手を付けてゆけば良いのでしょうか?
それは、「まず動くこと」です。共有し切れていなくとも「チーム」として動き始めます。
「それが出来ないから困っているんじゃないか」と思うかもしれません。でも、それでも動くのです。気持ちが一つになっていなかったり、メンバー同士の対立があっても構いません。この時に一番大切にすべきは「明確なゴールの共有」です。ゴールは抽象化すればするほど広い範囲で共有されやすいですが、絞り込めば絞り込んだだけ強い推進力を得ます。最初は多少ゴールがぶれていても動きながら微調整してゴールを揃えて行きます。そしてまずは形からチームとして動いている状態を作ります。
私自身、相手が不安がったり守りに入ってしまったりしないように常に自分がどう考えているのか、下心は何なのかを表に出して共有を図っているつもりです。しかしそれでもまだ見えない壁があったり、相手を不安にさてしまったりすることがあります。その原因の一つとして、「相手が何を不安に思っているのか?/相手に何が見えないのか?」が自分に見えていないという事があります。相手が何が見えていないのかが分からないと、どこを見せたら安心してもらえるのかが分かりません。
「自分が頑張って腹を開いても相手がかたくなで開いてくれない。その原因が何なのかもわからない」といったどうにもならない状況もあるでしょう。
このように行き詰ってしまったら「とにかく動く」を実践してみます。共有を待ってはダメです。
私たちがお客様の組織のチームビルディングに取り組む時も擬似的に「とにかく動く」を使っています。体験アクティビティの中で、チャレンジングで簡単には達成できないけれどチームで本気になって取り組めば達成できる目標を持ってもらいます。これに向かって夢中になって取り組むうちにチームの中にあったはずの壁が薄らいで見えなくなって来ます。または壁を打ち砕くきっかけが生まれます。
なぜそうなるのかというと、思いのベクトルが変わるからです。「自分を守る」「相手に負けない」「自分にとって優位な立場を築く」などのチームの仲間と真っ正面からぶつかり合ってしまうような思いのベクトルよりも「チームで達成したい目標」「なすべき使命」へ向かう思いのベクトルの方が大きくなるからです。こういった事に日々地道に取り組んでゆくことは皆さんのチームビルディングの助けとなることでしょう。
共有に行き詰ったらとにかく動いてみる。
皆さんのチームビルディングに役立てていただければ幸いです。