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第22回『ヒーローを崇拝してはいけない』

2012年03月29日

チームビルディング・ノート

あなたの尊敬する人は誰ですか?その人はあなたの行動に影響を与え、物事の判断の指針を示してくれていますか?
尊敬する人の発言や行動は自身の行動に指針を与えてくれます。しかし、尊敬が無条件の崇拝に変わるとそれはあなたにも尊敬する相手にも悪影響を与えます。気づかないうちに崇拝していたり、崇拝されて(させて)いたりしていませんか?今回は崇拝の影響力について考えてみましょう。

尊敬する人が居ると、その人を参考に自分の指針を持つことができ、それは物事を判断する時に「正しい判断が出来る」という安心感をもたらします。自分の経験やものの見方が判断をするのに不十分な場合、尊敬する人の判断を参考にする事が出来ると安心できるのです。それ自体は悪いことではないかもしれません。しかし、その判断軸に頼り切っていると起こる重大な弊害があります。それは自分の頭で考え、自分の判断軸を使って判断するという事をしなくなるという事です。誰か他人の判断軸ばかり使って、自分の頭で考える事を放棄していると永遠に自分の判断軸は育ちません。
通常は、尊敬する人の判断を参考にはしても、そこに完全に依存しきる事は無く、むしろ尊敬する人の判断軸を参考にしながら自らの判断軸を育てて行く機会となります。しかし、尊敬が行きすぎると盲目的に「あの人の言っている事はすべて正しい」という無条件の崇拝に変わり得ます。誰かを崇拝しているととても楽です。自分で考えて判断する必要がないからです。そうして楽をする事が必要な時もあるかもしれませんが、そこで得られる安心と引き換えに自らの自由を放棄することにもなります。自らの知恵を発揮して考える事を手放してしまうのです。

正論で人々を納得させてしまう強いリーダーは崇拝されてしまいがちです。その人の発言や行動はどう捉えても正しく、何の反論も思い浮かばない。その人が明らかに成果を上げている時には成果を上げていない者よりも当然高く評価されます。それでも「成果を上げているから」「正しいことを言っているから」という事で自分の頭で考える事をやめてしまわない事です。ヒーローを崇拝してしまうと、その人が明らかな悪事を行ったときや失敗した時にでも「あの人は正しい。それを理解できない周りがおかしい」と考えるようになってしまいます。その崇拝されるヒーローが悪事を行った時に、誰もがそれを擁護する立場になると、そのヒーローはそれが悪事だということにも気づけなくなります。そして悪事はどんどんエスカレートしていく事でしょう。
私たちが崇拝してしまった時に起こる悪い事はまだまだあります。たとえば、「ヒーローの威を借りる」という事も起きます。自分の言葉で語らず、崇拝するヒーローの言葉をそのままコピーして語ってしまうという事です。それは自分が話す言葉を良く聞いていれば分かります。
ヒーローは絶対に正しい⇒それを崇拝する自分はヒーローの教えに従っている。⇒だから自分も絶対に正しい。⇒だからあなたも私に従いなさい。
というロジックで話している時には要注意です。

強いメッセージ発信をする立場の人は崇拝されてしまうことにも警戒しなければなりません。気づかないうちに相手の思考を奪い、自分とは異なる視点から見てもらう事が出来なくなっているかもしれません。誰もあなたに反論を言ってくれない組織になったら要注意です。
私はチームビルディングの考え方を伝え広めることや自分たちのチームをリードして行く事を仕事としているため、常に自分の考えやメッセージを発信しています。ですからこれは私自身への戒めでもあります。
私たちの会社では幸いまだ私の考えが気に食わない時に反論してくれたり、何に反対なのか分からなくとも違和感を示してくれたりしますし、自分も崇拝されるようなタイプではないと思いますが、それは本人も気づかない形で徐々に浸透して行きます。だからこそ意識する事が必要なのです。

自分の頭で考える事を放棄しない。そして放棄させない事を大切にして行きましょう。

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