第14回『ミーティングから価値を生み出す』
2011年12月08日
ミーティングはチームビルディングの要である認識共有の場です。これは非常に大きな価値を生み出す場ですが、使い方を誤ると大きな価値をムダにする場ともなり得ます。「うちの会社はムダなミーティングが多くて・・・」「ミーティングに参加しても何もしないでただ座っているだけの者も多い」などとミーティングにネガティブな印象を持っている方も多い様です。
私自身、自社のミーティングについても「かけたコスト(時間やあらゆるリソースを含む)に対して十分な価値を生まないミーティングの仕方をしているんじゃないか?」と考えてしまうことがあります。
どのようにしたらムダなミーティングではなく、価値を生み出すミーティングの場を作ることができるのでしょうか?
私が自分でムダなミーティングをしているんじゃないかと考えてしまう時は例えば
時間や労力をかけすぎてしまった時
ミーティングの内容が目的からずれていると感じた時
などです。
参加者の立場からすると
・何のために自分が呼ばれているのか分からない時
・自分がいてもいなくてもかわらなそうな時
などでしょうか。これらは本来無い方が良いもののはずです。
ミーティングとは
「集まる」+「コミュニケーション」⇒「価値」
です。
そもそも何のためにミーティングをするのかといえば、何かの価値を生み出すためです。人が集まることとそこに起こるコミュニケーションから価値を生み出すことがミーティングの本質です。ミーティングとは、広い意味ではコンベンションや展示会なども含まれますが、日常の小さな会議でも全く一緒です。全て何らかの価値を生み出すために行われています。
ミーティングから価値を生み出すための第一歩は、どのような価値を生み出したいか?を知ることです。これがなければミーティングから価値が生まれたのかどうか、判断することができません。当たり前すぎることのようですが、これができていないミーティングはとても多くあります。ミーティングを設定した時点では明確な目的意識があったはずなのに実施の時には忘れてしまっていたり、ミーティングの終わりにどんなアウトプットを出すつもりなのかさえ考えていなかったことに実際にミーティングが終わるまで気づかなかったりといったことが実際に起こっています。
しかし、ここで生み出す価値というのをあまりデジタルに、堅苦しく考えすぎる必要はありません。まずは「なんのためのミーティング?」という問いに答えることからはじめます。
そしてこの価値の確認の仕方も基本的には二種類あります。数字ではかれるものと、数字では計れないものです。
例えば、あなたが新しいテレビを買うとしましょう。自分の中の予算はありますが、ちょっとお金を余分に出せばより価値の高いテレビを買えるならそっちのほうが良いと思っているとします。そのときにテレビの価値をどのように判断していますか?「こっちの方が画面が大きい」「消費電力が小さい」「デザインがかっこいい」「型が新しい」「こっちの機能はあると便利かも」など数字で計れるものも計れないものも合わせて考えて、最終的にはそれを自分の中でお金という数字で表す価値に換算しています。
ミーティングも同じです。そのミーティングにかけたコスト(時間やあらゆるリソースを含む)がテレビに支払う代金に当たるものです。そしてどのような価値を生み出したいかがテレビを何を基準に選ぶかの項目にあたるものです。そのミーティングから参加者の認識共有を深めたいのか?新しいアイデアを生み出したいのか?ロイヤリティを高めたいのか?など、それぞれのミーティングによってさまざまです。そして最後に大事なのは「誰がこのテレビに価値があると感じて代金を支払うのか?」です。つまり、ほかの人にとっていくら価値が高かろうと、このテレビを買う人にとって価値が高くないと意味がないということです。いくら画質が良いテレビで高級なものでも、それを買う人が「画質は二の次。大きいテレビがほしい」と思っていたら意味がありません。
ミーティングの場合はそのミーティングのステークホルダーが判断します。一人のミーティングのオーナーがいれば、まずその判断がベースにあり、そして複数のステークホルダーでそれを共有できるものにする必要があります。テレビを買う例で言えば、家族で共有するテレビを買うようなものです。お父さんテレビに求める価値と、子供がテレビに求める価値とが違うかもしれませんが、それをひとつにして行きます。お父さんがトップダウンで決めるのも一つの方法ですし、子供がその価値の重要性を強くアピールして家族と共有することができればそれがそのテレビのステークホルダーが共有する価値となります。
チームビルディングジャパンのプログラムもお客様にとってはミーティングです。人が集まることとそこに起こるコミュニケーションから価値を生み出そうとしています。私たちは一つ一つのプログラムの成果にコミットしていますが、それは私たちの価値観を押し付けることからは生まれません。もちろん、私たちはプロフェッショナルとして私たちの考えや知識を伝えたり、アドバイスしたりします。しかし、一番大切なのはそのプログラムのステークホルダーが何を実現したいと思っているのかを理解することです。これは表面的に話を聞いているだけでは理解できません。最後、プログラムが終わったときにお客様が握手を求めてくるほど感動してもらうにはどのような状態で終わればいいか?何が実現されていればいいか?を最後のゴールイメージから逆算して考え、懸念点や疑問点を質問してゆきます。そうするとステークホルダーであるお客様自身の目的に対する理解を深めることにもなり、お客様とサプライヤーではなく、一緒に同じゴールを目指すチームとなることができます。
ミーティングから価値を生み出すために一番大切なことは、自分たちが生み出したい価値を理解することです。
私たちも日々、社内の小さなミーティングからお客様のプログラムまで、まずはここから始めることを心がけています。