第12回『会社は集団維持と目標達成のどちらをより大切にするべきか?』
2011年11月10日
「営業部門と管理部門の対立や認識ギャップを何とかしたい」「昔はもっとアグレッシブな会社だったのに、最近は安全志向の会社になってしまい、この先が心配」などといった、組織の集団維持と目標達成のバランスに困っているという悩みをよく聞きます。この二つの機能は組織にとってどちらも同じように必要でありながら、時に相反するかのように見えるためにそのマネジメントが難しく、問題になるのです。
チームビルディングというと、この集団維持の機能を扱うものだと思われがちですが、実際にはそうではありません。この両方を同時に扱うものです。私たちが実際の組織マネジメントをしてゆく上で、これらをどのように捉えて扱って行けば良いのでしょうか?
こういった問題が起きるのは近視的なマネジメントの視点に陥っている時です。目の前で起こっている状況にどう対処するかばかりに目が行っているとこういった状況に陥ります。安全確実に物事を進める組織か?スピードと実力重視で物事を進める組織か?アンバランスに悩み、それに何とか対処しなければならないが、どうしていいのか分からないといった状況です。私も目標達成と集団維持との間で近視的に迷う事があります。そんな時にいつも心掛けているのが「本質に立ち返る」ということです。
本来、目標達成も集団維持もどちらも必要なものです。 天秤にかけてどちらかを取るといった類のものではありません。誰もが分かっているこの当たり前の事を思い出すために、本質に立ち返る問いかけをするのです。それは例えば「そもそも何の為にこの組織は存在しているのか?」「我々は何者であるか?」といった問いです。
これに対して綺麗事の答で終わらせてしまってはいけません。きちんと理解し直す事に努めます。
本質に立ち返る問いに対して、明確でシンプルな答えを持っている組織は幸せです。迷う事なく前に進むことができるからです。しかしながら実際は迷いなく答えられる組織は多くありません。理解していると思っていても、常に問い直し、理解することに努めなければなりません。その上でその時点での解釈に基づき、決断をして行く必要があります。
目標達成か集団維持かという、普遍的に多くの組織が抱えている問題にも、目の前の対立や悩みを解決しようとするのではなく、まず自分たちの組織の本質に立ち返り、その理解をもって対処する事が大切です。