第11回『チームで役割の押し付け合いにならない方法はありませんか?』
2011年10月27日
素晴らしいチームと失敗するチームの違いは役割分担にも現れます。素晴らしいチームではメンバーが役割を率先して拾い合います。そして失敗するチームは役割や責任を押し付け合うのです。前者も後者もどちらも役割分担されているのに、その活動の結果は全く違ってきます。
私自身も色々なチームで活動して、「あまり責任を負わされたくない」と思う時と「やりたい!力を発揮したい!」と思う時とがあります。できればどんな時もやらされ感ではなく「やりたい!」という強い思いで仕事がしたいと思いますし、自分のチームにも嫌々では無く、主体的な思いで仕事をして欲しいと思っています。
一見どちらも役割分担が成されていて、同じ様に見えるのに何がどの様にちがうのでしょうか?
押し付け合いの組織で起こっているのはタスクの細分化です。一人一人にタスクが割り振られ、それぞれのタスクを割り振られた個人に責任を負わせるのです。個人個人が見ているのは全員で成し遂げるゴールではなく、自分に割り振られたタスクとなり、視点が個別最適になってしまいます。各自は自分の仕事を片付ける事に精一杯で、自分がタスクを片付けているのに出来ていない他のメンバーをみると不公平と感じてそのメンバーを非難したりします。「自分は忙しい中タスクを片付けたのに、何でお前はやっていないないんだ!」と責任を押し付け合います。
こうなると、お互いの守備範囲の間に落ちた球は誰も拾いに行かなくなり、結果、組織全体として目指していたはずのゴールも達成出来なくなってしまいます。
メンバーが役割を率先して取り合う組織では全く正反対の事が起きています。全体のゴールに対して全員が「これを実現したい!」という強い思いを持っていて、?それを実現するために自分の出来る事は何か?と考えます。やるべきタスクの前に、強い思いの共有があるのです。個人個人が主体的な思いで係わっていて、個人個人のタスクは全体のゴールへ向かうためのものであり、自分のタスクを片付ければそれでいいとは全く思っていません。守備範囲の間に落ちた球はキチンと拾い、自分のタスクが背負いきれなくなれば仲間に助けを求めます。助けを求める事を恥かしいと思うよりもゴールを成し遂げる事への思いが強く、また他のメンバーも同じ思いのため、タスクを背負いきれないメンバーを非難するよりも全員でゴールを成し遂げる事を大切にしているからです。
この様に、押し付け合いのチームと主体的な思いで活動するチームの違いは「ゴールへ向かう思いの共有」にあります。やるべきタスクを明確にし、それを割り振って行く前にやるべき重要な事はチームが共有するこのゴールを達成したいという強い思いを育んでゆく事なのです。その思いからワクワクする活動に自分が係わってゆきたい気持ち、それに貢献した実感などが生まれてきます。
もしあなたが役割の押し付け合いに悩んでいるとしたら、一旦タスクリストを置いて「自分達は何を成し遂げたいと思っているのか?」に立ち戻り、何度でも話し合い、同僚を捨てて同志になる事からやり直してみてください。志を同じくする人の集まりほど強いものはありません。
私自身も日々の仕事に追われる事や、チームの思いの共有の前にタスクリストに落として行く事があります。そんな時こそ「自分達の立ち返るべきゴールや思い」がある事を忘れないよう心がけています。
言葉で言うほど簡単な事ではありません。分かっているのにうまく行かない事もあるでしょう。誰でもそうです。ぜひ一緒に誰もが主体的に役割を取り合う様な組織作りを目指して行きましょう!