第4回『管理職になって、コミュニケーション力を高めろと言われていますが、何をどうしたらいいのでしょう?』
2011年07月21日
コミュニケーションと一言に言われても具体的に何をどうしたら良いのか、難しいですね。私もコミュニケーションでは色々な苦労をして来ましたし、日々改善の努力をしています。何かの技術を身につければそれで終わりといったものではありません。日々取り組んで成長してゆくものです。ぜひ一緒に取り組んで行きましょう。
コミュニケーションとは情報の伝達です。コミュニケーションの問題を解決する為には「伝えること」と「受け取ること」に分けて考えるとよりシンプルに理解する事が出来ます。
コミュニケーションが苦手、下手と言われる人たちは受け取る事が苦手か、伝える事が苦手か、又はその両方です。そこで伝達されるべき何かがあるのに、うまく伝えられなかったり、受け取れなかったりするわけです。
一般的にコミュニケーション下手と言われる人たちは伝える事が苦手な人たちが多いかもしれません。どう伝えて良いかが分からなくなってしまったり、うまく伝えられずに空いての気持ちを害してしまったり。また受け取るのが苦手な人たちは何がメッセージの本質にあるのかを捉えられない事によって問題が起きています。何度も同じ議論の繰り返しになったり、堂々巡りの対立が起こったりするのはメッセージの本質が捉えられていない事によって起こります。また、相手が伝えようとしている事をシャットアウトして自分が受け取りたいようにしか受け取れない、または受け取らないという人達も受け取るのが苦手な人達です。
ではここからコミュニケーションの問題を解決するために、コミュニケーションの性質について考えてみましょう。コミュニケーションはいつ起こっているのでしょうか?これはあなたが望んでいようといなかろうと、常に起こっています。例えば、あなたが朝とても機嫌良く出社して、会社で「朝からご機嫌ですね!」と声をかけられたとします。先に声をかけたのは相手の方ですが、相手はあなたがとても機嫌が良さそうだということ受け取って投げ返しています。あなたは何かを伝えようと意図していなくとも相手はあなたから受け取っているのです。実はこれがほとんどのコミュニケーションの問題の本質です。
「コミュニケーションは伝える側の意図にかかわらず伝わり、その内容は受け取る側の解釈に依存する。」
あなたがどんな事を一生懸命伝えても、相手が何を受け取るかはあなたはコントロールすることができないのです。そして、あなたが伝えたいと思っている事以外の事もたくさん相手は受け取っています。機嫌が良さそうだという事も伝われば、機嫌が悪そうな事も伝わります。またあなたの意図にかかわらず、嫌われているかもしれないと伝わったり、あなたの思いとは正反対の事が勝手に伝わることもあります。
そして、コミュニケーションは相手が受け取ったものを投げ返して、それを受け取って投げ返してというようなキャッチボールでは実はありません。あなたは受け取りながら常に発信していて、発信しながら常に受け取っています。例えば、あなたが誰かに何かを話している時に、相手の様子を確認しながら話している事はありませんか?あなたが話している事に相手が興味深そうにうなずいているのか?話の内容よりも背景で起こっている事を気にしているのか?あなたは伝えながら同時に受け取っていて、相手も伝えながら同時に受け取っているのです。
これらの事から導かれるコミュニケーションをよりよくするためのポイントをあげると…
●自分の受け取り方を意図的に自分で選択すること。
あなたも相手も同時に伝える側であり、受け取る側である。そして相手がどう受け取るかは相手次第であるが、あなたがどう受け取るかはあなた次第。
●伝えるべき内容を伝える事に責任を負うこと。
相手がどう受け取るかは相手次第であり、それをあなたがコントロールすることはできない。しかし、相手がどう受け取っているか?を理解しようとすることはできる。相手の反応を受け取りながら、自分の伝えたいことが伝わるように伝える。そこに責任を負う。
あなたが抱えるコミュニケーションの問題は分かりませんが、私の場合、もちろん相手によってコミュニケーションの取り方も変わりますが、「まず自分の伝えたいことを伝えてみること」を心掛けています。そして相手の受け取り方を受け取りながら伝える努力をします。
それから自分の立場を作る為だけのやり取りから回避する努力もします。どんな場面でもお互いに認め合う関係でない時には「いかに相手より自分の方が優れているか?」を競うためだけの内容は関係のないやり取りが起こります。自分からそんなやり取りを始めない事は当然ですが、本質である共通の目的に立ち返る事を心掛けます。
人それぞれ直面するコミュニケーションの問題は様々ですが、その本質は一緒です。コミュニケーションの特性を理解して、より良いコミュニケーションを築いて行きましょう。