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第97回『多様性(ダイバーシティ)』

2022年10月27日

全4回にわたって、チームビルディングジャパンが組織づくりで大切にしている4つのポイントをご紹介していきます。

「組織構造」「多様性」「らしさ」「対話」

これらは重要なポイントであるにも関わらず見逃されがちです。
このコラムがみなさんの組織づくりの実践のお役に立てればと思います。

今回は「多様性(ダイバーシティ)」についてです。
多様性推進の取り組みは、D&IさらにはDE&Iと言われることも増えてきました。
(D:ダイバーシティ、E:エクイティ、I:インクルージョン)

多様性は組織づくりに重要なポイントです。
残念ながら、日本は多様性という点で対応が遅れています。
これは、日本が島国で他国の人たちが入って来にくい環境であるため同質であることが当たり前であり、また、日本語のみでコミュニケーションができるという背景によるものです。

その点でアメリカは大変進んでいます。
アメリカは、かつて顕著に白人男性が優位な社会でした。有色人種より白人、女性よりも男性。それに対して「これはおかしい」「フェアではない」と多様性推進が動き始めたのが原点です。

多様性というと合理的配慮や基本的人権の問題と思うかもしれませんが、
実はチームビルディングの要としても大事な要素です。
なぜなら、一人ひとりが多様であり、一人ひとりが特別であるという前提に立たなければ、
チームビルディングはうまくいかないからです。
「みんな一緒」では、組織づくりはできないのです。

一昔前は「女性活躍推進」に企業が取り組んでいました。その後ダイバーシティ推進、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)推進と移り変わってきています。

これらの多様性推進を行う際に起こりがちな問題があります。それは「カテゴリ分け」をしてしまうということです。

誤解しないでいただきたいのですが、「女性管理職を増やしましょう」「障害者雇用を促進しましょう」・・・これらの取り組みは悪いことではありません。
しかし、「女性だから」「障害者だから」とカテゴリに分けてしまうと、多様性を組織に活かそうとするときにうまくいかなくなります。

明らかに組織の中で特定のグループに対する合理的配慮が欠けている場合には、もちろん支援していかなくてはなりません。
しかし、「女性」「障害者」「国籍」などに注目することによって、むしろ特定のカテゴリに壁を作ることになってしまうおそれがあります。

多様性を活かすには、一人ひとりが多様で特別でその人らしさを持っていることを全員が尊重し合うことが大切です。
「女性だから合理的配慮が必要である」のではなく、全ての人に対して特別な配慮がある状態であるべきなのです。

チームメンバーが多様であり、一人ひとりが特別であることが組織づくりにおいてはとても大切です。

多様性に取り組む際、最初は「女性」「障害者」など特別なカテゴリの人に対する合理的配慮をしていくことから始まることが多いとは思いますが、常にその先をしっかりと見て進めましょう。

多様性推進の段階を追って順に説明します。

まずは、「白人男性が優位である」など多様性がまだ受け入れられていない段階です。
この段階の組織においては、まずは合理的配慮として特定のカルチャーグループが冷遇されないようにする必要があります。

次は、特定のマーケットへの糸口をつくるために、特定のカテゴリの人たちをメンバーに採用することがビジネス上でも有効であるという点で、多様性が受け入れられている段階です。
例えば「女性がいる方が、女性向けの商品開発に有利である」「中国市場に食い込んでいくためには中国人を雇用した方が有利である」など、特定のカルチャーグループの人たちがいることによって成果を上げることができるようになっています。

さらに進むと、多様な人が集まることによって、その違いを交ぜ合わせて新しい知見を生み出していく段階になります。
フラットなコミュニケーションによってそのメンバーならではの視点やその人らしさを交ぜ合わせ、不確実性の高い環境でも新たな答えを導き出していくことができます。

多様な視点を掛け合わせることによって、組織のパフォーマンス向上につながる・・・すでに多様性を組織づくりに積極的に取り入れている企業はこの段階にいることが多いのですが、実はその先の段階があります。

それは、人が人として、その人自身の存在が受け入れられている段階です。

もちろん、企業ですから成果につなげることが大事ではありますが、勘違いしてはならない重要なポイントがあります。
それは、企業が成果をあげるために多様性が必要なのではなく、メンバー一人ひとりが、人として尊重されることこそが重要である、ということです。

「組織のために多様性が重要である」という段階からさらに一歩進み、その人の存在自体が肯定される段階に至ると、チームが生き物として有機的に進化していく組織になります。

例えば女性管理職目標など、上から言われた目標に対してを達成したらOK・・・なのではありません。
すでに多様性推進に取り組んでいる組織でも、その先の段階があることを意識して取り組んでいきましょう。
一人ひとりが多様であることを組織全体で受け入れることによって、多様性が本当の意味で組織のために活きるようになります。

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