第96回『組織構造』
2022年10月13日
全4回にわたって、チームビルディングジャパンが組織づくりで大切にしている4つのポイントをご紹介していきます。
「組織構造」「多様性」「らしさ」「対話」
これらは重要なポイントであるにも関わらず見逃されがちです。
このコラムがみなさんの組織づくりの実践のお役に立てればと思います。
まずは「組織構造」についてです。
多くの組織で起こっている問題の多くは、実は組織構造に起因しています。
組織構造に関する理論は多々ありますが、チームビルディングジャパンでは組織を「ピラミッド型組織」と「フラット型組織」の2つに分けて捉えています。
ピラミッド型組織は上の人が下の人に向かって情報伝達をしたり、管理したりしやすい構造です。
一方、フラット型組織は上も下も関係なく、フラットにコミュニケーションをとりやすい構造です。
ピラミッド型は歴史ある企業に多く見られ、フラット型は比較的若い組織に多く見られます。
なぜでしょうか。それは、環境と組織構造には深い関係性があるからです。
いかなる社会環境においても継続的に成果を出し続ける組織構造というのは存在しません。
環境によって適した組織構造は変化します。
ピラミッド型組織は社会が安定しているときに適した構造です。
トップや経験者の指示に従って間違いなく実行し、余計なことはやらない方が成果を出すことができます。
フラット型組織は、誰も正解を知らないこと、誰も過去に経験したことがないようなことにチャレンジしなくてはならないときに適した構造です。
リーダーにぶら下がってついていくのではなく、メンバーがそれぞれの個性を活かしてコミュニケーションを取り合い、まだ無い答えを導き出していきます。不確実性の高い状況においてより高い成果を出すことができます。
これらは、1960年代から「機械的組織」「有機的組織」として提唱されていた理論ですが、社会の変化のスピードが速くなった今、注目されています。
過去の延長線上に未来が予測できていた頃はピラミッド型が高い成果を上げましたが、
来年のことも予測できない状況の今、フラット型のコミュニケーションが必要とされます。
しかし実際には、組織構造はピラミッド型のままの企業が多いのが現状です。
ピラミッド型組織は思い切り舵を切ってフラット型組織の要素を取り入れていく必要があります。
しかし、ここにも問題があります。
ピラミッド型組織は非常に安定性が高く、崩れにくくできています。よって、組織も変化しにくいのです。
トップが全体に向けて組織変革を発信しても変わりにくいほどです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
それは、小さな日常の習慣や当たり前を変えていくことです。
習慣を変えることによって組織文化が変わり、組織文化が変われば行動が変わります。
例えば、会議でフラットに話し合えるようなルールを決めたり、会議中に少人数で話し合う時間をつくって、多様な意見を出しやすくしたりするなど、
フラット型組織で日常的に行われている行動習慣を、ピラミッド型組織で行動として取り入れてみましょう。
すぐには結果が見えにくいかもしれませんが、ダイエットや筋トレのようにコツコツと地道に取り組むことで必ず成果につながります。
日常の行動から変えていくことが、回り道のようで実は近道なのです。
みなさんのお困りごとも、もしかしたら組織構造によるものかもしれません。
ピラミッド型の中に、フラット型の要素を取り入れることから始めてみてください。
次回は「多様性~ダイバーシティ」についてお伝えします。