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第93回『心理的安全性を高めるグランドルール』

2022年08月18日

前回、「心理的安全性を高めるためにはリーダーの関わりが重要である」ということをお伝えしましたが、心理的安全性は組織文化ですから、もちろんリーダーだけで上手くいくわけではなく、
チーム全体で取り組んでいく必要があります。

心理的安全性を高めるためには、日常の小さな行動が大事です。チームビルディングプログラムを派手に一回やっておしまいではなく、日々の習慣を変えなくてはなりません。

習慣を変えるために有効なのが、チームの「グランドルール」や「チームバリュー」と呼ばれるものをつくることです。
日常の業務や会議の話し合いの場で、尊重すべきこと、大事にすべきことをチームで決め、それに則った行動を日々意識していくことが心理的安全性を高めるためにはとても有効です。

取り組みやすいオススメのグランドルールをご紹介しましょう。

パフォーマンスをないがしろにしない

「チームのパフォーマンスを高め、学び成長し続けるためには心理的安全性の高い組織文化が必要である」ということをチームでの共通認識にしましょう。
ときどき「心理的安全性の高いチームは、パフォーマンスを犠牲にしている」と誤解している人がいますが、そうではありません。パフォーマンスを高めるために、心理的安全性が大事なのです。

一人ひとりが特別

「一人ひとりが特別な存在であり、誰もが異なる特性を持ち、異なる考えを持つ」という前提をチームで共有しましょう。ダイバーシティ&インクルージョン(あるいはDEI)が言われて久しいですが、ジェンダーや国籍などの違いを認め、受け入れるだけでなく、メンバー一人ひとりの存在自体が特別なのだということを理解し、尊重し合うことが重要です。

違いは間違いではない

「違いは間違いではなく、お互いに尊重し合うべきそれぞれの特性である」ということを理解しましょう。
心理的安全性の低いチームでは、違いを否定することが習慣化しています。違いを尊重し合うことが心理的安全性を高めるためにはとても重要です。
違いを否定する組織文化から、違いを尊重し合う組織文化へ変えていきましょう。

「非難」から「尊重」へ

「非難したり、否定したりしない」ようにしましょう。
自分と相手の意見が違った場合でも、否定から入るのではなく、まずは相手が何を主張しているのかを理解するためによく聴きましょう。

相手が強く主張していること、こだわっていることに対し、「なぜこの人はこんなことを言うのだろうか」ということを理解する姿勢で聴くことが大事です。
必ずしも同意・同調する必要はありませんが、相手の言い分も一つの意見として尊重し、受け入れるようにします。

自分の意見をしつこく主張し続ける人は、自分の言っていることが他のメンバーに伝わっていないという不安を感じています。その人が何を言おうとしているのか、耳を傾ける態度を示しましょう。同調する必要はありません。メンバーにしっかり聴いてもらえた、尊重してもらえていると感じられれば相手の態度も変わります。意見に耳を傾けることで、実は見落としていた大事な視点に気づくこともあるでしょう。

興味をもって質問し合う

お互いに相手に興味をもって質問し合いましょう。分からないこと、気になったことについて質問します。相手の意見を受け入れるだけでは、チームが成長するために重要な交ざり合いが起こりません。「こういうことですか?」「こういう経験をしたのですが、同じことですか?」と確認しましょう。発言を聞き流さず、興味を持って聴けば、自然に好奇心から質問が湧き上がってくるはずです。

注意しなくてはならないのは、質問の形をとった抗議、非難です。「(早めにやっておけばよかったのに)なんでそれできなかったの?!」質問の形をとってはいますが、非難のメッセージとなり、これではむしろ心理的安全性を下げてしまいます。
理由を確認する場合にも、「なんでやらなかったんだろう?」「なんでできなかったんだろう?」など純粋に理解したいという気持ちをもって質問をするようにしましょう。

失敗は早めに共有

失敗や気になることは早めにチームで共有した方がチームのためになります。失敗を共有することは歓迎されるべきことであり、非難されることではありません。

多くのピラミッド型組織では、失敗をなるべく隠そうとします。失敗しないことが望ましいとされるので、失敗をしないようにしますし、失敗をしても報告を先延ばしにしたり、隠そうとします。
しかし、実際には失敗の共有は学びの機会となります。失敗は積極的にチーム内で共有しましょう。

挑戦を称賛しよう

失敗を避けるか挑戦するかの選択では、挑戦する方を称賛しましょう。心理的安全性の高い組織では、新しい挑戦を行い、失敗から学ぶ姿勢を大切にします。
失敗を避ける文化から、失敗してでも新しい挑戦をする文化に変えていきましょう。

上記を参考にチームでグランドルールを設定しましょう。ルールの数は5つぐらいまでがオススメです。

・・・とはいえ、「チームでグランドルールを作れる状態じゃない」という方もいるかもしれません。
次回は、自分一人でも心理的安全性を高めるためにできる行動をご紹介します。

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