第90回『心理的安全性の高い場をつくるために排除すべき4つの不安』
2022年07月07日
不確実性の高い環境の中で成果を出すためにも、心理的安全性を高めたいと考える組織が増えてきています。
前回のコラムでは、心理的安全性を高めるためには目的やゴールをチーム内でしっかりと共有することからスタートし、そこから徐々に、それぞれが思っていることを言い合えるようにする
この順番が重要であるということをお伝えしました。
今回は「心理的安全性を妨げる4つの不安」についてお話しします。チーム内で思うことを言えない状態が起こるのは、以下の4つの不安があるがためだと言われています。
———————————–
・無知だと思われないか
・無能だと思われないか
・邪魔をしていると思われないか
・ネガティブだと思われないか
———————————–
いかにしてこれらの4つの不安を排除していくかが心理的安全性を高めるための鍵になります。一つずつ順に解説します。
不安その1)無知だと思われないか
「無知だと思われないか」という不安があると、分からないことがあっても質問しない、確認しない、ということがチーム内に起こってしまいます。
無知だと思われたくない、という不安を取り除くためには、「思っていることは質問し合う」という規範を組織につくる必要があります。
自分たちのパーパスのためには、分からないことは質問し合うのが必要であるという規範をもとに、上の立場の人ほど自身の無知を晒し、新しい課題に挑戦しているのだから分からないことがあっても当然であるという雰囲気をチーム内につくりましょう。
不安その2)無能だと思われないか
「無能だと思われないか」という不安も、ピラミッド型の組織構造の文化の中ではよく見られます。
ピラミッド型組織にとって失敗することは望ましくありません。
失敗すると怒られるので、怒られないために失敗を避けようとします。
もちろんルーティンワークではミスを起こさないようにする必要がありますが、新たなチャレンジをして失敗したときには、失敗を咎めてはなりません。
心理的安全性を高めるためには、失敗も受けれ合うことが大事です。
無能だと思われないかという不安を取り除くためには、「失敗を歓迎しよう」という規範を組織につくる必要があります。
「失敗しないことより、挑戦を大切にしよう」とよく言われますが、組織内に失敗を非難する規範があったら、実行に移すのは困難でしょう。
チーム内でお互いの経験や知見を共有することが大事である、特に失敗の経験は貴重であり、共有することがとても大事である。
失敗した人を無能だとみなすのではなく、我々が目指す先のためには、大切な失敗の経験を共有することが必要なのだ、と置き換えていきましょう。
不安その3)邪魔をしていると思われないか
「邪魔をしていると思われないか」という不安があると、余計なことを言わないようにしようとします。
会議中ずっと黙っていたり、上司が熱弁を始めると、異論があっても発言を止めてしまったり、
この流れできまるならいいや、と諦めてしまったりします。
しかし、心理的安全性を高めるためには、思っていることが場に出せることが大事です。
邪魔をしていると思われないかという不安を取り除くためには、少なくとも会議の場においては「気づいたことは発言しよう」「発言を歓迎する場にしよう」という規範を組織につくる必要があります。
積極的に発言することを促すだけでなく、どのような発言だとしても「いいねありがとう」「確かにその視点もあるよね」と歓迎することで、邪魔しているのでは・・・という心の不安を取り除くことができます。
不安その4)ネガティブだと思われないか
「ネガティブだと思われないか」という不安があると、反対意見が言いづらくなります。
特にヒエラルキーが強い組織では、上の人に対して下の人が反対意見を唱えた場合、「ネガティブなことを言うやつだ」「分かってないな」と思われることへの不安から発言できなくなってしまいます。
ネガティブだと思われないかという不安を取り除くためには、
「反対意見もあえて出そう」「あえて反対意見を聞いてみよう」ということを会議のグランドルールなど、規範にに取り入れていく必要があります。
逆張り視点を受け入れることによって、「あえて最悪のケースを想定するとどうなるか」についてみんなで考えていくことができます。
今回は、心理的な安全を妨げる4つの不安と、その対応策をお伝えしました。
仕掛けを作り、毎日毎日繰り返していくことによって、
心理的安全性が高い話し合いの場を作っていくことができます。
もし反する行動があればお互いに指摘し合いましょう。
組織文化を変えるには、地道な小さな積み重ねが重要です。ぜひ取り組んでみてください。