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第87回『ここが誤解されやすい!心理的安全性とは?』

2022年05月26日

心理的安全性とは何か

「心理的安全性とは、集団の中に存在する
 お互いに尊重し合い、信頼し合う状態である。
 それが率直でいられる環境を生み出す」(エイミー・エドモンドソン)

心理的安全性とは、「対人関係のリスクをとっても受け入れられる環境であるとチームメンバーがお互いに信じていられる状態」のことです。
ここでいう「対人関係のリスク」とは、アイデアを話す、思い付いたことを話す、質問をする、懸念や異議を述べる、失敗を話す等のことを指します。
心理的安全性が低いと自分を守ろうとしてしまうがためにこれらのことは話しにくくなります。

心理的安全性の高いチームというのは、チームメンバーは自分を守る必要が無いため率直であり、お互いに受け入れ合うことができます。

つまり、心理的安全性とは率直であることを受け入れ合える感覚ともいえます。

「心理的安全性」という言葉が世の中に広がるにつれて、たくさんの誤解が生まれています。
例えば、よくある誤解をいくつか紹介すると・・・

心理的安全性は、「信頼」である
心理的安全性は、「好意的に振る舞うこと」である
心理的安全性は、「仲がいいということ」である
心理的安全性は、「ハラスメントが無い状態」である
心理的安全性は、「仕事が確保されている安定した状態」である
心理的安全性は、「個人の性格によって決まるもの」である
心理的安全性は、「対立が無い状態」である

・・・これらはすべて誤解です。
また、心理的安全性とは仕事の質を下げて楽に仕事をすることではありませんし、心理的安全性自体は、目標にするものでもありません。

心理的安全性は組織文化です。
組織文化の中から組織の当たり前が生まれ、日常が生まれ、習慣が生まれ、実際の行動や判断につながり、それが結果になります。

我々チームビルディングジャパンは組織文化を大切にした組織づくりをしています。
心理的安全性の高い組織文化をつくることは地道で簡単なものではありませんが、それに見合う高い成果につながるものです。

もう一つ、非常に大事なポイントがあります。
それは心理的安全性を「属人的なものとして捉えない」ということです。

心理的安全性の高い組織、低い組織はありますが、
心理的安全性の高い人、低い人がいるわけではありません。

「○○さんを変えてやろう」などと属人的に考えるものでなく
心理的安全性はあくまで組織文化から育んでいくものです。

心理的安全性が高いとはどういうことか

心理的安全性の研究は、医療機関の調査から始まりました。
パフォーマンスの高いチーム、パフォーマンスの低いチーム、普通のチーム、それぞれの医療ミスの報告件数を調査しました。

当然医療ミスの件数が多いのはパフォーマンスの低いチームであると想定を持って調査をしていましたが、調査の結果、実際に医療ミスの報告が多かったのはパフォーマンスの高いチームでした。

これはなぜかというと、パフォーマンスの高いチームは失敗の経験を共有することはチームにとって必要なことであるという文化があり、医療ミスを報告することに積極的だからです。

医療機関はドクターを頂点としたヒエラルキーのパワーが働くケースが非常に多いです。
ドクターには逆らえないという病院は多くあります。なぜなら医療の知識や経験は圧倒的にドクターが多く、そこに対して他のメンバーは自分の意見を言いにくいからです。

しかし、それでもドクターに対して思ったことや失敗したことを言える環境を作っているチームはパフォーマンスが高いことが分かっています。

逆に事故がおこるケースでは、ナースが「この患者に対する薬の投与量が違うんじゃないか」と気づいても、「ドクターが判断したんだからナースが口出しすることではない」「余計なことを言って非難されるのも嫌だし黙っておこう」という判断をしてしまいます。

このようなことから事故につながってしまうケースは、医療現場のみならず起こっています。
気づいている人がいたのに事故が防げなかったという、残念なケースです。

心理的安全性の高い組織では、多様な意見をきちんと聴き合い、否定せずに違いを受け入れ合うという特徴があります。

ただし、「みんな違ってみんないい」「違う考えの人は放っておけばいい」と終わらせるのではなく、違うものが交ざり合うことが大事です。「違う人がいてもいいけど自分は関係ない、関わりたくない」ということではありません。

異なる意見をぶつけ合って、交ぜ合わせて新たなモノを生み出していくことがチームには必要です。
違いをぶつけ合い、対立してでも交ぜ合わせていくのが心理的安全性の高いチームの特徴です。

心理的安全性に関しては誤解もいろいろあります。
心理的安全性が高いと思っていたチームでも、実は対立をおそれて避けているだけだったり、ミスの話をチーム内でしているけれど、ミスを気にしていないだけだったり・・・
心理的安全性が高いと見せかけて、実はそうではないということがよくあります。

「ミスの報告件数が多いチームは失敗しても気にしない」と思われるかもしれませんが、これは大きな誤解です。
心理的安全性の高い組織は、失敗は学びの機会であると捉えているからこそチームで共有しています。
「失敗を気にしないから報告できる」のではなく、「失敗の経験を大切に扱うからこそみんなで話し合う」のです。

以上、今回は誤解されがちなポイントをたくさんご紹介しました。
紹介したことをみなさんの環境にあてはめて、自身の組織の心理的安全性はどうなのか見直してみてください。

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