第68回『創立15周年記念インタビュー』
2021年09月02日
チームビルディングジャパン(以下、TBJ)は2021年8月21日、創立15周年を迎えました。
—–創立15周年おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか?
そうですね、率直に15年ってすごいな、と思いますね。
2006年に創業した頃は「生まれたばかりの会社で・・・」という感じだったのが、
15年もやってくると随分大人になったなぁ・・・というのが率直な感想ですね。
—–創業時はどんな様子でしたか?
創業時は仕事も無かったし、商品となるプログラムも無かったし、お金も無かった。とにかく何もなかったので、とにかくジタバタ何でもやっていました。出来ることは全部やるという感じでしたね。
今はそれなりに実績もついてきて、社会のなかでも随分認知されるようになりました。
現在はコロナの影響で少し崩れてはいますが、我々の得意技は何か、我々は何をすべきかということも整ってきて、本当に大人になったなぁという感じます。
—–そもそも、なぜTBJを立ち上げたのですか?
2006年当時、チームビルディングの手法や考え方は全く日本に広まっていませんでした。
今でこそ「チームビルディング」「ファシリテーション」という言葉を普通の人も使うようになりましたが、15年前はこれらの言葉は存在していないに等しいくらい全く通じませんでした。
私が海外でチームビルディングに出会ったのが、1998年のことです。
自らの経験に基づいて話し合って学びに変え、チームとして成長していく・・・こんな手法があるのか、と衝撃を受けました。
というのも、私は自分が経験した学校教育のやり方が大嫌いな子どもだったんです。
学校では決められた正解をインストールするだけ。上手にインストールできた人が成績優秀で、インストールできなかった人は優秀ではないと評価される。誰かが決めつけた正解を押し付けて、それができたらマルで、できなかったらバツ。先生は絶対正しく、生徒が「ちょっと待って、それおかしくない?」という余地が一切ない。自分の頭で考える自由を奪う環境でした。
学びとは本来そうではない。様々な答えの可能性を探ったり、本当にそれは真実なのかを探求していく。それが本当の学びのはずです。
しかし、自分が子供のころ経験した学校教育では、その学びの要素が一切排除されていました。決めつけが前提にある学校のやり方が大嫌いでした。
しかし、アメリカで「学習する組織」「リフレクション」を知り、驚きました。正解を教える人ががいなくても、こんなに学べるんだ、こんなに成長できるんだ、チームで話し合いながら自分たちの未来を切り開いていくことができるんだ、と。
日本での学校教育で嫌な思いをしてきた分、自らの経験から学ぶという学習の仕方があることを知ったときは、ものすごく嬉しかったですね。
そして、絶対日本にもこういう教育が必要だ、自分がやろう、自分が伝え広めようと思ったんです。これが創業に至ったそもそものきっかけです。
創業後は、まだ世間では知られていないチームビルディングについて一生懸命発信し続けてきました。
「正解」は教科書に載っているものであり、先生から教えられるものであると思っている人にとっては、「え? チームで学ぶってどういうこと?」っていう感じでしょう。
でも、少しずつ変化してきていると思います。創業数年後に、見ず知らずの他所の会社がTBJの発信している内容を「これがチームビルディングです」と勝手にパンフレットに載せているのを見たときには、「すごい、パクられるぐらい自分たちの伝えるチームビルディングが広まってる!」と嬉しかったのを覚えています。
チームビルディングを世に伝え広めていきたいという思いは創業当初からずっと主軸にあり、15年経った今もその気持ちはかわりません。
もっともっと伝え広めていきたいし、分わかってきた人たちにも、もっともっと見てもらいたい、知ってもらいたいことがまだまだたくさんあります。
15年前に比べたら随分広まってきたからこそ、さらに広く深く伝え広めていきたいですね。
—TBJの存在意義は何だと思いますか?
「希望と愛を伝え広める」ことが自分自身のパーパスであり、TBJの存在意義でもあると思っています。ミッションとして「働く人たちが自分の働く場でHappyに」として掲げています。
組織づくりの手法や考え方を通じて、社会に希望を届けていく。それが我々が会社として存在している意義です。15年間ずっと真ん中にあるものですし、周りの人から喜ばれてきました。逆に、その意義が無ければ我々は社会から淘汰されてしまうでしょう。
これまでも希望と愛を伝え広めてきましたし、これからもそうあり続けていきたい。社会全体が苦難の渦中にあって、最近改めて強くそう思いますね。
—現在の社会環境において、どのようなチームビルディングが必要とされているのでしょうか?
・・・コロナ真っ只中で、見通しが立たない。希望が持てない。
・・・いろいろやっているはずなのに全然改善されない。
・・・ちょっと良くなるかと思ったら、全然良くならない。
先が読めないことによる不安が渦巻いています。
しかし、取り巻く環境を冷静に俯瞰してみると、不確実性が高く、変化スピードが速い時代であるということは、元々コロナ前からずっと言われてきたことです。
以前は「うん、そうだよね」ぐらいの感じでしか受け止められてきませんでしたが、
コロナ渦によって多くの人が不確実性が高くて変化スピードが高い社会環境であることを身をもって実感しています。
このような環境に適応するためには、変化に強いフラット型組織の構造に変革していくチームビルディングが必要です。これは以前から言われてきたことでしたが、実際に取り組んできた企業は少ないのが実情でした。
コロナになってやっと、不確実性の高さを目の当たりにしてようやく分かった人が多く、今になってアタフタしてしまい、目の前のことに対応するだけで精いっぱいという現状になってしまっています。
しかし本質的には、場当たり的に応急処置をするのではなく、変化のスピードが速く、不確実性が高い環境でこそ最高のパフォーマンスを発揮することができる「フラット型組織構造」につくり変えていくことが大事です。
組織構造は環境に合わせて変革する必要があります。
今の環境下ではピラミッド型組織からフラット型組織へ、あるいは部分的にフラット型を取り入れたハイブリッド型組織へ変革していく必要性が、全ての企業にあると考えています。
TBJのクライアントは大企業が多く、これまでは大企業とばかり仕事をしてきましたが、今こそ中小企業に向けたチームビルディングが大事であると考えています。
企業を船に例えると、大企業は大きな船で、中小企業は小さな船です。
大きな船は、コロナという嵐でも急に沈むことはありません。ゆっくり沈みます。
小さな船は、浸水するとすぐ沈んでしまいます。すでにこの渦中に淘汰された企業も数多くあることでしょう。
日本の中小企業には、良い仕事をしている会社がたくさんあります。そして、日本中、世界中にもっともっと良い仕事を届けようと頑張っています。
素晴らしい仕事をしている会社は歴史があることが多く、歴史があるからこそピラミッド型構造になっています。これらの会社がコロナの荒波のなかで、舟が小さいという理由で浸水して沈んでしまったら、本当にもったいない。小さな船、すなわち中小企業がフラット型組織に変わっていくことで、この先の未来に残していけるものがたくさんあります。
大きな船は舵を切っても急には曲がれず、進路を変えることができませんが、小さな船は舵を切ればすぐに進路を変えることができます。中小企業はその小回りの良さを活かせるのです。
これまでのピラミッド型組織構造に新たにフラット型組織の要素を取り入れることにより、不確実性が高く変化のスピードが速い環境に適応できる組織に生まれ変わることができます。
コロナによって強制的に変化を余儀なくされている組織もあるでしょうし、今はとにかく目の前のことをやらざるを得ず、組織変革どころではないという組織もあることでしょう。
しかしいずれも、この機に会社の組織構造を変えることで、社会により多くの価値を届けることができる企業になることができるはずです。
我々TBJの得意技は、フラット型組織への変革を求めるピラミッド型企業のサポートです。今の環境下、組織の問題でお困りの多くの企業の役に立つことができると考えています。
特に中小企業の支援については、コロナ禍の今だからこそ我々がやるべきことだと強く思っています。
荒波ばかりでなく、コロナ禍のなかで得た良いこともたくさんあります。
まず、遠くの人とも気軽にオンラインで集まることができるようになったのは良い点です。
また、リモート勤務によって、会社に出社して監視されて働くのではなく、それぞれが自らの裁量で主体的に働けるようになりました。これも一人ひとりが自分らしい働き方ができるようになった点だと思います。
さらに、通勤時間が無くなり、家庭に大人がいる時間が長くなりました。在宅勤務になったおかげで家庭ファーストの働き方ができるようになった人も多いのではないかと思います。
TBJは元々リモートワークを取り入れて柔軟な働き方を実現してきましたが、コロナを機にオフィスを手放し、完全リモート勤務へ移行しました。
私自身、コロナ前までは保育園のお迎えが無い日は夜遅くまでオフィスで仕事をしていましたが、今は子どもたちが学校から帰ってきたら仕事は終えて子どもたちと過ごし、仕事が終わっていなければ、寝かしつけた後にまた仕事をしています。これは自分らしく、人間らしく仕事をすることにつながっていると感じています。
このような良い点や、社会の変化の流れからみても、これまでは「会社の人としての自分」として働かなくてはならなかったけれど、今後は一人ひとりが「自分らしい自分」として働けるようになると考えられます。
働く場所の自由度も、今後ますます上がるでしょう。今の仕事を続けながら、東京に出ようと思えばすぐに出られるぐらいの距離の自然豊かな郊外に引っ越す人も増えています。
そうなると、チーム全員が対面で集まる機会が減ってきます。機会が減るということは対面で会うことの稀少性が上がるということです。
対面で集まるその時間をいかに最大限に活用するかが重要になります。
せっかくみんなが集まった機会で最大限の価値を得られるようにする。これはTBJが得意とするチームビルディングの一つです。我々の強みを活かして積極的に支援していきたいと思います。
—最後に、今後のTBJのビジョンを聞かせてください。
<ウィズコロナ/アフターコロナ対応のチームビルディング研修>
コロナ環境下でも実施できるチームビルディング研修を提供していきます。具体的には、オンラインでも高い効果のあるチームビルディング研修プログラムをより充実させると同時に、対面でチームビルディング研修を行いたいというニーズにも応えられるよう、非接触型のプログラムなど、コロナ感染予防対策を前提としたプログラムの充実を図ります。
<動画で学べるチームビルディング>
チームビルディングを広く伝え広めていくという使命から、動画講座にも一層力を入れていきます。従来は対面でファシリテーションや実体験を元にチームビルディングを伝えていくことが多かったのですが、直接会って伝えられる人数は限られてしまいます。動画なら、伝えられる内容は限られてしまいますが、多くの人に伝えることができます。動画講座の質を高め、より多くの人に我々のチームビルディングの考え方を届けていきます。
<オンラインで海外展開>
海外では、多くは単なる懇親イベントとしてのチームビルディングが主流です。以前から海外、特にアジア圏で我々のチームビルディングを提供していきたいと思っていました。オンラインであれば海外への展開も容易です。まずは動画講座を通じて、我々の行っている本質的な組織変革につながるチームビルディングを海外に伝え広めていきたいと考えています。
<歴史ある中小企業を支援>
これまでクライアントは大企業ばかりで、中小企業の支援が全くできていませんでした。これからは、素晴らしい仕事をしている歴史のある中小企業の支援も行っていきたいと考えています。継続して深く関わるため数多く引き受けることはできませんが、中小企業に組織開発顧問として関わり、共に組織づくりを推進できます。社会から存続が望まれる歴史ある中小企業にぜひコロナ禍を乗り越えてほしいと思います。
<対面で集まる機会の価値を最大限に>
アフターコロナになると、対面で集まる機会が貴重になります。例えばオフサイトのチームビルディング合宿などで、我々がもつチームビルディングの手法を使って、対面で集まる貴重な機会において最大の価値を生み出します。
この環境下だからこそ、我々TBJの強みを活かしたチームビルディングが必要とされていると感じています。これからも、チームビルディングを通じて社会に希望を与え続けられる私たちでありたいと思います。
15年目からも引き続き応援よろしくお願いします。