第67回『D&I 今日からできるアクション 後編 』
2021年08月19日
■チームでリフレクションを行う
リフレクションとは、自分たちの行動や経験を振り返り、「何が起こったのか」「どんな意味があったのか」「次に自分たちにできることは何か」「変えた方がいいことは何か」「継続していった方がいいことは何か」等を見つけて次の行動に活かしていくことです。
一段上の自分で客観視し、「自分たちはどうか」についてチームで話し合います。
チームのメンバーが多様であったとしても、違いを活かせなかったらただ多様であるというだけです。
リフレクションをすることによって、違いをうまく活かせているかそうでないかを自覚し、チームとして学び、成長する道を見つけることができます。
リフレクションは仕組化し、事あるごとにやるのがおすすめです。
例えば、1週間の終わりにその週を振り返ったり、会議の直後に少し時間を確保し自分たちの話し合いのスタイルどうだったかを振り返ったりしてみましょう。
リフレクションは組織として学習することの肝です。いろんな機会にリフレクションを行いましょう。
■チーム(組織)の目的を再確認し、共有する
違いを活かそう、ダイバーシティを尊重しよう・・・その思いはあっても、実際には違いがあるゆえに対立が起こりますし、受け入れがたいこともたくさんあるものです。
そんなとき、対立を超えるために有効なのが、「この組織は何のために存在するのか」という存在目的を共有することです。
共有する存在目的が分かっていないと、対立ばかりに目がいってしまいます。
見方や捉え方の違いから、たとえぶつかってしまったとしても、みんなが本気で一つの目的のために頑張っているということがわかれば違いを超えて対立を活かせるようになります。
違いによって対立しがちな組織は、目的を共有するだけでも気持ちよく受け入れ合えるようになります。
対立が大きくなる前に、まずは目的を共有しましょう。
■失敗しない計画を立てるよりも、許容できるリスクの範囲を決めて行動し、経験からチームで学ぶ
絶対に失敗しない計画を立ててから行動するよりも、新しい挑戦をして、その経験から学習することが大切です。
失敗を恐れすぎてしまうと違いを受けれられなかったり、新しい物事に挑戦できなくなってしまいます。また、絶対に失敗しない計画を立てると、計画通り進んでいるかどうかばかりを大切にし、環境の変化に臨機応変に適応できません。
小さくやってみてその経験したことから学んで次に活かしていくというやり方と、失敗しない計画を立てて計画通りやっていくというやり方は、全く違います。
人の多様性を活かして、この不確実性の高い環境で生き延びていくには、計画通り進めるよりも、許容できるリスクの範囲を決めて行動して経験から学ぶ方が明らかに優位です。
始める前にしっかり計画を立てないとスタートできない組織文化の場合は、どこまでならリスクなら許容できるかをまずは把握して、小さいところからとにかくやってみるように意識して行動を変えていきましょう。
■「失敗しないこと」が目的化していることを感じたら本来の目的に立ち返る
失敗しない、ということ自体が目的化していることがあります。
本来大事なのは、仕事の中で何をなすのかや、何を実現するかです。
「失敗しないためにやってるな」と感じたら、改めて本来の目的に立ち返りましょう。
失敗しないことを目的として計画通りに進めることに重きを置かなくてはならない状況の場合は、チームに多様性を求めるのはやめましょう。メンバーそれそれが違うことを考えない方が都合がいいですから、多様であるよりもみんな同質である方が組織としてまとまりやすいです。
しかし、現在のように不確実性が高く変化スピードの速い環境の場合は、 異質な人が集まって様々な視点を掛け合わせた方が成果を出しやすいです。
自分たちの目的を実現するためにどうやったらいいのか分からない場合でも、
違いを活かして互いの異なる視点でアイデアを出し合い、意見を出し合い、誰の頭の中にもないものをチームの力で生み出していくことができます。
「失敗しないこと」にこだわっていると感じたら、本来のチームの目的に立ち返りましょう。
■さいごに
ここまで前編・後編にわたって、違いをチームで活かすためにできる行動をご紹介してきましたが、最後に大切なことをお伝えします。
違いから価値を生み出そうという意識は素晴らしいですが、価値を生み出すための違いではなく、違いそのものが尊重されるべきだということです。
どんな違いがあろうとも、人が人として尊重されることが大切です。
純粋にその意識を持って人を大切にすべきです。
不確実性の高い、誰も正しい答えを知らない環境の中では、純粋に多様な人を人として尊重することが、我々の未知の未来を拓く最適解を見つけるきっかけになります。
この不確実な環境のなかで違いを尊重し合うことそのものを大切にし、同時にその違いから素晴らしい価値も生み出す。そんなスタイルでダイバーシティをインクルージョンして、今は無い価値を生み出していきましょう。