第50回『目標設定3つの誤解』
2020年12月24日
年末が近づいてきました。年の節目に、個人目標や、会社で目標を立てることも多いことと思います。
今年は特に、社会環境が大きく変わりました。これまで我々が「目標設定とはこういうものだ」と思っていたものが、今の予測しづらく、変化の激しい環境では機能しないということが起こっています。
組織・チームにとって目標は大きな意味を持ちますが、コロナ禍で激変した社会環境においてはこれまでの目標設定の仕方では機能しません。
今回のコラムでは、目標設定におけるよくある3つの誤解について説明します。
目標設定3つの誤解
1)計画通りに進める
「目標はきちんと計画通りに進めるもの」だと思っていませんか。
計画的にやっていこうとすることが実は正しいとは限らないのです。
2)目標必達にこだわる
特に営業会社などでは「目標必達」の傾向がありますが、
実は、目標必達にこだわるとベストな成果が出ません。
3)過去の経験に基づいて目標を立てる
今年度の実績に基づいて「来年はこうしよう」と目標を立てようとしていませんか。
過去の実績や経験を元にして目標を立ててもうまくいかない環境になってきました。
以上、これら3つの誤解について、一体何が誤解なのか、どうしていったらいいのかを解説していきます。
1)計画通りに進める
計画を立てても、その通りにいかなくなっているのが
今の社会環境の大きな特徴です。
特に、コロナ環境で、計画を立てた時点では思いもしなかったことが起こるということを
ひしひし感じているのではないでしょうか。
VUCAのコラムでもお伝えしましたが、
予想もしない変化が起こり、未来の予測が非常に難しい状況にあります。
変化スピードが速く、自分のイメージ通りにはいかない。
それなのに計画通りに進めようとしてもうまくいくはずがありません。
事前に緻密な計画を立てること自体が邪魔になります。
未来が予測しにくいので計画が立てにくく、
環境が変わってしまえば、計画通りやってもうまくいきません。
きちんと計画を立てて、きちんとその計画通りに進めようとすると行き詰まります。
計画を立てることにより、失敗しやすいパターンに陥ってしまうのです。
では、どうしたらいいのでしょうか。
このような環境に適した方法があります。
隙のない計画よりも、たくさんの行動と経験から学習し、成長しながら目標へ向かう方法です。
未来が読めない、変化しやすい環境下においては、
実現したい壮大な計画を立てるのではなく、小さくたくさんやってみることが有効です。
時間をかけてしっかり準備して大きなことをやるのではなく、小さくやってみましょう。
例えば社内で組織変革を行う場合、大きく全社に打ち出すのではなく、
自分の小さな部署の5人くらいのところでまずはやってみます。
そして、やってみてどうだったか振り返り、うまくいかなかったところを改善していきます。
事業計画も同じです。小さくやってみて、チームで素早く学んで活かしていく。
環境に適した方法を自分たちの経験から見つけ出していくことが、今の環境では必要とされています
2)目標必達にこだわる
目標を掲げたからには、もちろん達成することは大切なことです。しかし、目標達成に向かってやり続けるなかで、取り巻く社会環境が変わり、目標自体に意味が無くなったり、価値が下がってしまうことがあります。こうなると、目標を達成しても意味がありません。
目標必達のこだわりが動きを固くしてしまうと問題です。
周りの環境が変化したのなら、元々立てた目標にこだわらずに、変化した状況ではどうしたらよいかを考え、状況に合わせて自分も変化して、臨機応変に目標を変えていくことが必要です。
年末や年初に目標を立てる際、「今年こそは必ず達成するぞ!」と思っている人も多いかもしれません。
しかし、目標必達にこだわり過ぎるよりも、今、何が起こっているのかをよく見て、
(自分が掲げた目標と合わないな・・・なんか変だな・・・)と思ったらすぐに適応して、
目標を変化させていく方が良い結果を得られます。
3)過去の経験に基づいて目標を立てる
これまでは企業が伸びていくことを前提に、「5年以内に○店舗達成」「売上○○円達成」と分かりやすく派手な目標を掲げ、そこにモチベーションを感じて頑張っていく・・・ということが行われてきました。
今でも、過去の経験に基づいてストレッチした目標を設定することが多いのではないでしょうか。
しかし、「今日とはまったく違うことが明日起こるかもしれない」という現在の状況においては、過去の経験に基づいた目標を立てても意味がありません。過去の実績や経験に基づいて目標を立ててもうまくいかないことがあるのです。
では、社会環境が変化した今、どのように目標を立てたらよいのでしょうか。何を行動の判断基準にしたらいいのでしょうか。
これからは、過去の経験に基づいて事業計画を立てるのではなく、自分たちの存在意義、存在目的にもとづいて「我々は何をなすべきか」を考えて行動していくことが重要です。
特に大きな古い組織はこれまで上手くいってきたので、過去の経験に基づいて、ストレッチしたわかりやすい目標を掲げがちですが、「我々の存在目的は何か」をもとにして、すべき行動を判断する必要があります。
組織の存在目的から目標やなすべきことを考える。それが、これからの環境に適した組織のあり方です。
目標設定3つの誤解のまとめ
- 計画通りに進める
- 目標必達にこだわる
- 過去の経験に基づいて目標を立てる
これらの考え方は、企業・個人が実現すべきことを実現するために大変有効でした。
しかし、変化の激しい現在の環境下においては、むしろ逆効果になっています。
今の環境に必要な目標設定の考え方は
- 計画通りに進めるよりも、小さくやってみる。
- 目標必達にこだわるよりも、臨機応変に対応する。
- 過去の経験に基づいて目標を立てるよりも、自分たちの存在意義に立ち返って判断する。
新しい年に向けて、どのように目標を立てるか、どのような選択をすべきかを考える参考にしてみてください。