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第35回『「当たり前」の違いを乗り越えていく方法』

2020年05月28日

今、新型コロナウィルスの影響によって社会全体が混乱し、
多くの組織が本当に大変な思いをしています。

組織の問題や組織内コミュニケーションの問題が起こり、
組織課題の解決に困っている組織、
困難に直面している組織が増えています。

組織の問題で困っている人が多いこの状況だからこそ、
我々は組織づくりの専門会社としてできることをもっとやっていきたい、
社会に役に立っていきたい、という気持ちが強くあります。

今、新型コロナウィルスの影響により、働き方や仕事、組織のルールがどんどん変化しています。

大きな組織であればあるほど、これまで変えずにずっとうまくやってきた、決まったやり方があります。

その型を、今、強制的に変えさせられています。

その組織にとってこれまで「当たり前」だったことがガラガラと変わっていく。

これまでの「当たり前」は通用しないので、新たな自分たちの「当たり前」をゼロから作っていくことになります。

当たり前が変わっていくとき、組織内に「一人ひとりの持っている当たり前が違う」「当たり前が揃わない」という問題が起こります。

現在、この問題で困っている組織が大変多いのですが、落ち着いて少し俯瞰して見てみると、
実は「当たり前が一人ひとり違う」ということこそ当たり前であるということに気づくでしょう。

コロナ危機は「一人ひとりが違う当たり前を持っていることは、実は当たり前である」
ということに気づくことができるチャンスでもあるのです。

もう少しわかりやすく説明していきます。

大企業ではこれまで、「社員が会社のルールに合わせる」ことが当たり前でした。
働く環境も、みな同一でした。

しかし今、多くの企業で在宅テレワークが導入され、社員が異なる環境でオンラインでつなぎ、仕事をするようになりました。

在宅テレワークはワークとライフが密接につながっています。ライフの状況が、従来よりワークにも影響するようになりました。

それぞれライフの事情は違います。例えば、

 ある人は独り暮らし。
 オンライン会議がなければ、特に誰かと話すことはなく、一人で籠って仕事をしている。
 自分の存在意義が何なのか考えてしまったり、寂しさを感じたりしている。

 また、ある人は夫婦共働き。
 夫婦共にテレワークとなり、広い家ではないのに家庭内シェアオフィスのようになっている。
 さらに学校が休みなので子どもたちも家に居て、ごちゃごちゃした環境のなかでオンライン会議をしなくてはならない。

このように、社員それぞれの状況が異なるなかで一緒に仕事をするということが、今、起こっています。

すると、どうなるでしょうか。

ある人は「家の中で仕事に集中出来る環境を作って、オンオフを切り替えて仕事すべき」という当たり前を持っていたり、

ある人は「子どもがいると、勤務時間中、仕事だけに集中するわけにもいかないので、時間枠に囚われず仕事できた方がいい」という当たり前を持っていたりします。

以前のように、「仕事だからこうするのが当然」という考え方は通用せず、各自の当たり前がぶつかり合ってしまうのです。

この問題を解決していくためには、どうしたらよいでしょうか。

最初のステップは、「そもそも当たり前が違うのは当たり前である」という前提に立つことです。

社員一人ひとり、全員が違う当たり前を持っているという前提に立たなければ、違いを乗り越えていくことができません。

では、「当たり前が違う」という前提に立てたとしましょう。それでもまだまだ問題は解決しません。

「相手とは当たり前が違う」と気づくと、「自分の当たり前をなんとかして相手に分からせようとする」ということが起こります。

「自分にはこういう事情があるんだ」「こういう状態なんだ」「仕方ないよね」「当然だよね」・・・
自分にとっての当たり前を、とにかく相手に分かってもらおうとするのです。

しかし、これを全員がやってしまったら、誰も「相手の当たり前」が分かりませんね。

「当たり前を分かってほしい」という主張を聞いた相手は、「この人は自分の当たり前の話ばかりしているけれども、私の当たり前は分かってくれていない」と感じます。

すると、「私の当たり前を分かってくれていない」と感じた相手も、「私の当たり前」を一生懸命伝えようとし始めます。

こうなると、10人いたら10人が「自分の当たり前」を主張するだけになってしまいます。

これが当たり前が崩れた変化の時の組織の中で起こっている問題の根幹なのです。

また、当たり前が違うから切り離したり、拒絶したり、理解するのをあきらめてしまうことも起こりますが、それも逆効果です。分断を生んでしまい、チームで違いを活かしあっていく事にはつながりません。

この問題を解決するには、お互い違う当たり前を持っているという前提に立ったうえで、自分の当たり前を伝えながらも、「相手の当たり前を理解しようとする」ことを優先することが必要です。

自分と相手の当たり前が違うことに気づいたら、「自分の当たり前」を相手に理解させようとするのではなく、「相手の当たり前」を理解しようと努めます。

すると、相手は受け入れてもらっていると感じます。

「この人は自分の考えや、立場、困りごとを分かろうとしてくれている」と思えると、お互いに受け入れ合えるようになります。

相手の当たり前も分かるし、自分の当たり前も分かってもらえた。こうしてお互いに受け入れ合える状態になって初めて、フラットにコミュニケーションが取れる状態になったといえます。

自分の主張ばかりでは、コミュニケーションが起こっているとはいえないのです。

受け入れ合うことで、やっとコミュニケーション(伝える、受け取る、消化する)が起こります。
そして、フラットなコミュニケーションが取れるようになって初めて、チームで解決していかなくてはならない課題に対して何をすべきかが見えてきます。
チームで問題解決に進んでいくことができるようになるのです。

ポジティブなサイクル、ネガティブなサイクル、どちらのサイクルもちょっとしたきっかけで起こります。

自分のことを分かってもらえないときは、そんなに強い主張だと思っていなかったようなことでも、どんどん積み重なっていきます。

自分は大げさに言っているつもりもないし、
過剰に自己主張をしているつもりもない、
自分の当たり前にみんなを合わせさせようなんて思っていない、
小さなことだけど不安だから「自分の立場はこうなんです」とちょっと言っただけなのに
相手は「分かってくれていない」と受け取ってしまう・・・

このようにネガティブなサイクルが進み、問題が大きくなってしまうのです。

逆も然りです。
相手のことを理解しようという姿勢を持ち、
「この人はこういうことで困ってるんじゃないかな」と寄り添う。
このような関わり掛けをすることが、ポジティブなグッドサイクルを回していくきっかけになるのです。

ポジティブなサイクル、ネガティブなサイクル、どちらのサイクルで回ってるかを感じ取り、自らちょっと良い方に舵を切ることで、相手にも自分を理解してもらえる方向に進んでいけます。

「自分が分かってもらいたい」という気持ちのときは、まず自ら相手を分かろうとする。

これをチームメンバー全員がやることが、組織のコミュニケーションの問題を解決する糸口です。

このことは、当たり前が入り乱れる、現在の混乱の時期の組織づくりにすごく役立ちます。
ぜひ試してみてください。

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