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第29回『アクティブリスニング(1) チームメンバーを活かす聴き方』

2020年03月05日

今、多くの組織で、ピラミッド型の階層構造にフラット型の組織構造を取り入れようとする動きが見られます。

しかし、いざピラミッド型組織でフラット型のコミュニケーションを取ろうとすると、ピラミッド型組織の“上の人”がしばしば陥る罠があります。

それは、「部下の話を聞こうとして、リーダーが黙ってしまう」ことです。

どういうことか説明していきましょう。

ピラミッド型組織の特徴の1つに、「“上の人”は正解を知っており、その正解を“下の人”にきちんと伝えていく」ということがあります。

“上の人”は経験知識が豊富。“下の人”は経験も知識も少ない。だから、正しく下に伝達し、引き継いでいくことが大事である・・・というわけです。

フラット型を目指して「もっとみんなの話を聞かなければならない」ときに、“上の人”がとる行動があります。それは、「黙ろうとする」ことです。

ピラミッド型組織の“上の人”は、“下の人”に指示をしたり教えたりするクセがついています。

でも、自分が話し過ぎると“下の人”たちが話せない。自分がまず黙らなくちゃダメだ・・・と考えた結果、黙ろうとするのです。

これが、フラット型導入時に多くの組織で起こる失敗の1つ。ピラミッド型組織のリーダーが陥りがちな罠です。

組織をフラット型にして、みんなからの意見を聞こうとする姿勢は大切です。しかし、「黙ること」と「聞くこと」は全く違うことです。

ピラミッド型組織において“上の人”が黙ってしまうと、チーム内はどうなると思いますか。

“下の人”は“上の人”を常に気にしているので、“上の人”が黙っていると、(一体何を考えているのかな)(何を見られているのかな)と不安になってしまいます。
ピラミッド型組織においては、“上の人”が黙るということは、“下の人”たちの不安につながるのです。

考えてみてください。

これまで常に発信し続けていた“上の人”が突然黙る。

今まで常に指示を出していた“上の人”が、突然「お前たちが自分でやってみろ」と言い出す。

これでは、「何が正解なのか」「何を期待されているのか」という不安がチーム内に生まれるのもは当然。せっかくの努力が、組織に悪影響を及ぼしてしまいます。

では、どうすればよいのでしょうか。
“上の人”がチームメンバーの話を聞きたいと思うなら、単純に黙るのではなく、「よりフラットに話を聞く行動」をとる必要があります。

「話を聞く」といっても、報告させるとか、問い詰めるのとは違います。では、一体どう聞けというのか。突然「よりフラットに話を聞く行動」と言われても難しく感じられる方も多いかもしれませんね。

でも、話の聴き方には真似ることが出来る型があるので大丈夫。「聴き方」というものがあるんだということがわかっていれば、“上の人”も単に黙るのではなく、フラットに聴けるようになります。

ただし、聴く技があることを知っても、“上の人”たちにとって、聴くことは思っている以上に難しいのも事実です。

なぜ難しいのでしょうか。
それは、「自分は正解を知っている」あるいは「正解を知っていなければいけない」と思い込んでいるらです。

人の話が聞けずに自分の意見を主張してしまうときというのは、「自分が正しくて、相手はわかっていない」または「自分がわかっていなければいけない」と思ってしまっているときです。

ピラミッド型組織においては、多くの場合、“上の人”の方が正しいことを知っていて、“下の人”の方が正しいことを知りません。

しかし今、誰も正解を知らないことを解決していかねばならない状況に直面することが増えています。

何が正しいかは誰もわからない状況下で、“上の人”が「自分が正しい」と思っていたら、間違いなくうまくいきません。

自分も相手も正しい答えを知らないというフラットな立場に立ったコミュニケーションが求められます。

「自分が正しく、相手がわかっていない」のではなく、「相手が正しいと考えていることは何なのかを、自分がわかっていない」と捉え直す。フラット型のコミュニケーションが取れるようになるためには、この発想の転換がリーダーに必要です。

結構難しいけれど、かなり重要な転換です。ひっくり返して考えることで、相手に興味をもって聞くことができるようになります。

自分の正解が「当たり前」だと思っている人は、正解は1つだと思っています。でもそうではありません。

「当たり前」が1つではないという、わかりやすい例を挙げましょう。

電車のなかで携帯電話で話すのはマナー違反ですよね。それが「当たり前」で、そんなことしたら周りから睨まれます。

日本ではマナー違反。だから、多くの人はなんとなく世界中どこもそうなのだろうと思っています。

でも、海外に行ってビックリした人はいませんか? 海外の多くの国では電車のなかで普通に携帯電話で話しています。それが「当たり前」。

これはどちらが正しいということではありません。「当たり前」が1つではないということです。

どのフレームで見るかによって、「当たり前」というのは変わります。

「自分にとっての当たり前が、相手の当たり前ではない」と捉えることができれば、聞き方が変わってきます。

相手の持っている当たり前は何なのかに興味を持って聞くこと、相手にとっての当たり前を自分はわかっていない、相手の当たり前を理解したいという気持ちで聞くことが、積極的に聴き、メンバーの意見を引き出せるようになるためのスタート地点です。

次回から3回にわたり、チーム内だけでなく、さまざまなところで活用できるコミュニケーションのテクニック「アクティブリスニング」を詳しくご紹介していきます。

コミュニケーションが苦手な人も、型通りにやればある程度できるようになります。

どうぞご期待ください。

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