第10回『組織を一つにするもの』
2019年06月13日
組織づくりと人づくりに必要な9つの要素
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【 組織を一つにするもの 】
●自分たちらしさ
●目標、ビジョン、ゴール
【 ベースとなる組織文化 】
●心理的安全性
●多様性と受け入れ合い
●主体性
【 組織として学び、進化し続けるための行動 】
●混ざり合いを起こす
●失敗や異色な発想を受け入れる
●行動量やコミュニケーション量を増やす
●リフレクションを行う
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組織づくりと人づくりに必要な9つの要素のうち、
今回は「組織を一つにするもの」についてお話しします。
――「組織を一つにするもの」とは何ですか?
河村 甚(以下じん):「組織を一つにするもの」には、2種類あります。
一つ目は、「自分たちらしさ」です。
自分たちらしさとは、その組織だからこその特性や、その組織の本質のことです。
組織の真ん中にある、立ち返る軸のようなものです。
メンバーはバラバラでもいいし、クセがあってもいいし、いろんな人がいてもいい。
けれども、軸だけは一緒に共有していて、この軸でみんながつながっていると感じられるものが、組織には必要です。
チームメンバーがどこにいても、どんなに離れていようとも、軸だけは共有しているという状態が、「組織が一つになっている」状態だといえます。
――もう一つの要素は?
じん:組織を一つにするためのもう一つの要素は、「目標、ビジョン、ゴール」です。
これは、組織の真ん中の軸である「自分たちらしさ」とは反対に、組織の外側にあるものです。
実は、内側にある「自分たちらしさ」の軸だけでは行動にはつながりにくいのです。
なぜなら、どの方向に進んでいいのかわからないからです。
「あっちへ行こう」「こっちへ行こう」と目指す姿を共有することが大事ですし、さらにいえば、その目指す姿は、どこかから持ってきて取って付けたようなものではいけません。
例えば、「あっちの会社が最近あんなことしてるから真似してやってみよう」だとか、「これからの時代はこういうものが流行るから、こういうものを売ってみよう」ということではダメだということです。
――目標やビジョンを掲げている組織がほとんどだと思います。
目標を立てたり、ビジョンをつくったりするときのコツは何かありますか?
じん:「目標、ビジョン、ゴール」は、「自分たちらしさ」の軸との関係性がとても重要です。
組織を一つにするためには、真ん中の軸から生まれた目標やビジョンに向かって進んでいくことが必要です。
自分たちの真ん中にある軸である「自分たちらしさ」を最大限素晴らしい状態で発揮したときに、どんな素晴らしい未来の姿を実現できるのかという視点で考え、「自分たちが実現するのはこういう未来だよね」というのを見つけていくということです。
チームが進んでいる方向を明確にし共有することはよく「ベクトル合わせ」とも呼ばれ、組織に必要であることは知られていますが、
進む方向を一つにするためには、とってつけたような目標やビジョンではなく、
真ん中にある軸から生まれた、共通の進むべき先が大事なんです。
――最近は多様性のあるチームが増えてきています。多様な人材を抱える組織を一つにするためには、どうしたらよいのでしょうか。
じん:ピラミッド型組織のようにメンバーが同質であることを求めるのではなく、
フラット型組織のようにメンバーの個性がバラバラであることを大切にしながら、組織として一つにしようとするときに大事になるのは、
真ん中にある軸と、目指す方向の共有です。
「バラバラだけど、真ん中の軸は共有しているよね」
「バラバラだけど、同じ方向を向いてるよね」
チームメンバーがそう感じられることが重要です。
「自分たちらしさ」という真ん中の軸と「目標、ビジョン、ゴール」という目指す先でメンバーがつながっているからこそ、組織として一つになり、チームとして機能し力を発揮することができるのです。