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第81回『話し合いの場で発言をためらってしまう時に』

2022年03月03日

話し合いの中で、発言が無く気まずい空気が流れた経験はないでしょうか。

「仕切り役になりたくない」「出しゃばっていると思われたくない」
「みんな黙っているけど、どう思っているんだろう」
「きっとあの人が話すだろう」「誰か話し始めてくれないかな」・・・

そんなモヤモヤが渦巻いています。

今回は、どうして話し合いが始まりにくいのかについて解説したうえで、
どうやって話し合いを始めたらいいのか、具体的なテクニックもご紹介します。

話し合いに臨む際に起こる不安を減らしていきましょう。

まずは話し合いが起こりにくい理由についてです。
そもそも、なぜ話し合いが始まらないのでしょうか。

それは、発言することによるリスクはあってもメリットが無いからです。
発言することによって得られる自分のメリットが無ければ、よほど話し好きだったり、仕切るのが得意だったり、テーマに思いがあったりしない限り、発言することを避けるでしょう。

コミュニケーションを阻害する要因として、以下の4つの不安があります。

1)「無知」だと思われたくないという不安
2)「無能」だと思われたくないという不安
3)「ネガティブ」だと思われたくないという不安
4)「邪魔している」と思われたくないという不安

例えば、「そんなことも知らないの?」「それ、当たり前でしょ」と言われたくないというのは自分の「無知」をさらしたくないという不安、「出しゃばっていると思われたくない」というのは「邪魔している」と思われたくないという不安からきています。

これらの不安を軽減させていくことができれば、話し合いにくさを緩和することができます。

特に、上下関係があるときにこれらの不安を感じやすい傾向があります。
たいていの場合、下の立場の人の方が不安が大きく、上の立場の人は下の立場の人が不安を感じていることにすら気づきません。しかし、不安の高低差はどこにでも存在しています。
下の立場の人が自分から安心な場をつくるのは非常に難しいです。上の立場の人が率先して安心な場づくりを心掛けてください。

不安を解消するためには、全員が「フラットに話せた方が良い結果につながる」ということを理解しておくとよいでしょう。
誰も正解を知らない課題を解決に導くためには、みながフラットに意見交換ができた方が良い効果が出ます。

また、下の立場の人のなかには、ミーティング中に俯きっぱなしだったり、オンラインミーティングの場合は画面オフにしたりしてその場から消えようとする人がいますが、目線を使ってコミュニケーションをとり、自ら積極的に話し合いに参加しましょう。
目線を向ければ自分に話を振ってもらえるかもしれません。
目線だけで驚くほどコミュニケーションをとることができることに気づくでしょう。

下の役割の人が話し合いを促進させるためにできることとして有効な方法の一つに「書記の役割をとる」ということがあります。
立場が下だと議長をやるとは言い出しづらいものですが、書記なら引き受けやすいのではないでしょうか。
「私が書きますね」と言ってサッとホワイトボードの前に立ちましょう。
書記の役割をとることで自然に話し合いを整理することができます。

また、話し合いというのは、誰かが口火を切ると他の人も発言しやすくなります。
話し合いにくさを解消するために、自ら発言してみましょう。

とはいえ、特に意見が無いときもありますよね。そんな時はどうしたらいいでしょうか。
話し合いのテーマについて特に意見が無いときにも発言できるテクニックがあります。

それは、話し合いのテーマをただ口に出してみる、ということです。
例えば話し合いのテーマが「日本の少子高齢化と世界の人口増加について」だとしたら、
「テーマは~~でしたよね」「なるほど、日本の少子高齢化と世界の人口増加について、ですね」と言ってみるだけでも話し合いを進める効果があります。

また、現状を描写して発言する、というテクニックもあります。
思っているけれど話し合いの本題ではないからみな口に出さないことをあえて言ってしまうのです。
「話し合い始めにくいですよね」とか「気まずいですね」と口に出してみましょう。
テーマについての意見が出ないときには、現状を描写する発言をすることにより場が動くことがあります。

とりあえず自己紹介から始めてみるものも、話し合いの流れの呼び水をつくる一つです。
知らない人同士で緊張しているときには、話し合いの始めには行うととても効果的です。
自分から「○○所属の□□です。よろしくお願いします」と声をかけてみましょう。

これらは、自分が仕切らなくても、上下関係があっても話し合いやすくなる技です。ぜひ使ってみてください。

次に、アイスブレイカーをやってみましょう、という提案です。
アイスブレイカーとは話し合いにくい凍った空気感を溶かすためのゲームのようなものです。
簡単ですぐにできる3つのアイスブレイカーを紹介します。

●呼ばれたい名前で自己紹介
メンバーのフラットな関係性をつくるのに効果的なアイスブレイカーです。
「○○所属の河村甚です。呼ばれたい名前はじんさんです」と自己紹介します。
話し合い中も呼ばれたい名前でお互いに呼び合うことによりフラットな話し合いが促進されます。

●グッド&ニュー
最近あった良いことや新鮮だったことをそれぞれ話します。
自分が思ったことを口に出して話し、それを周りが受け入れる経験によって、場が温まり話し合いやすくなります。

●チェックイン 
話し合いに臨むにあたって全員が今の気持ちを話します。
「河村甚です。みなさんと話し合えるのをすごく楽しみにしています」と意気込みを伝えても良いですし、
「今の気持ちですが、この話し合いの場に来て緊張しています。テーマについて詳しくないのでみなさんから教えてもらいたいと思っています」こんな風に口に出せば不安も和らぎます。
自分がどのような状態にあるのかを述べてから参加します。

誰か一言発言した後、そこから盛り上がらない場合はどうしたらいいでしょうか。
その時は、「賛同」「便乗」「発展」のテクニックを使うと話し合いを促進できます。

●賛同:「いいね」「うんうん」「なるほど」「おもしろいね」と賛同するように頷きながら相槌を打ちましょう。

●便乗:「○○さんの意見に乗っかると・・・」と誰かの意見に乗っかって自分の事例、体験談を語りましょう。

●発展:異なるパターンの意見を掛け合わせ、混ぜ合わせることで発展させます。他の人の意見に自分の意見を混ぜ合わせて発言してみましょう。

これらの「賛同」「便乗」「発展」の技を使うことで、話し合いが進みやすくなります。

さらに、「一度書いてから話す」というのも、話し合い始めにくいときに大変有効なテクニックです。
例えば付箋紙に1枚につき1つの事柄を各自が書き出し、その後1枚ずつ貼り出しながら話すなど、意見やアイデアを出し合うときにまずは個人で書いてから話し合うのです。

一旦書くことによって周りの人の発言の影響を受けにくくなり、意見が上下関係に影響されにくくなりますし、書いてあることを読み上げるだけなので意見を言い出しやすくなります。
このとき、単にただ発言して終わらずに、便乗して発言したり、質問し合ったりするとさらに話し合いが盛り上がります。

最後に、「沈黙が怖い」「みんなが黙ってしまうことを何とかしたい」というお悩みに対するアドバイスです。

沈黙は不安を生みます。
(みんなは何を考えているんだろう・・・)(気まずいな・・・)(どうしたらいいのかな・・・)
不安だから沈黙し、沈黙がさらに不安を生み出す。沈黙が不安を生み不安がさらに沈黙を生むバッドサイクルに陥ります。

しかし、沈黙していても、実は混乱していて話し出しにくい場合や、考え中なだけな場合もあります。
ちょっと落ち着いて「この人の沈黙の理由は何かな?」と考えてみましょう。
沈黙の理由は相手の表情に出ています。
考えている表情、不安そうな表情、ただぼーっとしているだけ・・・など相手の表情を見ながら沈黙の意味を把握し、おそれずに対応しましょう。

以上、今回はフラットな話し合いが起こらない理由と、それを解決するテクニックをお伝えしました。
どれも簡単にやってみることができる技ばかりです。ぜひ取り入れてみてください。

 

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