第15回『ベースとなる組織文化』
2019年08月22日
組織づくりと人づくりに必要な9つの要素
【 組織を一つにするもの 】
●自分たちらしさ
●目標、ビジョン、ゴール
【 ベースとなる組織文化 】
●心理的安全性
●多様性と受け入れ合い
●主体性
【 組織として学び、進化し続けるための行動 】
●混ざり合いを起こす
●失敗や異色な発想を受け入れる
●行動量やコミュニケーション量を増やす
●リフレクションを行う
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――今回は、組織づくりのベースとなる「組織文化」について伺います。
河村 甚(以下じん):「組織文化」は、組織づくりをしていく中で大切な要素の一つです。
文化は環境の影響を受けて生まれてきます。
例えば、気候が温暖で作物が豊富に採れ、食べることに困らない環境では、
無理して頑張らない文化が生まれます。
日本のように地震などの災害が多い環境の場合はどうでしょう。
「次に災害が起きたらどうしよう」「地震が起きたらどうしよう」と考えるので、
リスクに備え、安全を優先する文化が生まれます。
――どのような環境下にあるかによって、生まれる文化が変わるということですね。
じん:はい。フラット型組織づくりに必要な文化は何かを論じるときに、
前提として考えなくてはならないのは、社会環境の変化です。
現在は、変化のスピードが非常に速くなっています。
誰かが持っている正解をそのままコピーすれば良い成果が出る時代から、
未知の課題に誰もが取り組んでいかなくてはならない時代に変わりました。
昔は、工場で労働力を集めて生産することが重要でした。
今、社会環境が大きく変わり、組織文化も変化すべき時期にきています。
にも関わらず、昔の環境に適した文化のままの組織が多く見られます。これではうまくいきません。
社会環境の変化に応じて、新しい組織文化が必要になっているのです。
――それで最近、フラット型組織づくりに注目する会社が増えているのですね。
じん:組織文化は、組織のベースとなるものです。
フラット型組織をつくるうえで大切な文化は、3種類あります。
- 安心して話せる人間関係(心理的安全性)がある文化
- 多様性と受け入れ合いが起こる文化
- 一人ひとりが主体的である文化
これらの文化のなかにある「当たり前」に沿って、日常の行動が生まれます。
――「文化から行動が生まれる」とは、具体的にはどういうことでしょうか。
じん:例えば、日本のようにリスクに備える文化があるところでは、
「物事を正確に」「時間を守る」「きちんと正確に」「ミスが無いように」
ということが重んじられるようになります。
「日本人は時間を守る」「日本製品は安心できる」と言われるのは
日本の文化から生まれた行動の結果なのです。
文化と行動の間には、強い関連性があります。
環境から文化が生まれ、文化から行動が生まれます。
逆に、行動も文化に実は影響を与えており、日常的に行っている行動が文化を生み出すこともあります。
「環境」と「文化」と「行動」がお互いに影響し合っているのです。
次回からは、ベースとなる組織文化を構成する3つの要素、
- 心理的安全性
- 多様性と受け入れ合い
- 主体性
について、詳しく解説していきます。