第2回『今、なぜフラット型組織か?(前編)』
2019年02月21日
―― なぜ今、フラット型組織が求められているのですか?
河村 甚(以下じん):
多くの企業が困っている組織課題や、関係性の問題は、
組織がピラミッド型であることによって起こっています。
昔はピラミッド構造の方がうまくいったので、
そのような構造で作られている会社が、まだ多いんです。
しかし、現在は環境が変わりました。
昔はうまくいった仕組みが、うまくいかなくなってきています。
―― どのように環境が変わってきているのでしょうか。
じん:以前は、ピラミッド構造の上の方にいる人と下の方の人との間に、
圧倒的な情報量や経験の差がありました。
だから、情報を持っている人から持っていない人へ落とし込んだり、
経験の有る人から無い人へ落とし込んだりすることで
組織がうまく回っていた。
しかし今は、誰もがいろんな情報に簡単にアクセスすることができます。
情報量もものすごく多く、拾いきれないほどの情報が溢れている。
つまり、上の人の方がたくさん知っているという状況ではないんです。
例えば、マネジメントについて一人の上司がこれまでで培って来た知識や経験にとどまらず、ちょっと検索すれば同じ事柄についてより多くの人の経験についての情報や、先進的な事例、学術的な研究の情報などが得られるんです。
となると、よりフラットなコミュニケーションが必要になります。
上も下も関係なく、多様な情報を掛け合わせて判断、選択をしていくことが大切です。
―― 情報の流れが変わったことによって、
コミュニケーションのスタイルも変える必要があるのですね。
じん:それに加えて、環境変化のスピードも速い。
どんどん新しい技術が生まれてくる。
例えば10年間くらい根幹となる技術の変化がなかったような時代は、上の方の人が正解を持っていて、
それを下の方の人に落としていくことでうまくいったけれども、
現在は、過去の経験が役に立たないことが多い。
いま当たり前に使っている仕組みや技術が10年前は存在すらしなかったものも数多くある。
今は過去の当たり前に固執するのではなく、未知の変化に適応していくことが必要とされている。
過去の経験が役に立つ状況の場合には、
ピラミッド型の組織構造の方がうまくいくけれど、
過去の経験が役に立たない環境下では、
組織構造をフラット型にしていくことで、
より環境の変化に素早く適応していくことができるようになります。
―― 環境の変化に素早く適応していけるかどうかが、重要なポイントになるのですね。
じん:変化せずに同じままでいては、生き残ることはできません。
今までやっていない、新たなイノベーションを起していく必要があります。
「イノベーションを起こせ」と言われている会社はものすごく多い。
でも、ピラミッド型組織では、構造上イノベーションは起こりにくいんです。
というのも、イノベーションは、
これまでやっていないことに挑戦すること。
失敗の中から新しい進化、イノベーションの種が見つかったり、
元々の発想にない異質な考えの中から種が生まれたりします。
ところが、ピラミッド型は失敗しないことが重要視されます。
失敗しないことを大切にしていては、イノベーションは起こりません。
つまり、イノベーションを起こすためには、小さな失敗をたくさん起こすことができる
フラット型組織の方がうまくいくというわけです。
「なんでうちの会社は保守的で、みんなイノベーションを起こせないんだろう」
そういう悩みもたくさん聞くのですが、
その多くは組織構造の問題から来ているのです。