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第80回『会議でチームビルディング(7)話し合いとファシリテーターの関わり方』

2018年04月19日

チームビルディングの話をしよう
2015年4月から始まった連載コラム「チームビルディングの話をしよう」では、代表河村がチームビルディングを切り口にさまざまなテーマでいろいろな人と話し合った様子をお届けしています。

今回の『会議でチームビルディング』は、株式会社 Dialogic Consulting 代表取締役社長

吉田 創(そう)さんをお招きしての対談です。
http://www.dialogic.jp/
 
そうさんは現在、対話型組織開発コンサルタント・ファシリテーター・講師としてご活躍中であり、
会議で行うチームビルディングプログラムをチームビルディングジャパンと共同開発しています。
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目次

 

吉田 創さん(以下そう)
「時間がない」チームでは、決め急ぐということが起きますよね。

河村 甚(写真、以下じん)
あぁ、そうだよね。

そう
本当はもっといろんなアイデアを出した方がいいときも、時間に追われてしまうと、「まぁいいか、こんな程度で」となってしまう。「同じような意見が出てるからそれでいいや」とかね。

じん
そう! 前の人と同じことを言っちゃったらまずい、って空気感あるよね。
「もう言われちゃったんですけど~」って言うけど、その前置きをしている時点でなんかおかしいんだよね。

そう
「それ、すごく同意する」の一言でいいのに、逆に時間がもったいないですよね。

じん
そうそう! 「先に言われちゃったんですけど~」っていう話し合いの場、結構多いよね。

そう
それで結局どうなるかっていうと、 挙げた中から投票して、「これだよね」って折衷案なんだかよくわからないような、熱意も説得力もない無難な案を選んじゃったりする訳ですよ。

じん
そんなんだったら集まらなくてもいいじゃんって思うよね。集まってるのがもったいないよね。

そう
「時間がない」のは実際そうだと思うんですよ。
でも、追われてるって感覚をちょっと横に置いて、今この時間でできることに集中するということができれば、そんなに問題ないはずなんです。

じん
会議や話し合いでは、
広い範囲のモノを扱うのか、深いモノを扱うのか
広さに時間を掛けるのか、深さに時間を掛けるのかを
選ばなくてはいけない。

多くの項目をカバーするのが必要なら、広さに時間を掛けるべきだし、
深さの部分が必要なときには、そこに時間を掛けていこうってことになる。

広さ優先と思ってたけど、「あ、これ深くなる」と思ったときは
深さの方に舵を切ることもあるよね。

そう
ありますね。

じん
そういうことをちゃんと解って、深さも広さも両方扱っていく。
時間の中でとにかく多くのことをカバーしようとして
広さだけを求めていくと、うまくいかない。
表面をさらうだけになっちゃうよね。

そう
そこに一歩踏み込めるようになるために、日常と切り離してやるのがチームビルディングでもありますよね。

じん
そうだね。本当にそう思います。

 

日常から切り離してチームビルディングする

そう
時間に追われている日常から離れて、
「今日はチームビルディングの時間です」って設定しないと
なかなか一歩踏み込めないという実状がありますから。

じん
そうだね。深さはお互いに配慮があっても、遠慮ない踏み込みがないと、なかなか深まらないしね。
外側から踏み込んでいかないと深さは出てこない。

そう
そうね・・・理想をいえば、
深まりっていうのを、メンバーの力でなんとかしてほしいです。

グループが立ち上がる瞬間ってあるじゃないですか。
今まで語ってない人が語り出すとか、リーダーが自己開示を始めるとか、ね。

例えば、実際あったんですけど、
入社半年女の子が社長に対して「あなたは人の話を聞かない」って言ったんですよ。

じん
すごいね~

そう
涙ながらに語ってくれたわけですよ。
それは合宿という特別な時間をとったからこそ、深まるような踏み込みがあった。

これが、仕事に追われているときだったら、「お前なんでそんなこと言ってんの?」「今日はこのテーマで話してるんだから関係ないじゃないか」ということが起きますよね。

でも、この社長が素晴らしかったのは、
人の話を聞いていない、という指摘に対して、「すまなかった」って言ったんです。
自分なりには、これこれこういうことに追われていて、一生懸命やったつもりだったけど、結果的にはないがしろにしていた、と。

そしたら、中堅の人がですね、「社長がそこまで追い込まれてるということに気づけなくてすみませんでした」って言ったんですよ。

じん
受け入れ合いだね~。

そう
本人自ら語り始めたことによって、集団凝集性というか、関係づくりが起きたんです。

それをですよ、我々ファシリテータが「では、付箋に言いたいことを書いてください」「どれを扱いますか」みたいなことをやると、確かにテーマとしては扱えるんだけど、なんか深さが違うんだよね。

じん
それは違うね。

そう
構造的にやってお膳立てされたものと、瞬間的にできたスペースを狙って本人が自分の力で語り出したというものは、やはり違う。

自分の力で語り出すことができる。そういう踏み込みが日常もできるチームを目指したいと思っています。

じん
わかる。そうだよね。

 

生物(ナマモノ)と加工品

じん
チームビルディングジャパンでもよく「生物(ナマモノ)を扱う」という言い方をするんだけど、構造化された仕組みの中に出てきたモノって生物じゃないんだよね。加工品になってしまう。

「自分たちでやった感」をもってもらえるように、どこまで我々がコントロールするかは重要なポイント。

例えば、そうさんが先ほど挙げてくれた例でいうと、
入社半年の人が社長に踏み込むということは、通常難しい。
でも踏み込んでOKな場を作るということが我々はできる。

場を作る中で、本人が頑張って踏み込んだなら、それは意味があること。
それは我々のできる素晴らしいことだと思う。

踏み込み合うこと自体が大事だし、またその踏み込み合いの中で、攻撃し合うのではなく、お互いの受け入れ合いが起こることがすごく大事。

そう
そうそう。

じん
我々は直接的に「こうしてくださいね」とは言わずに、
踏み込み合いと受け入れ合いが起こるような場を作っていくことができる。
そこが会議・話し合いで組織を作っていくことの肝ですね。

そう
ちょっと言いにくいことを話したとき、話されたことを受け止められなくて突き放してしまう人もいます。
その時、僕らがいることによって、「一旦受け止めましょう」というタイミングや場を作ることができる。

それをきっかけとして目指すところは、「自己組織化」だと思っています。

役割が変わっていったり、立場を超えて踏み込んだ話ができたり、
深い話なのか広い話なのかを自分たちで自由に選択して話し合いができたり、
語られている領域が伸び縮みする組織。
そこを目指していくためにどう支援するのか。

徐々に自由度高めていって、「じゃあ最後は自由にどうぞ好きなことを言ってください」といったスペースで、何かが起こることがある。

ちょっと言いづらいことを、日常の中で話したり受け止め合えたりする組織をどう作れるのか。それは、役割・立場に囚われないとか、時間が無いことに囚われないとか・・・そういうことかなぁと思いますね。

 

ゲットイン・ゲットアウト

じん
でもね、日常の中で、っていうのは意外と難しいんだよね。

我々が関わり掛けることによって、言いにくいことが言い合いやすい、受け入れやすい場を作ることはできる。

次のステップは、我々がその場に居れば、
我々が促さなくても、言いにくいことを言い合える状態。

でもその後、我々が居ない状態で、自分たちだけで同じことができるかというと、
最初できるんだけど、しばらく何ヶ月か経って行ってみると
「あれ~!?」みたいな状態になっちゃってる。

彼らだけでもう大丈夫だと思っちゃったけど、まだ無理だったな・・・
自分が会議室に座ってるだけでも違っただろうなぁ・・・ 行かなくてごめん・・・
と思うこともありますね。

そう
難しいですよね。
話し合いの(わかりやすい手順を作り示す)構造化もファシリテーターの仕事です。

最初は構造(手順が具体的にあること)がきっかけになって、「語られるようになってよかったね」なんですけど、
「じゃあ後は勝手にどうぞ」と我々が引いてしまうと語られなくなってしまう。
逆に、踏み込みすぎてずっと居ると、依存になってしまう。

じん
そうなんだよね。ずっと居ないとダメ、みたいになっちゃう。

そう
引くタイミングを間違えると、あの時話せたのは、あの人たちが居たからね~、って
遠い昔の話のように思われてしまうこともあり得ます。
「ゲットイン・ゲットアウト」なんて言ったりしますけど、本当にタイミングが難しいです。

じん
自転車に乗る練習のように、支えがなくても自分たちで自転車に乗れるじゃん、という感覚を持つことができれば、我々が居なくても運転していけるし、どこへでも行ける。

我々が居るけど関わらないという状態を経て、いつ居なくなるか。そのタイミング結構難しい。

ちょっと目を離した後、ちょっと帰ってきて見ると、あぁ・・・みたいなことがあったりする。

我々がやっていることで、本当にそこは難しいところですよね。
組織が自立して走っていける状態でないといけないんだけど、どこで手を引くのか・・・難しいね。

 

お客様との関係作り

そう
その点ではお客様との関係作りも大切だと思っています。

仕事なので契約の期間は区切られますが、
もうちょっと私たちが関わった方がいいかな、と思ったときには期間延長になることもあれば、逆にもう私たちが関わらなくて大丈夫なら、早めに引き上げた方がよい場合もあります。

あとは、離れた後でも何かあったときに気軽に連絡してくれるとか、そういうことも大事だと思いますね。

フランクに気兼ねなく相談し合ったり、声を掛け合えるようなお客様との関係作りが、やっぱり重要だなぁと感じます。

じん
そうだね。本当に、そこは一番大事かもしれないよね。

うちはチームビルディング会社だから、
自分たちの会社がチームで良い仕事をすることを大事にしています。

お客さんの担当者とちゃんとチームになって仕事ができないと、絶対うまくいかない。
逆に、お客さんの担当者・・・その会社のトップなり人事の方なりと良いチームになれれば、うまくいくんだよね。

そう
そう思います。営業に行ったその瞬間から、もう仕事が始まっている。

じん
そうだね。最初が肝心だね。
こちらを信頼してもらうと同時に、「外部のプロにとりあえずお任せしておけばいいや」では無い状態になる必要がある。
お客さんと一緒にチームとしてやっていくことができる状態を作ることが重要ですね。

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組織は変われる!チームづくり資料DL
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