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第75回『会議でチームビルディング(2)組織開発コンサルタントになるまで(後編)』

2018年02月08日

チームビルディングの話をしよう
2015年4月から始まった連載コラム「チームビルディングの話をしよう」では、
代表河村がチームビルディングを切り口に
さまざまなテーマでいろいろな人と話し合った様子をお届けしています。

今回の『会議でチームビルディング』は、株式会社 Dialogic Consulting 代表取締役社長

吉田 創(そう)さんをお招きしての対談です。
http://www.dialogic.jp/
 
そうさんは現在、対話型組織開発コンサルタント・ファシリテーター・講師としてご活躍中であり、
会議で行うチームビルディングプログラムをチームビルディングジャパンと共同開発しています。


▽会議でチームビルディング(1) 組織開発コンサルタントになるまで(前編)はこちら
http://www.teambuildingjapan.com/column/t074.html

(前回の対談)
そうさんは高校時にアメリカ留学し、そのまま起業。
時代の波に合わせて日本に戻り、IT企業を経営していたある日、
今まで会ったことのないような研修講師の“おっさん”と出会いました。

彼のやっている1週間合宿研修に声を掛けてもらったものの、
基本1週間携帯禁止って怪しいし、自己啓発だから参加費も高いし、
社長だし1週間休むのもなぁ…と迷いましたが、
1週間の研修内容とこの“おっさん”の正体を明かすため、参加を決めたのでした。

……というわけで、気になる続きをどうぞ↓

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目次

 

Tグループとの出会い

河村 甚(写真手前、以下じん)
前回は、謎の1週間合宿研修に参加しようかどうか、迷われているところまで伺いましたね。

吉田 創さん(写真奥、以下そう)
結局その1週間合宿研修に行くことに決め、参加してみました。

どのような研修だったかというと、これは今だから言語化して説明できるのですが、
そのおっさんは話している内容そのものではなくて、会話している人とグループをよく見ていました。
組織開発用語で言えば、コンテントではなくプロセスを見ていて、
そこに働きかけるということを彼はやっていたんです。

僕たちは車座になってずっと対話をしていて、
トレーナーと呼ばれる彼が、思ったこと感じたことを
フィードバックしたり問いかけたりする。

例えば、自分が話しているとしますよね。
「どうしてそれをしゃべりたいと思ったの?」とか
「しゃべることによって何をしようとしてるの?」とか
よく解らない質問を彼がしてくるんですよ。

なんだこのおっさん、と思って
ちょっと反発してみたりとか、いろいろ文句言ってみたりとか、
あーじゃない、こーじゃないとやりつつも、

自分なりに、自分の見えてなかった自分観みたいなものが発見できて面白いなぁと思ったんです。

その研修というのは、
1960年代、第一次組織開発ブームに流行った、
Tグループの流れをくんだ自己啓発セミナーだったんですね。

彼を僕はあえて“師匠”と読んでいるのですが、
その「師匠の師匠」は、参加者に対して殴る蹴るをしていた人だったそうです。

その当時は、戦争から帰ってきた人たちをどうやって管理職に育てるかみたいな感じで、
殴る蹴るを普通にやっていたそうです。
Tグループでも対話でも全然ないんですけどね。

殴る蹴るはおかしいということで師匠は独立し、
事件にもなってそれは廃れていったそうです。
あえて言うなら、僕の師匠はその流れにいた生き残りだったんです。

じん
へぇ~。

そう
だからか、対話への入り方、タイミング、スピード、言葉の選び方が、
よく言えばシャープ。悪く言えばぶった切る。

じん
なるほど。

そう
殴る蹴る、ということはもちろんしませんが、
問いかけはとにかく鋭いし、気持ちは痛い。

でもそのおかげで僕自身は発見があったので、
これは何だろうと興味を持って思って調べてみたら、
組織開発に悪しき時代があり、その系譜にいる人だということや、
Tグループというものが元々あって、
日本では南山大学や聖マーガレット生涯教育研究所(SMILE)というところがやっていることがわかりました。

調べみて、関心が深まってやってみたくなりました。

そこで、トレーナーの視点やフィードバックの仕方を自分なりに身に付けたいと思ったので「勉強させてください」、とお願いしたところ、
二つ返事で「いいよ」と言われました。

それから3年間、つごう30回くらい、毎月1週間行きました。
最初は参加者で、途中からはトレーナーとしても関わるようになりました。

じん
30回! すごいね!

 

“自分”の気づき

そう
その中では、自分についての発見がありました。
例えば、自分はなんでこんなに自己主張が強いんだろう・・・という疑問がわいてきた。

それまでは、世の中の人はみんな自己主張するものだと思ってたんです。
みんな表に出してないだけだと(笑)

自分が自己主張の強い人間だと言うことが解り、
それって何でだろうなと考えると、

人に負けたくないという競争意識が強い。
何で負けたくないんだろう、と考えると、
どこか自分にコンプレックスがあるみたいで、
そのコンプレックスを認めたくがないために
自分の虚栄心が出てきたり自己主張したりしているんだということが解って、
あぁ自分ってすごいちっぽけな人間なんだなぁと思った。

でも、ある意味はりぼてみたいな自分と、ちっちゃい自分の乖離が見えたときに、
ちっちゃい自分でスタートすればいいんだな、と思えたんです。

ま、気質みたいなものなので、
いまだにしゃべりだすと止まらないとか、自己主張が強いところはあるんですけど、
「自分を大きく見せたいところがある」いうことがわかってきたので、
だいぶコントロールできるようになったんです。

合宿では、そういうことに気づけましたね。

じん
めっちゃ面白いね。

 

「対話の学校」

そう
ただね、そうはいっても、
「1週間合宿においで」と言われても怪しいでしょ?

じん
怪しい。

そう
「その間携帯禁止」とか言われると余計怪しいでしょ?

じん
怪しい。

そう
あとね、もう一つ、

非日常の空間で気づきや発見があるということは大事。
でももうちょっと日常に近いところで何かできないかと考えたんです。

じん
うんうん。

そう
1週間来るのも難しいし、
日常にどうつなげるのも難しいな、と思ったときに、
「じゃぁ、僕何しようかな」と考えたんです。

ここは僕らしいと思うところなのですが、
研修や組織開発の会社に入って勉強しようとするのではなく、
僕でも出来ることは何かな、と考えるんです。

それで「対話の学校」を始めました。

じん
へぇ~!

そう
1週間の合宿を通じて身に付けるスキルって結局何だろうな、と考えました。
そして自分なりに考えた今の社会に必要なスキルが、ファシリテーションだったんです。

じん
ほぉ! そうか!

そう
ファシリテーションだったらみんな学んでみたいと思うし、
それなりに自己を見つめながらも、1週間合宿ほど深く自己を探求しなくてもいい。

じん
売り物になるよね!

そう
「1週間来て自己を見つめなさい!」というよりも、
「ファシリテーションですよ」という方が入りやすいですよね。

というわけで、Tグループや体験学習をベースにした、ファシリテーションの研修を始めました。

何人来てくれるかわからなかったけれど、まず公開講座を開きました。
蓋を開けてみたら、なんと24人の方が来てくれた。

じん
なんでなんで?

そう
わかんない(笑)

じん
そうなんだ(笑) すごいね。

そう
あえて言えば、その頃「会社でやっているような情報共有の会議と『対話』は何か違う」って感じてたので、
2009年~2010年にかけて、対話ってキーワードがあるととにかく顔を出してたんですよ。
Art of Hostingやワールドカフェなどの対話の場で、人に出会っていたということはあるかもしれません。

あの頃って、ファシリテーションの研修が少なかったんですかね?

じん
無かったこともないと思うけど・・・。今より少なかったのかなぁ。

そう
対話の学校は2010年から2014年まで、4年ほど続けました。
のべ700人以上が参加してくれました。

 

組織開発コンサルタントへ

そのうちに、「うちの会社にも来てくれませんか」と声掛けいただくようになって、
それで企業研修をするようになりました。

そして、「研修だけでなくもうちょっと長く関わってください」と言っていただけるようになってやり始めたことが、「組織開発」と呼ばれるらしいぞ、と。

長くなりましたが、
ということで僕は、「ファシリテーションのトレーナー」から、「研修講師」になり、
「組織開発コンサルタント」になったというわけです。

じん
なるほどね~!

そう
最初から「人材育成に関心があります」とか「自分の会社で困ってて」とか
自分に直結したニーズからスタートしたわけではなく、
たまたま行ったところでの“なんじゃこりゃ”から始まり、
周りからのご要望に応えているうちに、組織開発コンサルタントになったわけです。

前後半に渡り、長い自己紹介になりました(笑)

じん
超面白い!
ストーリーにのめり込んでしまう面白さだった。素晴らしいね!

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