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第46回『変態を支援するチームビルディング(1)海外ビジネス武者修行プログラム』

2016年12月29日

チームビルディングの話をしよう
2015年4月から始まった連載コラム「チームビルディングの話をしよう」では、代表河村がチームビルディングを切り口にさまざまなテーマでいろいろな人と話し合った内容をお届けいたします。

※今回の『変態を支援するチームビルディング(1)海外ビジネス武者修行プログラム』は、
海外ビジネス武者修行プログラム」を運営されている
山口和也さん(株式会社旅武者 代表取締役)との対談です。

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河村甚 (写真右、以下 じん)
今回の対談を和也さんとできたらいいなと思ったのは、まずやっていることが面白いからです。
チームビルディングジャパンで活躍しているトップクラスのファシリテーターたちもとても高く評価していて。自分も「どんなことやっているんだろうな」と気になっていたところ、声をかけていただいて自分もファシリテーターとして関わらせてもらいました。

それをやっているのが同い年の和也さんということもあり、ぜひ話したいと思っていました。

山口和也 (写真左、以下 和也さん)
負けないよー(笑)

じん
そうですね(笑)
まずは和也さんのやっていること。旅武者という会社でやっている 海外ビジネスインターンシップ の「武者修行ビジネス武者修行プログラム」について簡単に説明をお願いします。

和也さん
30秒で言うのであれば、うちはベトナムに8店舗お店を持っています。 その店を使って、日本の大学生が3?4人1組になって、自分たちで考えた企画を自分たちでやると。そういう15日間の海外インターンシッププログラムを日本一やっています。

じん
素晴らしい! 最後「日本一」がついてるところがいいね。

和也さん
マーケターとしてはですね、「ナンバー1」か「オンリー1」を推さなきゃダメだと思って(笑)

じん
そうですね。もうちょっと詳しく言うと?

和也さん
そうですね。”なんでこんなことをやっているのか“にもつながるんですけど、海外での就業体験を得ることが、大学生の選択肢を一番増やすんじゃないか。そういう思いでやっています。 その理由は2つあります。

1つ目はそもそもの話になりますが、インターン、会社に入る前の就業体験がめちゃめちゃ重要という話です。
なぜなら、私がそれをやらないでブラック企業に入ってしまったから(笑)
私が入ったブラック企業は、まあ暴力が横行していたわけですよ。
新聞紙でバットを作ってケツバット。挨拶は全部「押忍!」って言うんですよね、「はい」じゃダメ。

その会社は都内の有名ビルに入っており、上場を目指している!新規事業を担当させる!社内の株を上場前に買わせてあげる!といったやる気のある学生だったら「ちょっと自分の実力を試してみようかな」とい思うような企業だったんだけど、就業体験を積んでいなかったがゆえに、”会社がどういうものか” ”ビジネスがどういうものか”とかがまったくわかっていなかったんですよ。

じん
わかんないよねえ。

和也さん
そうなんですよ。僕は持論として ”いいインターンシップの三条件” というのを言っています。

1.権限が与えられていること?
 つまり、自分で何かをやるときに自由度が高い。なぜそれを言うかというと、アルバイトだと時間の切り売りのようなもので、それではビジネスは掴めないと思うからです。

2.結果が出ること
 インターンで良くあるのが、提案して終わりということ。結果を判断するのは、最終的にはお客さんですからね。お客さんのフィードバックがなければ、それが本当に良いのか悪いのかわからない。

3.ファシリテーター(アドバイザー・メンター)の存在
 学生が壁にぶち当たったときに、社会経験がないので、なかなか自分では乗り越えられないわけですよ。その時にファシリテーターが答えは言わないけどアドバイスをすることで、学生は自分でその壁を乗り越える力を得るわけです。 通常のインターンでは社員さんは自分の仕事が忙しいからなかなかそんなことしてくれないんですね。だから、武者修行ではファシリテーターがつくようにしています。

海外での就業体験を得ることが、大学生の選択肢を一番増やすんじゃないかと思う2つ目の理由ですが、僕はアメリカ、アジアで働いていたんですが、「日本人は最弱じゃないか」と感じたんですね。

日本人が海外で活躍できていないことが日本人として忸怩たる思いがあって、これからアジアは間違いなく伸びていくというなかで、アジアで活躍できていないということは、このままでは日本がじり貧になるのではないかな・・・と。
だから、そんな状況を何とかしたいと思って、”海外”で”就労体験”を積むという今の武者修行プログラムをつくって、大学院で修論を書いて、その修論にそって今武者修行プログラムをやっているというわけです。

じん
いいですねえ。そういう背景の思いがあるからこそ、”響いて一緒にやりたい”という人が増えてくるんだね。
やってくれるファシリテーターの仲間だけですごい人数いるじゃない?

和也さん
2016年の夏は38人でした。

じん
あと参加者数の増加もすごいじゃないですか。一番最初がね……、

和也さん
4人からですね(笑)
4人やって、10人やって、50人やって、56人やって、101人やって、201人やって、今回333人。

じん
半端ないですよね!

和也さん
初めから年1,000人やると言っていたのに、昔は1,000人と言っても誰も信じてくれなかったんですよ。「ざまぁみろ」という気持ちですね(笑)

じん
そういうの、最初は色々言われても結果出して後から言いたいですよね(笑)
やっている中身の話として、実際の海外の実店舗で実際に海外のお店でビジネスできるっていうのが、学生の経験としてすごくいいと思うし、プランして終わりじゃないというところがいいよね。
そのための店舗を作っちゃって持っているってところもすごいと思います。

和也さん
頭おかしいですよね(笑)

じん
商売して儲けるための店舗でもなく、提携でもなく(笑)
学生がそこで全力で活動するための、そのための店舗つくりましたってことでしょ?
この発想ってなかなかないですよね。他では、やっていないですよね。

和也さん
やっていないと思いますね。普通やろうと思ったら、店舗を借りますよね。
だって、店舗経営と研修・教育はぜんぜん分野が違いますから、経営的に二つの分野をカバーするのは大変なわけです。

でも、売れる・売れないという結果にこだわると、別のオーナーさんがいるお店だと自分の思い入れがあるから、”めちゃくちゃはやってほしくない”となってしまう。

じん
学生もオーナーも、どっちも気を遣ってうまくいかないことになってしまいそうですね。
そういう意味では、本当に”学生が全力でやっていい店舗”っていうのがあるのは、素晴らしいと思います。
彼らの学びの支援、”君の変態を支援する”ために。

”変態”というのは、ちょっと説明したほうがいいですね(笑)

和也さん
”変態”という解説は武者修行プログラムのチラシにもあるのですが、”海外で働きたい、現状を打破したい、自分を成長させたい…。将来に繋がるたくさんの得難い体験により、新しい自分になること” です。

じん
”変態”という言葉が、またうまいんですよね。
自分自身が、サナギからチョウになるように変態するということを、何度でも繰り返していく。
このプログラム中は変態をやっているんだという前提とか意識を作っているというのも、このプログラムの特徴ですよね。
ファシリテーターも変態のためにやっているんだというのもあるし、参加者もばらつきはあるが変態していく……。

和也さん
変態は、今言ってもらったようにサナギがチョウになるイメージで、”メタモルフォーゼ”かもしれないし、”チェンジ”かもしれないんですけど、やっぱり何かを得ようと思ったら本気にならなくてはいけないと思うんですよ。

その環境を整える。 場所の整え方と、あとは我々ファシリテーターの本気。
この掛け算によって、初めはばらつきのあったものが均一化されて、みんながみんな変態するっていう。そういう構造なんですよね。

だから、本当の本音で言うのであれば、このプログラムはただ”本気の大人が本気の相手をする”っていうプログラムなんです。
種を明かすと。”お店”とか、”海外”とか、”英語”とか、”ビジネス”とかはツールなんです。

じん
本気の大人が、本気で向き合う。そこがコアですよね たしかにベトナムだとか、英語でやらなきゃということはありつつも、一番のコアな部分ってそこですよね。

和也さん
そうです。そこは崩していないんです。
だから、初期の10人のときから言っているんですが、人数が増えても、ある意味満足度は変わっていないんですね。
10人のときも333人のときも。プログラムの構造ではない。

回数を重ねているから緻密さは増しますけど、実質やっているのは”本気の大人が本気で対応する”、そのための場づくり。
私は”水場”って呼んでますけど、水場を綺麗に整えるだけ。

じん
確かに……、そこですね。だって、裏事情的には現場でファシリテーターたち、もうガチ本気ですもんね。
自分自身はいつもガチなんですけど、武者修行に行くとみんなガチじゃないですか。
同じファシリテーターチームのメンバー同士で「ああでもない、こうでもない」と相談して、意見をぶつけ合いながらやっている。

本当に大人の本気という意味では、参加者の人たちに”こうしてほしい”ということを、まず自分たちがやっていないと、それはメッセージとして詐欺だと。
自分が本気でやっていないのに、「おまえら本気になれ」なんてぜんぜんダメで。

和也さん
その言葉が力を持たない。

じん
チームメンバーに対して”あきらめずに関わる”なんて言うのも、ファシリテーターチームの中でもやっていくべきだし、お互い言いにくいことを言うとか、ちゃんと本気の大人が自分たちもやっている。

やっている結果を見せているってことが大事だと思います。
うちの会社もすごくそこを大切にしてる。
よその会社を良くすることを仕事とするチームビルディング会社じゃないですか、それなのに「あそこのチーム最低だよね」なんて言われちゃったら、自分たちも出来ないことを「出来ますよ」って売ってる詐欺だと思うんですよ。

つまり、”自分たちのチームは悪くてもおたくのチームは良くできますよ”っていうのは、僕はあり得ないと思っているんだよね。
そういう人たちがいてもいいと思うけど、僕は自分たちが実践していて、これが素晴らしいと思うからそれを伝えていくってことをやっていきたいわけで、武者修行もそうだと思うんですね。
本気の大人たちが本気で”チームで成果を出す”って姿を見せている。
そういう人を集めたのがすごいね!

和也さん
本当にそうなんです。武者修行プログラムは、そういう人たちに支えられてできていると思っています。
私も企業研修の講師をやっていますけど、講師をやっているときってコントロールの範囲内で研修をやっているじゃないですか。
武者修行では、みんな裸で勝負するわけです(笑)

みんなに脱げって言ってるから、自分も脱がざるをえない。
私も3年半やっているけど、毎回脱いでるわけですよ。
自分が成長するし、それで成功すると気持ちいいですよね。自分のビジネスもうまくいく。

武者修行プログラムをやっているから、自分自身が学ばせてもらっていると思います(笑)
私に限らず、ファシリテーターみんな同じようなことを言っています。

じん
それは絶対そうだと思う。 あとファシリテーターがみんな本気ということに加えて、参加する学生もみんな意識が高いというか、成長意欲が基本高いですよね。

そういう参加者が相手だからこそ、ファシリテーターも全力で向かいやすいというのもあると思います。
ファシリテーターの育つ過程のなかで、チームビルディングのプログラムをやっていても上手くいったり上手くいかなかったりってもちろんあるわけですよ。
すごくうまくいったときに、「今日参加者がよかったからなあ」ってことを言っていたファシリテーターがいて、参加者が良くて、結果上手くいくことは良いことだと思うんですよ。

なぜなら、ファシリテーターもそのプログラムのなかで学ばせてもらえるから。
その次に、参加者がどうであろうとうまくできるように育っていくひとつのステップとしてすごく有意義。
昔、スノーボードをけっこうしっかりやっていたんですが、雪や道具がいいと誰でもうまく滑れるんです。

良いコンディションの中で滑ると上手くなるんです。
ファシリテーターも良いコンディションでやっていけば腕が上がっていって、腕が上がっていけば悪いコンディションに行っても余裕で滑れるようになるわけです。

和也さん
自信もついていくかもしれないですね。

じん
そう! 武者修行は、ファシリテーターの学びにとっても素晴らしい学びの場ですよね。

和也さん
ほんと自分でもそう思います。初めのころの自分のプレゼンなんでダメだったなあと思います。
ただの一方通行の演説でした(笑) どれだけこちらから入れるかではなく、場の人がそれを受け取るかだと。結果にフォーカスして試行錯誤しているうちにオーラが出せるようになりました(笑)

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