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第45回『職場における4つの対人リスク』

2020年10月15日

「心理的安全性が大切である」ということがよく言われるようになりましたが、心理的安全性が低くなるには原因があります。

心理的安全性の研究で有名なハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン4つの対人リスクを紹介しています。

1)無知だと思われる不安
2)無能だと思われる不安
3)ネガティブだと思われる不安
4)邪魔をする人だと思われる不安

今回は職場における4つの対人リスクについてお話しします。

 

 

1)無知だと思われる不安

例えば、会議中にカタカナビジネス用語やアルファベット3文字ワードが出てきたとき、わからなくても「それってどういう意味ですか」と聞けないことはありませんか。
このような状態が「無知だと思われる不安」がある状態です。

「そんなこと知ってて当然でしょ」「そんなことも知らないの」と思われたくないから
質問ができない。わからないことを質問できないのは、心理的安全が低い状態です。
わからなかったら聞かなくてはならないのに、自分を守らなくてはならないから、このような不安が出てくるのです。

2)無能だと思われる不安

「失敗しました」と言えなかったり、「失敗できない」と思ってしまうことはありませんか。
これは、仕事ができない奴だ、ダメな奴だと思われたくないという「無能だと思われる不安」です。

能力がないと思われたくないがために、仕事をちゃんとやっているように見せたり、失敗を報告しなかったりしてしまいます。

エドモンドソンによる医療機関の調査でも、人間関係やチームワークが良いチームはミスの報告が多く、そうではないチームはミスの報告が少ないという結果が出ています。
これは、良いチームほど失敗を恐れずに報告できる関係性があるということを示しています。

3)ネガティブだと思われる不安

「これでいこう!」とチームメンバーが盛り上がっているときに、「リスクについて検証しましたか」と言い出せない。これは「ネガティブだと思われる不安」によるものです。

「せっかくいい感じだったのにブレーキを掛けるネガティブな奴だ」と周りに思われたくないがために言えなくなってしまいます。

チームで仕事をしていくうえでは多様な視点が必要です。「本当に大丈夫かな」という批判的な意見は、チームに欠かせません。

4)邪魔をする人だと思われる不安

会議の終わりに話がまとまりかけたときに「こういう新しいアイデアはどうでしょう」と言い出すことができずに空気を読んで黙ってしまう。これは「邪魔をする人だと思われる不安」です。

余計なことを言う奴だと思われることに対する不安から、思ったことを率直に言うことができなくなってしまいます。

 

 

これらの4つの不安は、社会的に自分の安全を守るために起こっています。
周りから否定されない非難されないように自分の安全を守るためにやっていることが、実は心理的安全が低い場をつくってしまっているのです。

「社会の中で自分を守らなければ」という不安があるために、自分の行動を制限してしまい、思っていることが言えない状況が起こっています。
「自分の安全を守らなければ」という意識の強さが、心理的な安全の低い状況をつくっている、ということです。

この状態を解決するためには、毎日の習慣の中でじわじわと場として積み重ねていかねばなりません。

・「知らないことは質問していい」という文化をつくっていく
・「失敗したことは共有して自分たちの学習の機会とする」という文化にしていく
・「気づいたことは言った方がいい」という文化を築いていく

小さな日常の習慣の積み重ねによって、心理的に安全な組織文化を育てていきましょう。

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